つみたてNISAをするなら知っておきたい「ドルコスト平均法」のメリットって?
配信日: 2019.09.12 更新日: 2021.06.23
そこで今回は、つみたてNISAを利用するなら知っておきたいドルコスト平均法について解説します。
執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター
保険を得意ジャンルとするFP・フリーライター。
代理店時代、医療保険不要論に悩まされた結果、1本も保険を売らずに1年で辞めた経験を持つ。
FPとして、中立公正な立場から保険選びをサポートしています。
ドルコスト平均法の効果
ドルコスト平均法とは、定期的に一定の金額の買い付けを行うことによって、価格が安いときは多く、価格が高いときは少なく買うことになり、結果として平均単価を下げる効果が期待されることを言います。
小難しい言葉ですが、要するに毎月1万円、2万円のように金額を決めて購入し続けることなので、ドルコスト平均法とは積立投資のことだと考えれば良いです。
ある1つの会社の株式に継続して投資をすると仮定し、毎月の予算を1万5000円と決めて購入し続ける場合(定額購入)と、毎月150株ずつ購入し続ける場合(定量購入)を比較してみましょう。
毎月、定額で積立投資をする場合は株価が100円なら150株を購入し、200円なら75株を購入することになります。毎月150株ずつ買うと決めるのであれば毎月の投資金額は変動するので、株価が100円なら1万5000円、200円なら3万円となります。
両者の平均購入単価を比較すると、以下のとおり定額購入(ドルコスト平均法)のほうが安くなります。これは株価がずっと一定でもない限り、どんな値動きをしても同じです。
・定額購入:6万円÷450株=133.3円
・定量購入:8万5500円÷600株=142.5円
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ドルコスト平均法で平均単価が下がるのは当たり前
証券会社のウェブサイトを見ると、ドルコスト平均法について解説されていることが多いです。これは「平均購入単価を下げる効果が期待できる」という説明が商売上、有利に働くからではないかと考えられます。
平均単価が下がるカラクリは簡単です。価格が安いときはたくさん買うので、平均購入単価を計算するにあたり安い価格のウェイトが高くなるからです。
しかし、定量購入と比較して有利なように見せるのは少々問題があるのではないでしょうか。なぜなら、積立投資は毎月1万円、2万円のように金額をベースにして行うものであり、購入する数量を決めて行うことはまれだからです。
ドルコスト平均法のメリットは、平均購入単価が定量購入と比べて下がることではなく、主に以下の2点です。
・買うタイミングで悩まなくて良い
・高値づかみのリスクが減り、購入単価が安定する
投資をしたことがあれば、今が買い時なのかどうか迷うという経験は誰でもしたことがあるはずです。株や投資信託などの価格は想定外の動きをすることも多く、そう簡単に予想通りの結果は得られません。そのため、素人が任意のタイミングでまとまった資金を投じて購入するのはリスクが高いです。
ドルコスト平均法はそのような不定期の購入と比べ、購入単価が安定しやすくリスクを抑えることができるというメリットが期待できるわけです。
ただし、リスクが低くなるということは、リターンが小さくなるということでもあります。また、積立投資であっても価格が下がり続ければ損をしますので、必ずもうかるというものではありません。
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20年、積み立てれば必ずもうかる?
金融庁が平成29年2月3日に開催した「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議」では、家計の資産形成に向けた取り組みについて話し合われています。
この会議の開催にあたって作成された報告書の中に、1985年以降の各年に毎月同額ずつ国内外の株式・債券の買い付けを行った場合の収益率を試算した結果が掲載されています。
これによると、保有期間が5年間の場合は収益率がマイナスになることもありますが、20年なら年率で2~8%の間に収れんするとのことです。このような結果が出る理由として、報告書では以下の2点を挙げています。
・投資対象をグローバルに分散させることで、世界経済の成長の果実を享受できること
・積立投資によって投資時期を分散することにより、高値づかみのリスクを軽減できること
リスクを抑えつつ、世界経済の成長による果実を享受できるというのが本当なら、資産運用に興味がなかった人でも関心が持てるのではないでしょうか。また、つみたてNISAの投資対象は金融庁が厳選した投資信託のみなので、銘柄選びにかける労力が最小限で済むというメリットもあります。
以上のような点を考慮すると、今後20年で同じ結果が出るとは限りませんが、つみたてNISAで税制面での恩恵も受けつつ長期投資をすることには検討の余地があると言えるのではないでしょうか。
出典:金融庁 「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議」第1回資料
執筆者:横山琢哉
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター