更新日: 2023.08.08 その他資産運用
「バランス型投信」はリスク分散で安心? メリット・デメリットを解説
そこで今回は、投資信託を選ぶ際に、株式投信と人気を2分する「バランス型投信」について学んでみましょう。
ファイナンシャルプランナー CFP
家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。
バランス型投信とは
投資信託は、運用の専門家が投資家から集めた資金をまとめて投資・運用する金融商品です。内外の株式や債券、不動産などに分散投資をするため、比較的リスクを抑えられるとされています。
公募型の投資信託は約6000本ありますが、ここではつみたてNISAの対象となる、金融庁から指定されている公募投信246本(2023年7月31日時点)について見てみましょう(図表1)。
【図表1】
金融庁 つみたてNISA商品の分類を元に筆者が作成(2023年7月31日時点)
つみたてNISA対象投信は、株式型とバランス型があり、上表の通り対象地域は国内・国内外・海外に3分されています。
バランス型投信は106本ですが、そのうち99本(93.4%)が国内外の金融資産(株式、債券、REIT)をさまざまな比率で組み込むファンドが中心になっています。
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つみたてNISA対象のバランス型投信の種類
つみたてNISA対象の投資信託は金融庁から公表されていますので、そのうち、バランス型投信の個別銘柄について、資産指数(組み込み資産種類)を集計し図表2で一覧にしました。
【図表2】
金融庁 つみたてNISA対象商品届出一覧を元に筆者が作成
内外型の95本の中身を見てみると、4指数と6指数、8指数が多いことが分かります。8指数とは、表の右側にある資産のうち8つ(国内株、海外株、先進国株、新興国株、国内債券、海外債券、JREIT、海外REIT)を組み込んだファンドのことです。
例えば、8指数のファンドは右の枠の中の8つをほぼすべて組み込んでいることになります。また、4指数の場合は8つの内の4つ、国内株と海外株、国内債券、海外債券が組み込まれる場合や、その他の選択も考えられます。
バランス型投信のメリット
バランス型投信への投資では、以下のようなメリットが考えられます。
リスク分散
バランス型投信は、資産内容と対象地域を組み合わせた金融資産を保有する形になり、リスクを分散することができます。
資産区分は株と債券、REITの3つですが、地域は国内と海外に加えて先進国・新興国もあります。また、積み立ての場合は購入時期が分散するので、これもリスク回避の要因となります。
リバランスが自動的に行われる
バランス型投信は決められた期間後に組み込み資産のリバランスが行われるので、個人で運用する場合にありがちな、値上がり資産の保有ウエイトが上がるようなリスク内在を避けられます。
リバランス時の節税ができる
リバランスの際には、値上がり資産の売却に伴う課税が発生しますが、バランス型投信では、課税分が個人の負担になることはありません。
バランス型投信の注意点
一方、バランス型投信には、以下のような注意点もあります。
運用コストが高い
一般的にバランス型投信はコストが高いといわれていますが、ここではつみたてNISAの106本のバランス型投信について見てみましょう。
つみたてNISAの対象ということもあり、ほとんどがインデックスファンドになっていますが、代表的な大手運用会社2社の類似したファンドを6ファンドずつ抽出して比較した結果は、図表3となります。
【図表3】
金融庁 つみたてNISA対象商品届出一覧を元に筆者が作成
結果は、図表3にある通りバランス型投信(複数指数インデックス型)の信託報酬が高いことが分かります。この比較では、すべてのバランス型投信のデータが網羅できているわけではありませんが、論理的にバランス型の信託報酬が高くなると言えます。
基準価格の変動の原因が分かりにくい
ファンドの時価(基準価格)が変動した場合、価格変動の原因が分かりにくくなります。処分や買い増しの判断に迷うことがあるかもしれません。
株価などの上昇局面では株式投信に比べて資産増率が低くなる
なお、その他の選択として、低い信託報酬手数料で単一指数型ファンドを複数買う(株式インデックス投信と債券投資信託など)ことや、債券投資信託はやめてアメリカ国債を直接買うなどの方法も考えられます。
まとめ
バランス型投資信託の内容に加えて、メリットと注意点についてまとめてみました。
バランス型投信は、運用に不慣れな人にとっては比較的リスクが少なく安心して取り組める投資信託です。何から投資を始めればいいのか分からないという方は、バランス型投信から積立・運用を始め、投資に慣れてきたころにややリスク度の高い投資信託や金融商品に取り組むという方法はいかがでしょうか。
出典
金融庁 つみたてNISA対象商品の分類(2023年7月31日時点)
金融庁 つみたてNISA対象商品届出一覧(2023年7月31日時点)
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP