新しい生活様式の下での働き方改革。「新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース」って?

配信日: 2020.06.29

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新しい生活様式の下での働き方改革。「新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース」って?
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、会社を経営する環境が以前と比べ様変わりしてきました。
 
5月15日以降、緊急事態宣言が一部の地域を除いて解除されましたが、国は「新しい生活様式」を国民に提言しています。中小企業や個人事業主といった事業者も会社や店舗の運営を新しい生活様式に沿った形で工夫されていることと思います。
 
中でも、「テレワーク」は、働き方改革として定着するのではないかと考えています。なぜならば、これを後押しすることを目的に「働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」が新設されているからです。
 
※この記事は、令和2年5月18日時点の情報を基に執筆しています。
重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)とは

もともと「働き方改革推進支援助成金」には「テレワークコース」がありました。
 
しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、テレワークを実施する必要性が高まったことにより、時限的な措置として「新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース」が新設されるようになりました。
 
目的は、「新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークの新規導入に取り組む中小企業事業者を支援」となっています。それでは概要について見ていきましょう。
 


出典:厚生労働省 「働き方改革推進支援助成金のご案内(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」リーフレットより
 
まず、対象となる事業主ですが、新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規で導入する中小企業事業主となっています。次に対象となる取り組みですが、大きく分けると5つに分類されます。
 
(1)テレワーク用通信機器の導入・運用
  ※通常のパソコンやタブレット、スマホの購入費用は対象外です。
(2)就業規則・労使協定等の作成・変更
(3)労務管理担当者に対する研修
(4)労働者に対する研修、周知・啓発
(5)外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング

 
テレワークの導入という意味で似たような制度に「IT導入補助金」があり、この制度はITを導入し業務の効率化を図った場合に補助が受けられるようになっていますが、働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)は、働き方改革の枠組みの中で社員・従業員の労働環境を改善することが本来の目的です。
 
つまり、社員・従業員が働く環境や仕組みを改善するためにテレワークを導入した場合に助成金が支給されるというものです。
 
厚生労働省の助成金制度にはこのようなパターンが多いため、この機会に覚えておくとほかの制度を検討するときに役立つと思います。要件を見ると、事業実施期間中に「対象の取組を行うこと」と「テレワークを実施した労働者が1人以上いること」が求められています。
 
この制度の目的としては、テレワークを導入することで社員・従業員の働き方が変わることを支援することなので、このような要件があることは理解できます。
 
それでは、何が新型コロナウイルス感染症対策として新たに加えられているのでしょうか。実をいうと、前述した対象事業主や取り組み、要件は通常のテレワークコースと同じです。通常のテレワークコースとの違いは、令和2年2月17日以降に取り組んだ次の項目においても対象となっている点です。
 
 ○受け入れている派遣労働者がテレワークを行う場合
 ○パソコンやルーターなどのレンタル・リース費用

 
また、補助率ですが、新型コロナウイルス感染症対策としては2分の1、1企業当たりの上限額が100万円であることも通常のテレワークコースと異なる点といえます。
 
通常のテレワークコースでは、成果目標の達成状況により補助率が設定されていますが、達成した場合は4分の3、未達成の場合は2分の1となっており、1企業当たりの上限額は、達成した場合は300万円、未達成の場合は200万円です。
 
補助率や上限額が通常のテレワークコースに比べ低くなっていることを考えると、新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコースはあくまでも臨時的な措置であることがよくわかります。
 
最後に交付申請の期限ですが、通常のテレワークコースが令和2年12月1日までであることに対し、新型コロナウイルス感染症対策としてのテレワークコースは令和2年5月29日となっています。
 
これは、助成の対象となる事業の実施期間を令和2年2月17日から5月31日に限定しているためです。働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)についての詳細は厚生労働省のホームページをご参照ください。

まとめ

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急経済対策は、今検討されている内容のものも含め似たような言葉や制度がいくつもあります。
 
例えば、「持続化給付金」と「持続化補助金」は混同されがちですが、「IT導入補助金」と「新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース」についても、制度の趣旨は違うにせよ、内容としては非常によく似ています。
 
制度を活用する場合は混乱を避けるためにも十分気を付け、検討するようにしましょう。
 
参考 厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)


 

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