更新日: 2021.02.02 資産運用

「資産運用は単なるマネーゲーム」といわれる理由を金融政策から考えてみる

執筆者 : 重定賢治

「資産運用は単なるマネーゲーム」といわれる理由を金融政策から考えてみる
中央銀行が行う金融政策には、「金融引き締め」と「金融緩和」の2つがありますが、2021年1月現在、アメリカでは史上空前の超大規模な金融緩和政策が実施されています。
 
これは、コロナショック後の景気の下支えのみならず、将来に向けた景気の回復を目的としていますが、この結果、金利が低下、為替もドル安に傾いています。同時に、アメリカの株式市場では史上最高値を更新し続けていますが、この仕組みの理解なく資産運用を行うのは、単なるばくちといっても過言ではないかもしれません。
 
重定賢治

執筆者:

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

重定賢治

執筆者:

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

ほったらかし投資を長く続ける危険性

世間では確定拠出年金やつみたてNISAの活用の高まりを受け、ほったらかし投資があたかも推奨されているような雰囲気があるように見受けられますが、実際のご相談でもこうした傾向を感じることが多く、資産運用の構造理解が進まないまま、よく分からないからほったらかしにするといった方が多いように思います。
 
このようなケースでは、いざ大局が変わり、相場において大きくトレンドが変化した場合、「なんで株価が下がっているの?」という疑問を自分で組み立てられず、さらにほったらかしにしておく危険性が高まります。
 
これについては、確定拠出年金やつみたてNISAでは、積立投資が前提になっているため、途中で止めるのは良くないというのがまことしやかにいわれていますが、この理由になっていることの1つが、例えば文明が成長し続ける以上、株式市場は拡大するという途方もない絵図だったりします。
 
確かに一理ありますが、あまりにも長い目で見た場合を前提にしている話で、個人のライフスパンで人類の技術革新を前提にしているわけですから、もはや架空の話といっても過言ではありません。
 
金融政策は、そんな途方もない長いスパンの話というよりも、もっと短い経済スパンを前提にしているため、金融政策によって株式市場が動きやすくなっている今のような状況では、その構造理解が必要不可欠になってきます。
 
特に金融緩和の出口戦略について、すでに議論が始まっていることを踏まえると、その内容を知らなければ、実際に中央銀行が金融引き締めに転じる前後でマーケットがどのように動くかすら予測することは難しくなるでしょう。
 

金融政策が終わることで、マーケットは転換する

現在、中央銀行で行われている超大規模な金融緩和政策は、コロナショックによる景気の下支えが第一にあります。そして、次年度以降の景気の回復も見越す形で行われています。
 
アメリカの場合、2021年1月現在、10年物国債の利回りは一時の下値から戻り上昇してきていますが、チャートを見ると、この戻りが継続して今後さらに上昇していくかどうかは見極めていく必要がある状況です。
 
仮に現在の上昇が反転し、再び下落し始める場合、考えられる要因はさらなる追加緩和であるため、この結果、為替はドル安、株価は上昇を続けることが予測されます。為替についても、ドル安に一服感があり、現在はドル高に転じてはいますが、さらなる追加の金融緩和で方向が再びドル安に向かうのならば、株式市場にとっては追い風になることでしょう。
 
ただ、私たちが気に掛けておく必要があることは金利の上昇です。依然として、アメリカの10年物国債の利回りは1.0%前後で推移していますが、後々この水準が2.0%、3.0%に切り上がっていくと企業収益を圧迫する要因になるため、これが強く意識されるようになった場合、株式市場の上昇トレンドは転換期を迎えやすくなることが考えられます。
 
この過程で、実体経済は徐々に回復を取り戻していきますが、おそらく生活実感の伴わない動きとして表れてくるため、私たちは感覚としてこの状況を受け止めることは難しいように思われます。
 
このようなことから、私たちがあまり気づかないうちに景気が回復していき、注意をしておかなければ、いつの間にか金利が上昇、株価が下落といった状況に直面していく可能性があります。
 
直近では、マーケットとして金利の上昇がかなり意識され、アメリカが金融緩和を解除するタイミングは2022年であろうという予測すら出ている状況です。
 
おおむね、マーケットの見方としては2023年~2024年を金融緩和解除のメドとして捉えているようですが、いずれにせよ、金融緩和が終わりを迎えるにつれ、株式市場ではその上昇スピードが遅くなり、金融緩和解除の内容次第では大きくクラッシュする可能性も指摘されています。
 
そうさせないために、中央銀行はどのように金融緩和政策を解除していくかを考えていますが、これを金融緩和の出口戦略といいます。実際、米中の貿易摩擦を背景に起こった2018年1月の株式市場の転換までは、アメリカの場合、金融緩和の出口戦略を実施している最中でした。
 
結果的に、米中の貿易摩擦が景気を冷え込ませる可能性が高いということで、大きく出口戦略にかじを切らずとも株式市場の過熱感が抑えられるようになりましたが、事実上、これが金融引き締めの効果を発現したということもできます。
 

まとめ

資産運用は各国のマネーの総量を競う単なるゲームです。こう表現すると、いささか誤解を与え、抵抗を感じる方もいるかと思いますが、お金の流れがどこに向かい、どこに集まるかを決める要因の1つが金融政策でもあります。
 
株式市場が上昇し続けているのは、単に中央銀行が株式を買い支えてくれているからという要因が大きいわけですが、この終わり方がどのように組み立てられ、また、いつのタイミングで終わるかに注目していくと、自分なりに資産運用について考える力が身に付くのではないでしょうか。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
 

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