資産運用をしていて「40代」の運用成績はまずまずです。「50代」以降はリスクを抑えた運用方法に移行すべきですか?
配信日: 2025.01.22
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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運用成績の振り返り
現状の資産運用が50代以降の目標にどれだけ近づいているかを確認しましょう。具体的なチェック項目は以下の2点です。
(1) 年平均リターンが目標に対して適切か。
これは、運用会社の報告書などを見ればすぐに計算できます。冒頭のご相談内容だけでは、具体的な数字はわかりませんが、運用に取り組んでいる方の場合、3~5%の年平均リターンを目標としている方が一般的です。
3%の年平均リターンであれば順当かと思われますが、積極的なリターンを掲げていて例えば年率5~6%かそれ以上。それを実現している場合は、リスクをとった運用だと考えられます。
ここでいうリスクというのは「危険度」というのではなく「値動きの幅」ということです。これまでの結果がプラスに大きく動いたということは、今後同じ値動きでマイナスに動く可能性もあるということです。そう考えると、値動きの幅を抑えたほうがよいといえるでしょう。
(2) 保有資産のリスク分散ができているか。
運用にあたって心がけていく基本姿勢として、1つの資産に偏ってしまうと、その投資対象に売りが出た場合に大きく資産価値を毀損する恐れがあります。
分散投資しているつもりでも、株式だけとか、投資先は米国だけ、といったような資産や投資先に偏りがないかを確認しましょう。
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必要資金の試算
老後資金の目安として、「生活費(月額×25年)+ゆとり資金」の計算式で算出しましょう。計算結果と比較して不足分を埋めるための目標リターンを計算します。
個々の想定生活費はケースバイケースですから、生命保険文化センターで公表している統計数値を使います。
一般的な生活費の内、公的年金などではカバーしきれない不足分が月額3.8万円と記載されています。また介護にかかる費用が調査の結果、月額平均で8.3万円、平均介護年数が5年1ヶ月ということなので、こちらをゆとり資金の必要額として算出します。
・介護にかかる費用(月額8.3万円)×平均介護年数5年1ヶ月=506.3万円
・生活費(3.8万円×12ヶ月×25年)+506.3万円=1140万円+506.3万円
合計で1646.3万円です。すでに運用の成果として、この1646.3万円が達成していれば、これを維持する保守的な運用に切り替える必要があります。
具体的な運用目標の設定「運用はやめられない」
日本銀行の「経済・物価情勢の展望(2024年10月)」によると、消費者物価の前年比は、2024年度は2%台半ばとなり、2025年度はおおむね2%程度で推移する見通しです。
この傾向が続くとすれば、今後も物価上昇率が年率2%という環境下で、毎年公的年金不足分を取り崩しつつ、85歳まで赤字にならないようにするには、年率約2% で運用する必要があります。
確かに積極的な運用方針は値動きを大きくすることと同じ意味なので、好ましくはありませんが、目標金額に達成したとしても昨今の物価上昇率を考えると運用をやめることはできず、値動きを抑えたスタイルであっても継続することが必要になります。
まとめ
これまで述べてきたように、運用に取り組んでいる人は、適宜途中経過で運用成績と特定の資産や地域に運用対象が偏っていないかの確認をする必要があります。
定年退職が近づいてきた場合は、値動きを抑えた運用方針に移行するけれど、物価上昇が続いている限りは、資産の目減りを防ぐために運用は継続することが必要だということになります。
その際、どのくらいの目標リターンを設定するべきなのかは、それまでの運用成績で異なりますので、よく検討しましょう。
出典
公益財団法人生命保険文化センター 介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?
公益財団法人生命保険文化センター 老後の生活費はどれくらい?
日本銀行 経済物価情勢の展望(2024年10月)
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者