「iDeCo」と「NISA」って結局どっちを始めるべきかわかりません……。そもそもどのような違いがあるの?
配信日: 2025.01.24
NISAは、株式や投資信託を売却したときの利益が非課税で受け取れます。また、配当金や普通分配金も非課税で受け取れます。つまりNISAは「運用益に対して税金が掛からない」のが特徴です。
運用益に対して税金が掛からない制度には、もう一つあります。iDeCo(個人型確定拠出年金)です。では、NISAとiDeCoはどのように違うのでしょうか。本稿ではポイントを絞って述べていきます。
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
そもそもiDeCoとは?
iDeCoとは、国が設けた老後資金の準備制度の一つです。しかし、公的年金(国民年金・厚生年金)とは異なり、いわゆる「強制加入」ではなく、私的年金制度の一つです。つまり、iDeCoを利用するか否か、掛金の額、そして運用に至るまで、すべて自身の判断で行うものです。
特に運用には投資信託等、リスクを伴う選択肢も用意されています。つまり、投資で老後資金を準備する制度でもあるのです。
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運用益に税金が掛からない……。では、その他の税金は?
iDeCoの場合、掛金は毎年の年末調整や確定申告で、小規模企業共済等掛金控除として申告ができます。つまり、その分、所得税や住民税が軽減する可能性があります。
例えば、iDeCoの掛金を毎月1万円と設定して、12ヶ月間拠出したとします。1万円×12ヶ月=12万円、所得を減らすことができ、その分税金が減る可能性があるのです。
一方NISAの場合、投資に充てる金額によって所得税や住民税が軽減することはありません。
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受け取るときの税金は?
iDeCoの受け取り方には「一時金(=まとまったお金)」と「年金」、それに「一時金と年金の併用」があります。一時金には退職所得控除が適用されます。iDeCoの一時金から退職所得控除を差し引き、その2分の1の金額に対し、所得税と住民税が課税されます。
また、iDeCoを年金で受け取るときは公的年金等控除が適用されます。iDeCoの年金額から公的年金等控除を差し引き、残った金額があれば課税の対象となります。
一方、NISAで運用していたものを売却し、現金で受け取る場合、利益が出ても課税されることはありませんし、運用期間中に受け取った配当や分配金などにも課税されません。つまり非課税で受け取ることができます。
投資に充てていたお金が必要になったら
「投資は長期で」と、よくいわれます。しかし、長い人生、何があるか分かりません。長期のつもりで行っていた投資を途中で止め、投資に充てていた資金が必要になることもあるでしょう。では、いわゆる中途解約のようなことはできるのでしょうか?
iDeCoは、中途解約できません。iDeCoの掛金と運用益を引き出すためには、少なくとも60歳になるまで待つしかありません。20歳代、30歳代からiDeCoを始める方にとっては、運用するための「時間」があります。つまり、長期投資が可能です。
しかし、逆の言い方をすると、長期にわたり、「使うことができない」お金です。だからこそ「老後資金の準備にふさわしい」と思われるかもしれませんが、60歳になるまでのキャッシュフローや資産形成を見据える必要があるでしょう。
ちなみにNISAは、投資に充てたお金をいつでも引き出すことができます。
まとめに代えて
本稿ではiDeCoとNISAの違いについて、ポイントを絞ってお話しました。どちらを利用するか、あるいは両方とも利用するか、また両方とも利用しないか、そうした選択も自身の判断で行わなくてはなりません。今と遠い将来と、両方の資金計画を考えて判断しましょう。
出典
厚生労働省 iDeCoの概要
厚生労働省 iDeCoとNISA
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役