更新日: 2019.07.03 その他資産運用
ボーナスが出たからといって、運用にまわしてはいけない人とは?
老後のことを考えると資産形成は早い時期に始めるに越したことはありません。しかし、投資には値動きがあり、損をする可能性もあることを忘れてはいけません。
そのため、中には運用(投資)よりも先にしなければならないことがある人もいます。
その人とはどんな人なのでしょうか。そうした人が運用より先にすべきことをしないと、果たしてどうなってしまうのでしょうか。
執筆者:岩永真理(いわなが まり)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表
横浜市出身、早稲田大学卒業。大手金融機関に入行後、ルクセンブルグ赴任等を含め10年超勤務。結婚後は夫の転勤に伴い、ロンドン・上海・ニューヨーク・シンガポールに通算15年以上在住。ロンドンでは、現地の小学生に日本文化を伝えるボランティア活動を展開。
CFP®として独立後は、個別相談・セミナー講師・執筆などを行う。
幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプラン、国際結婚のカップルの相談など多数。グローバルな視点からの柔軟な提案を心掛けている。
3キン(金融・年金・税金)の知識の有無が人生の岐路を左右すると考え、学校教育でこれらの知識が身につく社会になることを提唱している。
ホームページ:http://www.iwanaga-mari-fp.jp/
投資の前提1:赤字体質ではない、高利のカードローン・リボ払いなどがない
家計が赤字体質で高利のカードローンやリボ払いなどがある方は、ボーナスは運用するではなく、まずローンの返済にあてるべきでしょう。カードローンの金利は18%などと高いのですが、運用で18%の利益を得られる保証はないからです。
カードローンの返済に充てれば、その返済額の金利分を払わないで済みますので、金利分を稼いだのと同じ経済効果が得られます。
返済は、景気や運などとは無関係でかつ投資の勉強も不要で、お金があれば誰にでも簡単にできます。高利の負債は積もり積もると大変負担が大きく返済が大変なため、できるだけ早期に返済したいものです。
返済ができずに滞ると、金利がどんどん増えて借金が膨れ上がるばかりか、信用情報機関に延滞の履歴(いわゆるブラックリスト)が残り、しばらく住宅ローンや自動車ローンなど、その他のローンが組めなくなる可能性があります。
複数のローンがある場合は、金利の高いものから優先的に返済しましょう。
【PR】日本財託グループセミナー
投資の前提2:一定の貯蓄(緊急時の資金)がある
万一病気や事故で働けなくなる、あるいは家族を含めて入院して急にお金が必要になることもありますので、まずは生活費の3か月~1年分は常に引き出せるように普通預金などで貯蓄しておきたいものです。
例えば、ひと月30万円の生活費を使う家庭では、90万円~360万円をいつでもおろせるようにしておきましょう。
このような貯蓄を持たずに投資してしまうとどうなるのでしょうか。
例えば、お金が急に必要になった時に株式投資をしていると、株価がいくらになっているかに関わらず、株式を売って現金化する必要があります。
売却すると株価によっては大幅な損失が出てしまう場合でも、タイミングが選べないので、売却した損失を受け止めるよりほかありません。
もし、まだ十分な貯蓄ができていなければ、焦って投資をせずに貯蓄を優先するとよいでしょう。
その他ローン(住宅ローン・自動車ローン)の場合は?
上記前提1、2をクリアできた場合に、その他ローンについてはどうなのでしょうか。
高金利ローンのように、ボーナスが余裕資金になる場合は返済に充てる、あるいはローンを組まない方がよいのでしょうか。
下記要件に当てはまる際は、必ずしもそうではないケースもあります。
具体的には、
ローン(を組む際)のメリット > ローンを組まない或いは返済のメリット=金利負担減の場合です。
その他ローンがある、あるいはこれからローンを組むことを考える際に、そのローンを借りている、あるいは借りる方がメリットは大きいと判断できる時には、敢えてローンを組む、あるいは繰上げ返済をしないで、ボーナスなどの余裕資金を貯蓄や運用に向けることも考えられなくはありません。
「ローンを組んでもメリットがある場合」とは、
1.ローンが低金利:運用で稼げる金利の方が大きい
2.減税がある:住宅ローン減税 など
です。
住宅ローンに団体信用生命保険が付いている場合には、ローンの契約者が万一亡くなると、残債が免除される保障があります。
そのため、教育費がかかる子供がいるなどその保障の保険料分を差し引いても保障を重要視する場合は、返済能力があっても敢えてローンを組む、あるいは繰上げ返済をしないかたもいます。
教育費がかかる時期は、教育費を払うための現金を持っておく必要もあり、住宅ローンは無担保の教育ローンより金利が低いので、敢えて住宅ローンを繰上げ返済しないという考え方もあります。
執筆者:岩永真理(いわなが まり)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士