更新日: 2020.12.10 NISA
投資初心者がつみたてNISAを始める際に注意したいことって?
だからといって、投資初心者に対して「つみたてNISAはやらない方がいい」とはいいません。なぜならば、つみたてNISA自体、個人投資家の裾野を広げることが目的の制度で、投資初心者向けの制度としては目的に合致しているからです。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
つみたてNISAは投資初心者をターゲットにしている
つみたてNISAは、投資経験がなかったり、あっても少しといった投資初心者を前提にした資産運用促進税制というのが制度の本質です。本来なら、証券税制の類いは投資家の利益をより最適化するために優遇税制として設けられるため、経験豊富な投資家を対象としています。
これが資産家優遇だという指摘もあり、今では証券税制はすっかり鳴りを潜めていますが、その代わりにつみたてNISAが大きくクローズアップされています。
ただ問題は、つみたてNISAが投資初心者をターゲットにしている制度であるため、資産運用のノウハウなどにほとんど慣れていないことです。
つみたてNISAは資産運用しておくと、あとで売却益や分配金に対して所得税をオマケしてあげますよという制度であるため、そもそも「資産運用の方法論」と「所得税制の中身」を分けて理解する必要があります。
しかし、投資初心者にとっては所得税制の中身は理解できても、日々動くマーケットについてはよく分からないため、この点を簡素化するために資産運用の方法を「長期」・「積立」・「分散」投資が基本であるという、ある意味分かりやすい運用パッケージが打ち立てられるようになりました。
つまり、税制面のポイントを理解してもらった上で、このパッケージを提示すれば理解してもらいやすくなるため、資産運用が促進され、それまで投資に関心がなかった人が市場に参入しやすくなるわけです。つみたてNISAを行う場合は、まずこの前提を知っておきましょう。
このように記述していくと、悪い印象を持つかもしれませんが、必ずしもそういうわけではありません。
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投資初心者は「長期」・「積立」・「分散」投資をしていればいい
投資初心者は、資産運用についてどうしたらいいか分からないわけですよね。それならば、運用のやり方を簡単に分かりやすくすればいいわけで、そこで編み出されたのが「長期」・「積立」・「分散」投資です。
金融機関としては、初心者向けにアドバイスする場合、この3つをクリアすれば良いので、説明がぐっと楽になります。
「長期投資」については、老後のお金を準備することが目的なので「続けることが大事」ですといえばいいですよね。
「積立投資」についてはドルコスト平均法を使えば、仮に投資信託の基準価額が下がったとしても長期投資を行うのが前提のため、「途中でやめてはいけない」といえばいいわけです。
そして「分散投資」については、リスクはなるべく抑える方が良いため「1つの投資信託だけでなく、複数の投資信託で運用するようにしましょう」といえば済みます。
そのため、いわれたとおりに素直に「長期」・「積立」・「分散」投資を実行すれば、20年後、晴れて小金持ちになっているという寸法です。あえて少し大げさな表現をしましたが、金融機関の立場に立って投資初心者向けに説明するとなると、これが一番簡単な方法のような気がします。
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投資初心者はインデックスファンドで分散投資をすればいい
おそらく、投資初心者にとってコツコツと長い目で続けていく「長期投資」と「積立投資」は分かりやすいと思います。
しかし、「分散投資」となると、現実的にどの投資信託を選べばいいかという壁にぶつかります。そこで生み出されたのが「インデックスファンドがふさわしいです」という答えです。
インデックスファンドとは、日経平均株価指数などの株価指数に連動するように設計された投資信託です。インデックスファンドの特徴は、ノーロードファンドと呼ばれる販売手数料がかからない投資信託で、かつ信託報酬などの管理手数料も低めに設定されているため、運用コストが安く済み、投資初心者にはうってつけです。
「そうか、投資信託はインデックスファンドを選べばいいんだ。でもインデックスファンドっていろいろとあるし、分散投資なわけだから、どの組み合わせがいいんだろう」となった場合、分散投資に良いといわれているのは「一般的に」株式型と債券型の投資信託を組み合わせることです。景気が良いときは株式が買われ、債券が売られます。
このようなことから両者は違う値動きをするため、組み合わせとしてはインデックスファンドで、株式型と債券型の投資信託を組み合わせるようにしましょう。これで「分散投資」のアドバイスは完了します。金融機関にお勤めの方なら簡単ですよね。その結果、投資初心者はつみたてNISAを始めます。
まとめ
国自体がこのようにつみたてNISAを推奨しているわけですから世の中的には間違いではありませんし、制度の対象が右も左も分からない投資初心者ですから、投資の入り口というか、きっかけ作りとしては間違いでもないと思います。
つみたてNISAの目的は、資産運用の裾野を広げること。その結果、どうなるかは自己責任になります。
マネーリテラシーを磨くということは、人がいっていることに対して自分がどう考えるかということでもあります。それが正解だと思えばそれでいいですし、それが間違っていると思うなら自分なりに学べばいいのです。金融を取り巻く環境はかつてと比べ複雑になっています。
その中で、さも簡単に運用することができるようになっているつみたてNISA。アドバイスを受ける場合、受ける側の姿勢が問われているという好事例でもあるのがつみたてNISAといえるでしょう。
前述のトークスクリプトのような話の内容には考えるべきポイントがいくつかあるため、投資初心者の方はそこをヒントにつみたてNISAでの運用について考えてみてくださいね。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)