更新日: 2021.01.19 その他資産運用

ビットコインが240万円台まで急騰

ビットコインが240万円台まで急騰
ビットコインが再び市場の注目を集めようとしています。
 
今を去ること3年前、2017年12月に1ビットコインが200万円を超え、ビットコインブームを巻き起こしたかと思ったら、70万円台まで急落してブームは去りました。
 
その後、2020年10月には120万円程度の価格で推移していましたが、2020年12月20日現在では243万円と2ヶ月弱で2倍に急騰しています。
 
今回は、この急騰の背景を分析してみたいと思います。
※この記事は2020年12月24日時点の情報を基に執筆しています。
浦上登

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)

サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。

現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。

ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。

FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。

2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。

現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。

早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。

サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow

コロナ禍と世界的金融緩和

ビットコインだけでなく、株式市場もコロナ禍で高騰相場の様相を呈しています。
 
ニューヨークダウは3万ドルを超え、日経平均株価は29年半ぶりに2万6000円を超えています。経済指標に反して株価が高騰しているのは、超金融緩和によるマネーが市場に出ているせいだといわれています。
 
米国では金融緩和の影響で、物価上昇圧力が高まり、実質金利がマイナスになっています。
 
米国10年物国債の利回りは0.9%台であるのに対し、物価連動債から算出される今後10年の予想物価上昇率は1.9%です。実質金利=名目金利-物価上昇率なので、2020年12月17日時点で実質金利はマイナス1%になっています。
 
これは金融緩和による影響で、このような状況下では、お金を借りて投資や消費に回す傾向が強まるといわれています。
 
※物価連動債とは、物価上昇率に応じて元本が調整される債券です。期待インフレ率が高いと債券の価格が上昇するので、予想物価上昇率を算出するのに使われます。
 

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ビットコイン高をもたらした要因

こうした状況で、ビットコイン高をもたらしたものとして次の要因があげられます。

(1)ビットコインが、コロナ禍におけるヘッジ資産として評価されだしたこと(金との相関)
(2)ビットコインの供給量の減少
(3)ビットコインを主要な金融資産とみなす認識の広がり
(4)ヘッジファンドの参入
(5)PayPalが決済手段としてビットコインなどの仮想通貨への対応を表明

ビットコインが、コロナ禍におけるヘッジ資産として評価されだしたこと(金との相関)

ビットコインは、ブロックチェーンという技術に基づいて作られたもので、改ざんが不可能であるという特徴があり、ITの世界における「金」といわれています。
 
ビットコインをはじめとする仮想通貨が、どこまで貨幣ないし投資対象として認められるかは今後の動向次第ですが、「コロナ禍における高騰市場」という不安定な状況下で、金と同様に価値の変わらないものを求める人たちが高騰の後押しをしているということができます。

ビットコインの供給量の減少

2140年までに採掘可能なビットコインの総量は2100万ビットコインと決まっています。
 
現在まで約90%のビットコインが採掘済みで、ドルや円といった通貨と違い、今後その量が増えることはありません。これがITの世界の「金」といわれる所以(ゆえん)であり、ビットコインが買われている理由です。

ビットコインを主要な金融資産とみなす認識の広がり

上記に基づき、ビットコインを主要な金融資産とみなす認識が広がってきたことを受けて、保険会社や年金資産の資産運用の手段としてビットコインが使われるようになり、機関投資家が参入してきています。
 
また、ブルームバーグは2018年から仮想通貨の価格にリンクする仮想通貨資産のインデックス・ファンドを上場してきましたが、2021年からS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスも同様のインデックス・ファンドをスタートさせる予定で、仮想通貨への投資がさらに進む動きが出てきています。

ヘッジファンドの参入

ビットコインの価格変動率が良いことに着目してヘッジファンドが参入してきています。

PayPalが決済手段としてビットコインなどの仮想通貨への対応を表明

決済サービスの大手であるPayPalが、決済手段としてビットコインなどの仮想通貨を使うことを表明しました。2021年初頭には世界中の2600万の加盟店で決済手段として利用できるようになる予定です。
 
価格が乱高下するようになると決済手段として使いにくくなる可能性はありますが、世界的に決済手段として利用されるようになるとビットコインにとっては追い風となります。
 

まとめ

ここまで仮想通貨をめぐる動きを説明してきました。上記(1)~(5)はビットコインの価格上昇をサポートする動きですが、一方で米国財務省が2020年12月に仮想通貨ウォレットの規制案を発表しています。
 
仮想通貨ウォレットとは、仮想通貨を購入して保管しておくための電子版の財布のようなもので、その使用に制限を加えることにより、仮想通貨がテロ資金などのマネーロンダリングに使われることを規制しようというものです。これは以前からある仮想通貨規制の動きとしてとらえることができます。
 
いずれにしても、ビットコインは2017年の高値を突破したので、以前からあった売り圧力を受けることはなくなりました。これからは投資手段としての認知度がどのように変化するのか、また米国などが仮想通貨をどう規制していくのかが、ビットコインの今後の動向を占う指標になると思います。
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
 

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