更新日: 2024.03.29 NISA
新NISAの成長投資枠とは?つみたて投資枠との違いや上手な活用術を徹底解説!
実際に2023年12月まで提供されていた旧NISAから投資を始めたとの方も多く、利用している年齢も老若男女問わず幅広いです。資産形成に有効になるように運用益や分配金が非課税なので、投資上級者の方も多く利用してきました。
本記事では、新NISAの成長投資枠について解説するのに加えて、つみたてNISAとの違いや活用術などについて徹底的に解説します。これから新NISAを始めたいと考えている方がいれば、内容について参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
新NISAの成長投資枠とは?
「新NISA」は2024年1月から新しく始まりましたが、旧NISAであった「つみたてNISA」と「一般NISA」両方の特徴を引き継いでいます。
基本的な考え方としては、旧NISAの魅力を持ちながら、さらに効果的に資産形成できるような制度です。新NISAの投資枠については「成長投資枠」「つみたて投資枠」の2つが設定されており、それぞれを併用しながら投資できます。
新NISAと旧NISAの変更点などについては、以下を参考にしてみてください。
図表1
旧NISA | つみたてNISA | 一般NISA |
---|---|---|
年間投資可能額 | 40万円 | 120万円 |
非課税保有期間 | 20年間 | 5年間 |
口座開設期間 | 2023年まで | 2023年まで |
投資対象商品 | 金融庁の基準を満たした投資信託に限定 | 上場株式・投資信託など |
金融庁 新しいNISAを基に作成
図表2
新NISA | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
---|---|---|
年間投資可能額 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有期間 | 無期限化 | 無期限化 |
非課税保有限度額 | 1800万円(成長投資枠は1200万円まで) | |
口座開設期間 | 恒久化 | 恒久化 |
投資対象商品 | 金融庁の基準を満たした投資信託に限定 | 上場株式・投資信託など |
金融庁 新しいNISAを基に作成
新NISAでは、旧NISAよりも「年間投資可能額」や「他税保有限度額」が高めに設定されているのに加えて、「非課税保有期間」や「口座開設期間」が無期限化されているのが特徴です。このような部分が変化したのが資産形成においては大きなメリットといえ、成長投資枠は新NISAの投資枠の1つになります。
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新NISAの成長投資枠とつみたて投資枠の違い
新NISAの、「成長投資枠」と「つみたて枠」の大きな違いは投資対象商品といえます。
「成長投資枠」が上場株式や投資信託などの選択肢がある一方、「つみたて投資枠」では金融庁の基準を満たした投資信託に限定されています。また、年間投資枠については、成長投資枠が240万円とつみたて投資枠の120万円の倍あり、年間の最大投資額については240万円+120万円=360万円です。
新NISAでは成長投資枠とつみたて投資枠を併用できるため、非課税保有限度額を全額使用するためには最短でも5年かかります。
注意点としては、非課税保有限度額1800万円の内1200万円までは成長投資枠で使用可能な一方、残りの600万円はつみたて投資枠の投資信託で埋めなければなりません。しかし、非課税保有限度額1800万円全額をつみたて投資枠で埋めるのは可能なので、それぞれどれくらい投資するかに関しては一人ひとりの投資方針やライフスタイルが影響します。
上場株式は日本株や米国株などの個別株も含まれているため、投資選択肢もかなり幅広いです。
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旧NISAから新NISAになったことによる成長投資枠の変更点
旧NISAから新NISAになったことによる成長投資枠の変更点はさまざまですが、年間投資可能額が増えている・非課税保有期間が伸びている・非課税保有限度額が大きいなどが挙げられます。
イメージとしては旧NISAの「一般NISA」が新NISA「成長投資枠」、旧NISAの「つみたてNISA」が新NISAの「つみたて投資枠」です。旧NISAでは一般NISAとつみたてNISAの併用が認められていませんでしたが、新NISAでは成長投資枠とつみたて投資枠の併用が認められています。
このような変更がされたので長期投資や分散投資がさらにしやすくなり、特に長期投資については非課税保有期間がなくなった恩恵が大きいです。旧NISAでは一般NISAで5年間・つみたてNISAで20年間と決められていました。
長期投資と分散投資は投資において基本となるため、投資をする際には意識しておきましょう。
投資の基本1.長期投資について
長期投資は投資した投資商品を10年以上保有することであり、短期投資などと比較すると投資リスクが格段に低くなります。
例えば、保有期間が5年間だと元本割れするリスクは10%以上ありますが、保有期間が20年になると元本割れするリスクはかなり低いです。そもそも新NISAでは長期投資による資産形成が主な目的なので、投資初心者や投資未経験者でも継続的に投資すると意識しなくても取り組めます。
また、長期投資をすると複利効果による投資効果も期待できるため、投資リスクを抑えながらも効率的な資産形成に効果的です。
注意点としては、長期投資の効果を得るためには、緊急時以外には引き出しなどをしない意識も求められます。長期投資は投資リスクを抑えながら、大きな運用益を得られる投資の基本です。
投資の基本2.分散投資について
分散投資とは1つの投資商品に集中的に投資するのではなく、複数の投資商品に投資して投資リスクを抑える方法といえます。
金融危機や経済不況などが発生すると相場価格が大きく落ちる可能性もありますが、1つだけに投資していると相場価格が落ちた時に大きな影響を受けるのは避けられません。また、世間的には相場価格が全体的に大きく伸びている状況でも、会社が不祥事などを起こすと一気に下がる可能性も考えられます。
分散投資をする際には業界や地域なども分散するのがおすすめであり、1つの問題で大きく落ちないようなポートフォリオが重要です。投資商品の中でも投資信託は分散投資に適しているといえ、理由としては投資信託には複数の金融商品が組み合わされているからといえます。
このような特徴から日本株や米国株などの個別株と比較しても分散投資がしやすく、金融危機や経済不況などにも強いです。
新NISA「成長投資枠」のメリット
新NISA「成長投資枠」にはさまざまなメリットが存在していますが、利用する前にはメリットについて把握しておきましょう。資産形成を効果的に進めるためにも成長投資枠の活用は重要といえ、運用方針やライフスタイルなどに合わせながら判断しなければなりません。新NISAでは投資できる選択肢も広いため、考えながら進めるのが大切です。
新NISA「成長投資枠」のメリットについては、以下が挙げられます。
●上場株式にも投資できて配当や優待も受けられる
●少額でも各種投資を始められる
●積み立て購入とスポット購入で投資できる
●投資した投資商品の売却についても好きなタイミングでできる
それぞれのメリットについて解説するので、これから新NISAを始めたいと考えている方は参考にしてみてください。
新NISA「成長投資枠」のメリット1.上場株式にも投資できて配当や優待が受けられる
成長投資枠では、「上場株式にも投資できるのが特徴」として挙げられ、投資した株式などに合わせて配当や優待を受けられます。ただし、配当や優待については株式によって決められているため、具体的な配当利回りや優待内容については先に確認しなければなりません。
どのような内容を重視するかは人によって異なり、配当を重視する方もいれば優待を重視する方もいます。
注意点としては、配当だけを見て判断するとリスクが高い株を選んでしまったり、自分の投資能力を越えて投資したりするケースは少なくありません。
資産形成を効率的に進めるためにはそれぞれの株が持っているリスクなども把握して、リスクとリターンのバランスを考えながら進める必要が挙げられます。得られた配当を再投資すると資産形成がさらに効率的に進められるため、運用方針やライフスタイルに合わせながら考えてください。
新NISA「成長投資枠」のメリット2.少額でも各種投資が始められる
成長投資枠は少額でも各種投資が始められるのが特徴といえ、場合によっては100円などでも投資可能です。
投資信託は決められた金額がないので始めやすいですが、日本株や米国株などの個別株は株価に応じて最低投資額が決められます。株によっては数百円で購入できるものもあれば、数千円から数万円がかかるものまで幅広いです。
具体的にどれくらいの投資余力があるかは人によって違うので、具体的な投資金額については一人ひとりが置かれている状況に合わせながら判断しなければなりません。
余裕があるなら投資金額を大きくして、余裕がないなら投資金額を少なくするなどの対応も必要です。新NISA成長投資枠は長期投資が基本となるため、短期間で無理をするよりも長期間で少しずつ無理のない範囲での投資が重要となります。
新NISA「成長投資枠」のメリット3.積み立て購入とスポット購入で投資できる
成長投資枠での投資方法は、「積み立て購入」と「スポット購入」が挙げられ、投資方針やライフスタイルに合わせながら好きな方法を選択してください。
積み立て購入では決められている日時に自動的に投資されますが、スポット購入では自分が好きなタイミングで投資できます。どちらの方法が優れていてどちらの方法が劣っているなどはなく、状況に合わせながら併用するのがおすすめです。
新NISA「成長投資枠」のメリット4.投資した投資商品の売却についても好きなタイミングでできる
投資の主な目的としては資産形成が挙げられるため、投資した投資商品の売却についても好きなタイミングでできるのは大きいメリットといえます。
どのようなタイミングで売却するかについては人によって違いますが、多くの場合はライフイベントに対応するタイミングです。理由としては結婚資金・住宅資金・教育資金などはまとまった金額が必要になるため、新NISAを活用して得られた資金などを活用する傾向にあります。
他にも、現在保有している投資商品を売却して、違う投資商品に投資したいと考えている場合も売却されることが多いです。ただし、違う投資商品に投資する際には投資枠をすべて利用してからにして、長期投資や複利効果を得られるようにしておきましょう。
新NISA「成長投資枠」のデメリット
新NISA「成長投資枠」は活用方法次第では大きなメリットが期待できますが、同時にいくつかデメリットがあるのは避けられません。
このデメリットについて把握していないと、思わない問題やトラブルに発展する可能性があります。新NISAを活用して効率的に資産形成するためにも、メリット・デメリット両方についての把握が重要です。
新NISA「成長投資枠」のデメリットについては、以下が挙げられます。
●投資できる選択肢が多いのである程度は勉強が必要
●損益通算や繰越控除が利用できない
具体的なデメリットについて解説するので、これから新NISAを利用するか検討している方は参考にしてみてください。
新NISA「成長投資枠」のデメリット1.投資できる選択肢が多いのである程度は勉強が必要
新NISAでは旧NISAと比較すると投資できる選択肢が多いので、効果的な資産形成をするためにはある程度の勉強が必要です。
投資信託と上場株式の組み合わせも方法として有効であり、場合によっては大きな運用益や配当金を得られます。しかし、投資できる選択肢が多くなるのはリスクも同時に大きくなるため、投資リスクを抑えながら投資するためにもある程度の勉強をしなければなりません。
資産形成は短期間でおこなうのは専門的な知識やノウハウを持っていても難しいですが、長期的な資産形成については専門的な知識やノウハウを勉強しながらでも可能です。
例えば、上場株式でも安定感が高いとされているものもあれば、安定感はないけれど大きく伸びる可能性を秘めているものもあります。具体的にどれくらいのリスクを許容できるかも投資方針においては重要なので、リスクとリターンのバランスについては決めておきましょう。
新NISA「成長投資枠」のデメリット2.損益通算や繰越控除が利用できない
一般的な投資方法では損益通算や繰越控除が利用できるため、損失を利益と相殺しての計上が可能です。ただし、新NISAでは成長投資枠でもつみたて投資枠でも損益通算や繰越控除の利用が認められていませんが、実際には新NISAだけで投資をしているなら影響はありません。
あくまでも一般口座や特定口座を利用しての投資が対象なので、自分自身が投資に関しての確定申告をしている方は注意してください。
<損益通算>
損益通算は商品Aで100万円の利益が出たとして商品Bで100万円の損失が発生すれば、利益100万円と損失100万円を相殺して最終的な利益は0円で計上できます。
<繰越控除>
繰越控除は運用した結果として損失が発生すると最大3年間繰り越せて、昨年度に100万円の損失があって今年度に100万円の利益があると相殺して0円での計上できる制度です。
新NISA「成長投資枠」の上手な活用術
新NISA成長投資枠の上手な活用術としては「つみたて投資枠」で購入できない投資商品への投資、つみたて投資枠で投資できる投資商品への投資などさまざまです。
基本的には資産形成するための制度なので、株などに投資して得られた配当金の再投資なども多くの方に取り組まれている活用術といえます。投資信託と上場株式のバランスについても考えて、一人ひとりの投資方針やライフスタイルに合わせるのが大切です。
また、新NISAでは非課税投資枠の再利用が認められているため、自分自身の考え方などの変化に合わせて売却と購入を選択できます。投資経験を積む前と積んだ後では見えている景色が変わるのは当然なので、投資方針が変化するのは悪いことではありません。非課税保有期間も無期限化しているため、投資を続ける中でさまざまな部分で変化が起きる可能性は高いです。
それぞれの時代や状況などを総合的に判断して、どうすれば効果的な資産形成ができるかについて考えなければなりません。
新NISA「成長投資枠」に関してよくある質問
新NISA「成長投資枠」に関してはさまざまな質問がありますが、その中でも多くの方が気になっているよくある質問が存在しています。
気になる点については調べてから取り組むのが大切といえ、放置していると思わない問題やトラブルに発展するかもしれません。よくある質問について解説するので、気になる方は参考にしてみてください。
質問1.旧NISAからの移行はどうすればいい?
2023年12月までは旧NISAが運用されていましたが、2024年1月からは新NISAが運用されているで旧NISAでは投資などができません。しかし、旧NISAで保有している投資商品についてどうすればいいか悩んでいる方は多く、実際にどのような対応をすればいいか把握しておきましょう。
基本的には旧NISAから新NISAへの移行はできないため、旧NISAで保有している投資商品を全額売却して現金化しなければなりません。
一度現金化してから新NISAへの再投資が基本的な流れになりますが、旧NISAで投資した分は非課税保有期間が終わるまで置いておくのも方法です。また、旧NISAで設定していた内容については新NISAに引き継がれているため、設定などを変更しないならそのままにしておいて問題ありません。
ただし、新NISAではさまざまな内容が変更されているため、積立設定変更なども視野に入れて一度見直しをするのがおすすめです。
質問2.非課税限度額をすべて使った後の投資方法とは?
新NISAでは非課税限度額が1800万円(成長投資枠は1200万円まで)ですが、すべて使った後には違う方法での投資を考えなければなりません。ただし、非課税保有枠で購入した投資商品を売却して枠を空ければ、後から違う投資商品の購入などは可能です。
NISA制度を利用しない方法での投資は一般口座や特定口座を使用する方法であり、これらの方法は運用益や分配金などに約20%の税金がかかります。
投資方法については証券会社や金融機関で違いますが、基本的な投資方法についてはNISAでの投資方法と変わりません。一般口座や特定口座についてはNISA口座を開設した際に同時に開設しているケースが多いため、改めてさまざまな手続きは不要です。
質問3.成長投資枠とつみたて投資枠のバランスはどれくらいがいい?
成長投資枠とつみたて投資枠のバランスについては個人の投資方針やライフスタイルで決まるケースが多く、日本株や米国株などの個別株に力を入れると成長投資枠が多くなる傾向にあります。ただし、どれだけ個別株に力を入れているとしても成長投資枠は最大1200万円までなので、成長投資枠とつみたて投資枠のバランスは1200万円:600万円が限界です。
ただし、つみたて投資枠で投資できる投資商品は成長投資枠でも投資できるため、その気になると1800万円全額を投資信託で埋められます。
個別株と聞くとリスクが高いように感じるかもしれませんが、実際にはローリスクローリターンのものからハイリスクハイリターンのものまで幅広いです。自分自身がどれくらいのリスクまでなら許容できるかなども視野に入れて、投資バランスについては考えるようにしましょう。
新NISAの成長投資枠まとめ
新NISAの成長投資枠は上場株式や投資信託など幅広い投資商品を選択できますが、どれくらいのバランスにするかは判断しなければなりません。人によっては上場株式を中心として投資するケースもあれば、投資信託を中心として投資するケースもあります。新NISAは投資初心者や投資未経験者でも始めやすく、専門的な知識やノウハウを持っていなくても投資リスクを抑えやすいです。
近年では老後2000万円問題などが取り上げられた関係から、資産形成に対しての注目度が高まっています。投資は投資期間が長くなるほど投資リスクなども抑えられるため、興味を持っている方は少しでも早く始めるのがおすすめです。
出典
金融庁 新しいNISA
金融庁 早わかり ガイドブック
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部