更新日: 2024.02.15 融資

起業するときの資金調達方法は? 融資借入方法やメリット・デメリットをご紹介

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

起業するときの資金調達方法は? 融資借入方法やメリット・デメリットをご紹介
起業する際の資金調達方法には、主に国や自治体が提供する「公的融資」と、銀行や消費者金融を利用する「民間融資」の2種類の融資、補助金や出資などがあります。
 
公的融資は審査に面談が必要になることも多く、手続きには時間がかかりますが、審査にとおれば低い年利かつ返済期間も長いため、起業時に利用しやすい資金調達方法の一つです。
 
一方で、民間融資は、年利は比較的高いものの借り入れの手続きがスムーズで、即日融資に対応している金融機関もあります。どちらが適しているかは借り入れる金額や返済期間により異なりますが、起業時の融資には出費を抑えられる公的融資のほうがおすすめです。
 
本記事では、起業時に利用できるおすすめの資金調達方法やそれぞれのメリット、デメリットについて詳しく紹介いたします。
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起業で資金調達する方法

起業時に「初期費用」が足りない際は、日本政策金融公庫や銀行からの借り入れで資金調達することをおすすめします。
 
起業後すぐに事業を安定させることは難しく、起業資金が少額だと運転資金や生活費が足りず資金繰りに悩むことも考えられます。借りすぎはのちの経営に大きく影響が出てしまいますが、特に店舗や工場を持つ場合は不動産や設備投資のみでなく、家賃や修理費などのランニングコストもかかるため、事業の規模や業種により借り入れたい金額を考えましょう。
 
ここからは起業の際に利用できる資金調達方法について詳しく紹介いたします。
 

起業で資金調達する方法(1)自己資金や家族・知人から出資を受ける

起業時に一番利用しやすいのは、これまでに貯めた自己資金です。
 
起業のために目標金額を決めて貯めることで、事業計画どおりの予算で営業開始できるでしょう。誰かの資金を借りずに自己資金のみで起業することで、資金をどのような用途で利用しても問題なく、金利の負担もないため、金銭的負担やトラブルのリスクが低減することが大きなメリットです。
 
しかし、自己資金には限界があり、数百万円を超える起業資金は簡単に貯められません。自己資金をある程度の額まで貯めることを目標とし、追加で必要になる額は公的融資や民間融資で資金調達する方法がおすすめです。
 
また自己資金が足りない場合は、家族や知人から借りることも選択肢の1つです。家族や知人への借り入れは利息がかからないことがメリットですが、金銭の貸し借りはトラブルにつながることも多いため、実際に借りる際は少額でも借用書の作成をおすすめします。
 

起業で資金調達する方法(2)公的融資や民間融資を受ける

公的融資とは、日本政策金融公庫や各自治体の融資制度を指します。
 
特に、日本政策金融公庫は金利が低くどなたでも利用しやすいことが特徴で、これから本格的に起業の資金調達を考えている場合はチェックしておくべき機関の1つです。
 
日本政策金融公庫や各自治体の融資制度は金利が低く返済期間も長いため、長期の利用にも適していることがメリットですが、事業計画書の提出や面談が必要になり、申し込みから審査、融資までの期間に2週間以上かかることもあります。余裕を持ったスケジュールで応募しましょう。
 
民間融資とは、銀行や消費者金融から受ける融資を指します。銀行と直接契約し融資を受けることを「プロパー融資」といいますが、プロパー融資は審査が厳しく実績のある会社でないと融資を受けることが難しいとされており、これから起業する方にはおすすめできません。
 
一方で、信用保証協会の保証を得て銀行から融資を受ける「保証付き融資」であれば、保証料はかかりますがプロパー融資よりも審査がとおりやすくなります。
 
プロパー融資や保証付き融資のほか、銀行や消費者金融が提供するビジネスローンも、起業時の資金調達に利用しやすいサービスの1つです。これから起業する方はまだ業績がなく、個人の属性で審査されます。そのため申請者のクレジットカード滞納歴や安定した収入などの要素で、融資上限額が決まります。
 
中には即日融資可能な金融機関もあり、公的融資と比較して全体的に申し込みから審査、融資までのスピードが早く、急ぎで融資を受けたい方にはおすすめの制度です。しかし、年利は公的機関よりも高く、金銭的な負担が大きいことがデメリットといえるでしょう。
 
また、公的機関は審査に面談が必要となるケースが多く、面談の内容や申請者のこれまでの経歴によっては、融資希望額が高めでも審査にとおることもあります。一方で民間融資を利用して起業資金の融資を受ける場合は、経営の見通しが不明瞭であるため、融資上限額が低く設定される可能性もあります。
 
まとまった金額の融資を受けたい場合は、面談でしっかり話し合える公的融資の利用をおすすめします。
 

起業で資金調達する方法(3)資産を売却して資金を増やす

現在株や不動産などの資産を保有している場合は、一度売却して自己資金に充てることも資金調達方法の一つです。しかし株や投資信託は、相場を見ながら損にならないタイミングで売却することが重要であり、なかなか売りに踏み込めないこともあるため、売却の検討は余裕を持っておこないましょう。
 
その他、自宅の売却や生命保険の解約返戻金を利用する方法も資金調達の方法として挙げられますが、今後の生活に大きな影響が出るため、よく検討を重ねて実行することをおすすめします。
 
また退職金や相続など高額な資金が入ってくる予定がある場合は、借り入れに頼らず待つことも重要です。公的融資の借り入れは年利が低く利用しやすいですが、手続きの手間もあり少なからず利息が発生するため、借り入れないに越したことはありません。
 

起業で資金調達する方法(4)返済義務のない補助金を利用する

補助金とは、返済の必要がある融資制度とは異なり、一度受け取った資金を返済する必要がない制度を指します。国や各自治体が運用しており、交付の条件は資金の使い道や起業する地域によってまちまちです。
 
たとえば「IT導入補助金」であれば、業務のデジタル化に際しソフトウェアやシステム導入にかかった費用の一部を補助する制度で、全国の事業者が利用できます。事業のIT化を検討しているけど、どの部分がIT化できるのか分からない方向けに相談や経営課題の提起などのサポートもあり、これから起業して業務のIT化を目指したい方は要チェックすべき制度の1つです。
 
ほかにも小規模事業者の経営を補助する「小規模事業者持続化補助金」や、都内での創業を応援する「創業助成金(東京都中小企業進行公社)」など、各地域や目的に沿った補助金が用意されています。しかし補助金や助成金は、自身で購入したのちに一定割合の金額が助成される形式がほとんどで、最初は自己資金で購入しなくてはならない点がデメリットです。
 
また、補助金や助成金は地域ごとの制度が多く、応募期間が短く設定されていることもあります。起業予定の地域の公式サイトは逐一チェックしておきましょう。
 

融資で起業の資金調達する方法は主に2種類

起業時の資金調達を融資制度でおこなう場合、主な方法は、「国や自治体の制度を利用した公的融資」と、「銀行や消費者金融を利用した民間融資」の2種類です。どちらの方法が適しているか、自身に当てはめてチェックしてみてください。
 

融資で起業の資金調達する方法1.公的融資:国や自治体の制度を利用して借り入れる

国や自治体の制度とは、日本政策金融公庫が提供する融資制度や各地域で起業する方のみが利用できる自治体の融資制度が挙げられます。
 
日本政策金融公庫にはこれから起業する方向けの制度がいくつもあり、インターネットからの相談・面談申し込みも可能であることから、手軽に利用できる制度の1つです。各自治体の融資制度は、対象となる地域や業種が定められていることが多いですが、自治体が利子や保証料を負担してくれることもあり、金銭面でも利用しやすい制度です。
 
公的融資はいずれも金利が低く、長期の返済にも対応しているメリットがありますが、一方で融資には面談が必要になり、申し込みに際して必要になる書類も多く、手続きも民間融資のビジネスローンやカードローンより時間がかかる点がデメリットです。
 
しかし、起業時は少しでも出費を抑えることが大切なポイントであるため、多少融資までの期間がかかっても公的融資での資金調達をおすすめします。
 
また、面談が必要になる公的融資は一見審査が厳しく思えますが、審査するポイントは公的融資や民間融資問わず、金融機関それぞれで異なり、どの機関がどのポイントを重視しているかは公表されていません。
 
面談がある融資制度を利用する場合は、事業計画書を念入りに作成し、経営や返済の見通し、融資の使い道など説得力のある説明ができれば、審査もとおりやすいといえるでしょう。
 
日本政策金融公庫では創業前サポートとしてフリーダイヤルや対面でアドバイスも受けられるため、事業計画書や今後の見通しに不安がある場合は融資の申し込み前に無料相談の利用もおすすめです。
 

融資で起業の資金調達する方法2.民間融資:銀行や民間企業から借り入れる

銀行や信用金庫、消費者金融などの民間企業からの資金調達方法は民間融資に分類されます。民間融資の中でも年利が低いのは銀行に直接借り入れる「プロパー融資」ですが、プロパー融資は保証がないため審査が厳しく、資産価値のある担保がない限りはこれから起業する方には向きません。
 
銀行や消費者金融が提供するビジネスローンやカードローンは、プロパー融資や公的融資よりも比較的審査が緩く、個人の収入や経歴が審査対象となるため、これから起業する方や起業したての方でも利用しやすい融資制度といえます。
 
手続きもスムーズかつ、消費者金融であれば最短即日融資可能な起業もあり、一見利用しやすい制度に見えますが、年利が公的融資と比較して非常に高くなることが大きなデメリットです。急な出費でどうしても数日以内に融資を受けたい場合には心強い助けとなるサービスですが、起業する際の高額な借り入れには向いていません。
 
また審査にとおったとしても希望どおりの金額とは限らず、数万円の借り入れで定められた上限利率が適用されることもあるため、起業時の資金調達は民間融資よりも公的融資をおすすめします。
 

起業で資金調達する際に必要なこと

起業に際し資金調達する際は、資金の使用使途や返済方法などを細かく決めておく必要があります。
 
特に、面談が必要になる公的融資を利用する場合は、対面で事業計画書の内容や返済の見通しをはっきり説明できなければ、審査にとおりにくくなります。起業に必要となる資金だからこそ、トラブルにならないよう、事前に必要なことや注意点を確認しましょう。
 

起業で資金調達する際に必要なこと(1)事業計画を練り資金を調達する目的を考える

融資を申し込む前にまずは事業計画を練り、どのような用途で資金が必要になるか考えましょう。
 
事業計画書には「事業の収支」や「販売方法」、「マーケティング」についてなど事業に関するさまざまな内容を記載します。審査の申し込みに事業計画の提出が必要になる場合、事業計画書の具体性や正確性などは審査に大きく影響します。まずは事業計画を明確にして、どのような用途で資金が必要になるか説得力が感じられるように明示化しましょう。
 

起業で資金調達する際に必要なこと(2)調達する金額の目安を決める

資金を調達する目的が決まったら、次に調達に必要な「金額の目安」を決めます。
 
融資を受ける金額は多いほうが安心ですが、高額な融資で申し込むと審査にとおりにくいのみでなく、とおったとしてものちの返済に苦労するため、なるべく少額になるように自己資金を貯めたり不要な部分を削ったりなど対策しましょう。
 
原価や必要経費、同業他社を参考にしつつどの程度事業の利益が見込めるか算出し、先に無理なく返済できる金額を出してから融資を受ける金額を決める方法もおすすめです。
 

国や自治体から起業資金の融資を受ける方法

ここからは日本政策金融公庫の融資制度や自治体の提供する補助金制度の概要を紹介します。申し込み条件や融資の目的などは各制度により異なるため、申し込み前は必ず公式サイトで要件や制度の本旨を確認しましょう。
 

国や自治体から起業資金の融資を受ける方法(1)新創業融資制度で起業資金を調達する

「新創業融資制度」とは、日本政策金融公庫の融資制度です。
 
これから創業する方の資金サポートをするため、融資の対象者は新たに事業を始める方や、事業開始後税務申告を2期終えていない方が対象です。加えて自己資金の要件があり、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要です。
 
ただし起業する業種で勤めた経験があったり、創業セミナーや創業塾を受けていたりなどの要件を満たしていれば、自己資金の要件を満たしていると判断されます。
 
融資限度額は3000万円で、利率は2024年2月1日時点の日本政策金融公庫が定める基準利率の2.4%~3.6%です。原則無担保・無保証人で利用できるため、家族や知人に保証人を頼めない方でも利用しやすいといえるでしょう。
 
新創業融資制度は日本政策金融公庫の国民生活事業内の融資制度であり、日本政策金融公庫の各支店窓口のほか、インターネット上で相談や融資を申し込むことも可能です。審査を受けるには実際の面談が必要ですが、インターネットで申し込め、電子データのやり取りで手続きが進むため、何度も店舗に行き書類の受け渡しや手続きをする必要はありません。
 

国や自治体から起業資金の融資を受ける方法(2)新規開業資金で起業資金を調達する

「新規開業資金」も新創業融資制度と同じく日本政策金融公庫の融資制度です。融資の対象はこれから事業を始める方と、事業開始からおおむね7年以内の方が当てはまります。
 
利率は2024年2月1日時点の基準利率である2.1%~3.3%で、新創業融資制度よりも少々低く設定されています。新規開業資金の特徴は条件を満たす方がさらに金利が低くなる点であり、たとえば創業セミナーを受けた方やUターン等により地方で新たに事業を始める方などは、特別利率Aに該当し1.7%~2.9%の利率が適用されます。
 
さらに過疎地域で事業を始める方は特別利率Bに該当し、利率が1.45%~2.65%まで下がるため、特定の要件を満たしている方は新創業融資制度よりも新規起業資金のほうがおすすめといえるでしょう。
 
融資限度額は7200万円と高額で、設備資金の借り入れは返済期間が20年、運転資金の場合は7年と比較的長く、余裕のある返済も目指せる制度です。
 
また新規開業資金は新創業融資制度のように自己資金の要件はありませんが、審査にとおりやすくするには自己資金の金額を上げることが重要です。十分な自己資金が用意できない場合は、面談にて事業計画書に基づいた説得力のある説明が必要です。
 

国や自治体から起業資金の融資を受ける方法(3)女性、若者/シニア起業家支援資金で起業資金を調達する

「女性、若者/シニア起業家支援資金」は上記の新規起業資金の中でも、女性や35歳未満、55歳以上の男性が対象となる融資制度です。対象となる方は新たに事業を始める方や事業開始からおおむね7年以内の方に限られます。
 
融資限度額は新規起業資金と同じく7200万円で、返済期間も設備資金が20年以内、運転資金が7年以内と内容は大きく変わりません。担保や保証人などは申請者の希望を踏まえて必要の有無が決定されるため、保証人を立てられなくても申し込みが可能です。
 
大きく異なる点は利率であり、女性や35歳未満、もしくは55歳以上の男性は特別利率Aが適用され、1.7%~2.9%が基本利率となります。加えて技術・ノウハウ等に新規性が見られる方はさらに利率が低くなったり、融資後に利益率や雇用に関する一定の目標を達成した場合などは利率が0.2%引き下がったりなど、起業する業種や個人の属性で利率が下がることもあります。
 

国や自治体から起業資金の融資を受ける方法(4)自治体の補助金を利用して起業資金を調達する

「補助金」とは、借り入れの融資制度と異なり返済義務のない給付を指します。
 
たとえば、内閣府地方創生推進事務局の「起業支援金」は、地域の課題解決に資する社会的事業を新たに起業する方を対象に、最大200万円の助成金が受けられます。経費の2分の1に相当する額を交付するため、事業に必要な物品が半額で購入できるイメージの制度です。
 
ただ対象者は限られており、どの事業でも給付を受けられるとは限りません。補助金ごとに対象者や給付条件が異なるため、申し込み前に自身が当てはまるか確認が必要です。
 
起業支援金は通年で申し込みが可能ですが、国や自治体が提供する一般的な補助金は申請時期が短いこともあるため、逐一自治体の公式サイトを確認しましょう。
 
また補助金は政府の各省庁が主導しており、「助成金」と付くものは厚生労働省主導の制度が多く見られますが、返済義務のない給付という点では意味は変わりません。
 

銀行や消費者金融から起業資金の融資を受ける方法

起業時には公的融資でなく、銀行や消費者金融など民間融資で資金調達することも選択肢の1つです。
 
銀行のプロパー融資は審査が厳しいため起業時の資金調達には向きませんが、銀行と信用保証協会を利用した信用保証付き融資や、民間融資のビジネスローン、カードローンなど、さまざまな調達先が挙げられます。
 
ここからは「民間融資」で起業資金を調達する方法を詳しく紹介します。
 

銀行や消費者金融から起業資金の融資を受ける方法(1)銀行で起業資金を調達する

銀行から直接融資を受けるプロパー融資の審査は、自己資金の有無のみでなく自身の経歴やビジネスの内容、経営の見通しなどが重視されます。これから起業する事業と同じ業種で勤めた経験や知識などもあった方が良いでしょう。
 
都市銀行よりも「地方銀行」のほうが審査が比較的緩めといわれており、地域密着型の銀行や創業支援の融資を用意している銀行であれば、起業資金の融資審査もとおりやすくなります。一方で、「都市銀行」は大企業向けのプランが多く、起業して小規模事業者になる方にとっては審査がとおりにくい金融機関ともいえます。
 
銀行のプロパー融資や保証付き融資で資金調達する場合は、地元の事業立ち上げを応援する地方銀行への相談をおすすめします。
 
また銀行では、個人事業主向けのビジネスローンを取り扱っていることもあります。これから起業する場合は、まだ業績がないため、ビジネスローンの審査は個人の情報で審査されることが特徴です。ビジネスローンは公的融資よりも手続きがスムーズですが、その分金利が高く、創業時の資金調達には向いていません。起業後に急な借り入れが必要になった際の利用がおすすめといえます。
 

銀行や消費者金融から起業資金の融資を受ける方法(2)信用金庫で起業資金を調達する

信用金庫とは、地域の繁栄を図ることを目的とした金融機関です。銀行は株式会社であるため利益を優先させることも多いですが、一般的に信用金庫は地域性を重視する傾向にあり、地域発展が見込める事業に対しては融資審査もとおりやすいといえるでしょう。
 
銀行のように高額な資金ではなく、限られた資金で運用しているため、高額な融資が受けにくいこともデメリットの1つです。
 
信用金庫も中小企業向けの一般融資や、銀行・地方公共団体・信用保証協会の3組織が共同でおこなう「制度融資」など、さまざまな融資を提供しています。信用金庫がある地域で起業する場合は、資金調達方法の1つとして利用できます。
 

銀行や消費者金融から起業資金の融資を受ける方法(3)消費者金融で起業資金を調達する

ビジネスローンやカードローンを取り扱う消費者金融は、最短で即日融資が可能な点が大きなメリットです。申し込みに必要な書類も公的融資や銀行のプロパー融資と比較して少なく、手続きもスムーズにおこなわれます。
 
しかし、ビジネスローンやカードローンは金利が高く、長期の返済にも向いていません。上限利率が公的融資と10%以上異なることもあるため、起業する際は時間をかけてでものちのち出費にならない資金調達をおすすめします。
 
面談が必要ないサービスも多く、審査自体は公的融資よりもとおりやすい傾向にありますが、たとえ審査にとおったとしても、融資額は最低額の1万円など低額で、起業資金に利用するには足りないことも考えられます。消費者金融の融資は急な出費がある際に重宝するサービスですが、起業する際の資金調達には向いていないかもしれません。
 

その他起業資金の融資を受ける方法

金融機関から融資を受ける以外にも、ビジネスコンテストに応募したり、他企業からの出資を受け付けたりなどの資金調達方法が挙げられますが、中でも現実的な資金調達方法は「クラウドファンディング」の利用です。ここからはクラウドファンディングについて詳しく紹介いたします。
 

その他起業資金の融資を受ける方法(1)クラウドファンディングを活用する

「クラウドファンディング」とは、インターネット上に起業のアイディアを出して出資者を募るサービスです。出資者を集めるには、どのような商品を開発して販売したいなど経緯や商品のアイディアを詳しく発表します。アイディアが魅力的であるほど出資は集まりやすく、目標金額を大きく上回る案件も珍しくありません。
 
クラウドファンディングは、起案者(これから起業したい方)が、出資者に対して一定のリターンを用意する必要があることがポイントです。たとえば商品開発成功の暁には一般販売よりも早く商品を発送したりサービスを受けられたりなどの「購入型」や、物品のリターンではなくお礼のメッセージや活動報告を送る「寄付型」などが挙げられます。
 
寄付型は被災支援やボランティア活動の支援など、その名のとおり寄付に利用されることが多いため、起業資金を集めるのであれば購入型のほうが出資を受けやすいといえるでしょう。
 
一般的に実際に資金を受け取るにはサービス利用手数料がかかりますが、誰でも手軽に取り組める資金調達方法の1つです。
 

起業資金を調達する際の注意点

 

●事業計画書の確認
 
●滞納未納を無くす
 
●資金調達はなるべく少なめに

 
起業資金調達の際は、事業計画書を念入りに見直しましょう。日本政策金融公庫の融資のように面談が必要になる場合は、事業計画書に則った説明や根拠のある融資の使い道など、説得力のある話し合いが必要です。借りた分がしっかり返せるような経営を見通した事業計画を作成しましょう。
 
自身が起業したい業界で勤めていた経験や、その際の営業成績などアピール部分があればより審査にも通りやすくなります。
 
そして、公的融資や民間融資を問わず、別の金融機関の滞納や税金の未納がある場合は資金を借り入れることが難しくなります。他のローンを利用している方は、返済の目途が立ってから融資を受けることをおすすめします。
 
また、資金の借り入れは、なるべく少額でおさまるようにしましょう。経営が安定しにくい起業時に多額の借り入れがあると、のちのち返済の資金繰りに苦労する可能性もあるため、自己資金を多めに貯めて足りない分のみ借り入れることをおすすめします。審査に通りやすくするためのみではなく、自身の返済計画のためにも事業計画書を練って返済できる根拠をまとめましょう。
 

起業の資金調達まとめ

起業時の資金調達方法には公的融資や民間融資などいくつかの種類がありますが、年利の低さと返済期間の長さから、日本政策金融公庫や各自治体の融資制度の利用がおすすめです。
 
日本政策金融公庫であればこれから起業したい方向けの融資制度がいくつもあり、申し込みもインターネットから24時間365日可能であるため、何度も支店を行き来する時間が取れない方にも利用しやすい金融機関です。
 
民間融資は年利が高いため日常的な利用には向きませんが、急な出費があり急いで融資を受けたい際は非常に便利なサービスです。起業時には公的融資の利用がおすすめですが、起業後からは必要性に応じて融資を受ける金融機関を切り替えることも検討しましょう。
 

出典

IT導入補助金2024
日本政策金融公庫 新創業融資制度
日本政策金融公庫 新規開業資金
日本政策金融公庫 新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)/ 女性、若者/シニア起業家支援資金
地方創生 起業支援金
CAMPFIRE ACADEMY クラウドファンディングとは?|種類やメリット・デメリットなど基礎知識を一挙にご紹介
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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