更新日: 2023.10.18 その他資産運用

現金の貯蓄は「100万円以下」ですが、iDeCoやNISAの積み立て金があります。老後は心配ないですか?

現金の貯蓄は「100万円以下」ですが、iDeCoやNISAの積み立て金があります。老後は心配ないですか?
貯蓄よりも、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)への投資を優先している方々がいます。実際に、SNSやインターネット上では「貯蓄より資産運用」という声も少なからず上がっています。
 
貯蓄が100万円以下でも投資をしていれば、老後は安泰なのでしょうか? その点について考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

「iDeCoやNISAで老後は心配ない」と言われる理由はなぜ?

iDeCoやNISAは資産運用の制度の一つです。ここ100年程度で見ても、多くの国で経済成長が進み、世界の株式市場も全体で見れば右肩上がりとなっており、資本主義社会において、老後に向けた資産運用は非常に理にかなった取り組みです。
 
参考までに、iDeCoやNISAで人気を集める米国株式を見ていきましょう。アメリカの「NYダウ」の推移について見ていくと、1920年ごろにはおよそ80米ドルだった平均値は、2021年現在、3万3000米ドルを上回りおよそ400倍となっています。これは年利6%を上回る成長率です。銀行の普通預金の利率と比べると驚異的な数値です。
 
世界恐慌のあった1930年ごろ、オイルショックのあった1970年ごろ、2020年ごろのコロナショックなど途中ところどころで下落していますが、いずれも乗り切り、株価は回復し暴落前よりも高くなっています。
 
また、iDeCoとNISAは、株式での資産運用を非課税ですることができる制度です。税制優遇を受けながら、若いうちから毎月数万円ずつでも積み立てて運用すれば、経済成長の恩恵によって、30年・40年先には無理なく1000万円・2000万円と、必要な老後資金を用意できる可能性が高いです。
 
こういった背景から、「iDeCoとNISAに資産があれば老後は心配ない」という意見が出ているのです。
 

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iDeCoやNISAで資産運用すれば安泰とは限らない

iDeCoとNISAにおいては、保有している株式や投資信託などを現金化するタイミングを選ぶ、「出口戦略」が重要です。
 
先に見たように、要所要所で株価は暴落します。老後資金が必要となるタイミングと暴落するタイミングが重なり、資産が大きく目減りした状況では、必要となる老後資金が確保できない場合もあります。10年、20年と中長期でみれば高い確率で暴落前の水準に回復しますが、老後それだけの期間を少ない現金貯蓄で耐えるのは、精神的にも金銭的にも厳しいものと想定されます。
 
そのため、iDeCoやNISAでの資産運用は出口戦略が重要です。
 
しかし、出口戦略を狙うにも現金が少ない状況では、株価の下落時には、価格の低下したタイミングで資産を切り崩さざるを得なくなります。例えば「5年待てば2000万円の資産として切り崩せたものの、現金が手元にないため、1500万円に下がった資産を切り崩さなければならず、損してしまう」ということも、手元の現金次第では起こり得るのです。
 

現金での貯蓄が100万円以下の状況は、現在や近い未来が危険である

貯蓄が100万円以下でも、iDeCoやNISAで老後必要な資産を準備できれば、老後はある程度安泰するかもしれません。しかし、「現在」は安泰といえない状態になります。
 
若いうちでも、結婚や子育てなどさまざまなライフイベントで、まとまったお金が必要になります。突然のけがや病気で治療費が必要となったり、不況などで失職したりするおそれもあるでしょう。
 
そういったリスクに対する備えとしては、現金100万円以下の貯蓄は危険です。生活費や年齢にもよりますが、最低でも6ヶ月分、できれば1年分の生活費は保有しておきたいところです。生活費が1年分あれば多くの場合、一時的なけがや病気、失業からでも生活を立て直すことができるでしょう。
 
とはいえ、理想的には、iDeCoやNISA含む資産運用は、暴落で目減りをしても落ち着いていられる範囲で、かつ、いざというときの備えを除いた、当面使うことのない範囲のお金で行いたいところです。
 

iDeCoやNISAと並行して現金での貯蓄も有しておくこと

どれだけiDeCoやNISAの資産運用がうまくいっていても、貯蓄が100万円以下では不安が残ります。年齢やライフスタイルなどによっても異なりますが、iDeCoやNISAを行うのであれば、並行してある程度の現金での貯蓄も行っておくべきです。
 
老後に備えてiDeCoやNISAに取り組むのもよいですが、老後は出口戦略の問題が残り、完全な安泰とはいえません。また、現在の生活も不安定なものとなります。
 
iDeCoとNISAを積極的に行うのであれば、せめて生活費の6ヶ月分から1年分くらいは確保した上で、当面必要なく、今目減りしても問題のない範囲で行うようにしてください。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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