資産運用、あなたはやっていい人? それともダメな人?
配信日: 2021.01.16
多くの方が投資未経験者からスタートしますが、傾向としては、よく分からないけど始めるというケースが珍しくないでしょう。ただ心配なのは、損をするのは嫌だと強く感じる、経験しても学ばない、お金に余裕がないのに続けようとするといったケースです。
投資初心者にとってのリスク許容度について、どのような意味かを考えていきたいと思います。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
投資初心者にとってのリスク許容度とは
投資にはリスクがつきものです。リスクは、日常生活では「損をすること」と思われがちですが、投資においては「不確実性」のことをいいます。
つまり、投資は「もうかることもあれば、損をすることもある」というのが資産運用のリスクですが、リスク許容度とは、その「確実ではない結果をどれぐらい容認できるか」という、いわばものさしのようなものです。
厳密にはさまざまな尺度がありますが、投資初心者にとって必要と思われるリスク許容度を最低限3つ述べよといわれたら、(1)「性格」、(2)「時間」、(3)「資金」と答えられるかもしれません。
まず、1つ目のリスク許容度である(1)「性格」ですが、これは「損失を被ったときの判断能力」をいいます。
普通、人は損をした場合、嫌な気持ちになったり、不安な気持ちになったりします。初心者なら、なおさらそうなるでしょう。逆に得をした場合、うれしい気持ち、ほっとした気持ちになることでしょう。このような感情のブレが自分の中で大きいか、小さいかを客観的に認識しておくことが必要です。
要するに「リスクに対して自分がどう振る舞うか」ということですが、よくありがちなのが、損をしたら気分が悪くなってイライラしてくるといった方です。逆に、もうけが出たら必要以上に浮かれてしまうというのも振る舞いとしては不安定といえます。つまり、客観的に自分の感情を見据え、コントロールできる力が投資には求められます。
次に(2)「時間」ですが、これは「投資に向き合える時間」を指します。
投資に必要なことは何かを端的にいうと、投資についての知識や情報を身に付けたり、運用状況を確認し、判断する時間を確保することです。要は「考える時間」をいかに確保するかですが、何も考えないで勘で投資を行うか、しっかりと情報などを取り入れ、状況に応じて判断していくかで運用成績に差が出ます。
投資は、「自分の代わりにお金が働いてくれる」とよくいわれますが、この意味は「自分が働いている時間以外にも時間を有効に活用しましょう」ということです。この時間の有効活用こそが、考える時間を確保するということです。
よくご相談者さんから「時間がないから投資はほったらかしがいいです」と言われることがあります。本人がそう思うならそれでいいのですが、知識や情報を得る時間が少なければ、必然的にリスク、つまり自分の中での投資に対する不確実性は高まりやすくなり、結果としてリスク許容度は低下します。
リスク許容度は「リスクを受け入れる力」なので、勘に頼っているようでは単なるばくちと同じです。このため、学び続けることができるかどうかという点もリスク許容度としては大切なポイントになります。
最後に(3)「資金」ですが、確定拠出年金やつみたてNISAなどで投資信託を運用する投資初心者にとっては、そもそも少額投資を前提に始めるため、大きく家計を痛めることはほとんどないと思います。
ただ、資産運用を何年も続けていると、積立投資といえども投下する資金の合計額は膨らんでいきます。仮にそのお金が子どものためのお金だったり、老後の生活資金を貯めるためのお金だったりする場合、明確な目的があるため、せっかく積み立てたお金が運用によって結果的に損失を被ると、それはそれで痛手と感じるでしょう。
このようなことから、資金的なリスク許容度としては「余裕資金」で仮に損失を被ったとしても気にならない程度で投資を続けていく必要があります。ここで重要なのがライフステージです。
一般的に子育て世帯では、子どもの進学課程によって家計収支の状況に変化が生じます。特に高校や大学を私立と考えているご家庭では、住宅ローンの返済も行っている場合、注意が必要でしょう。
このような意味でも、老後の生活資金を準備することを目的にしている確定拠出年金やつみたてNISAでは、無理のない月々の運用額として上限が設けられており、また運用金額の増減もできるようになっているため、ライフステージや家計の状況次第で上手にコントロールしていくことが求められます。
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まとめ
自分にとってリスク許容度とは何かを一言でまとめると、「リスクをいかにコントロールできるかについて、自分自身を客観視する」ことといえます。
損をしたらすごく気になって、毎日気が気でならないという人は、そもそも感情のコントロールが苦手なわけですから、本質的には投資には向いていないのかもしれません。また、投資について忙しいから学ぶ時間はないと初めから決めつけている人は、損失を被っても納得できるということになるため、感情としてのリスクコントロールは可能といえるかもしれません。
そして資金のコントロールですが、客観的に家計を把握していれば、おのずと毎月の投資資金がどれぐらい余裕のあるものかが見えやすくなります。
投資初心者の場合の傾向としては、儲かったらうれしい、損をするのは嫌だ、くらいに受け止めているケースが多いと思いますが、もう少し深掘りすると、自分に備わっているリスク許容度がどの程度かに気づきます。
お話した3つの点についてはそれほど難しい内容ではないため、イメージしやすいと思いますが、客観的に自分と向き合うことが資産運用には必要であるということは胸に留めておくようにしましょう。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)