更新日: 2024.02.15 融資

日本政策金融公庫の審査は甘いの? 審査に落ちる原因や対処法を解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

日本政策金融公庫の審査は甘いの? 審査に落ちる原因や対処法を解説
「日本政策金融公庫の審査は甘いと見聞きして申し込んだが、審査落ちしたため悩んでいる」「日本政策金融公庫の審査に落ちたが、何が原因なのかわからない」、このようなお悩みを抱えたことはありませんか? 日本政策金融公庫の審査に落ちた人は、これからどのような融資方法を検討すべきか悩んでいる人も少なくありません。
 
日本政策金融公庫の審査は甘くなく、信用情報や自己資金の有無などで審査通過率が異なります。また、「資金使途を明確化する」、「これまでの事業経験や実績を提示する」など審査に通過しやすいポイントをチェックすることで、日本政策金融公庫で融資を受けやすくなります。
 
本記事では、日本政策金融公庫の審査に落ちる人の特徴や審査落ちした場合の対処法、日本政策金融公庫の審査に通過するポイント、日本政策金融公庫以外で資金調達できる方法についてご紹介します。本記事を参考にして、日本政策金融公庫をはじめ自社に合った融資を活用しましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

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日本政策金融公庫の審査は甘い?

日本政策金融公庫の審査は、甘くはありません。日本政策金融公庫は、「職員との面談を実施している」「自己資金なしで融資は受けにくい」などの特徴があるためです。
 
日本政策金融公庫では自己資金の割合として定められているのは、希望融資額の10分の1程度となっていますが、一般的に審査に通過するためには、希望融資額の3割~4割と言われており、可能であれば5割必要とも言われています。
 
前提として、自己資金なしの借り入れに依存した計画は申し込むことができません。
 
また自己資金が少なく、借り入れの割合が多いと想定していた利益を見込めないことや予想外の出費によって、資金繰りが難しくなるケースがあるため、自己資本比率は厳しく見られます。
 
客観的なデータを用いて融資の可否を検討しているため、日本政策金融公庫の審査は甘くないと考えられます。
 

日本政策金融公庫の審査に落ちる原因とは?審査落ちする人の特徴

日本政策金融公庫の審査に落ちる人の特徴として、以下の5点が挙げられます。
 

(1)個人の信用情報に問題がある
 
(2)税金や公共料金の支払いを遅延している
 
(3)自己資金がない
 
(4)必要以上の融資希望額を申請している
 
(5)事業計画が曖昧

 
個人の信用情報に問題がある場合は、日本政策金融公庫審査に通過しにくい点に留意しましょう。また、税金や公共料金の支払いが遅延している場合は、日本政策金融公庫の審査に通過しにくくなります。他には、「自己資金がない」「必要以上の融資希望額を申請している」「事業計画が曖昧」などの特徴があります。
 

日本政策金融公庫の審査に落ちる原因(1)個人の信用情報に問題がある

個人の信用情報に問題がある場合は、日本政策金融公庫審査に通過しにくくなります。信用情報とは、「クレジットカード」「ローンの残高」「返済状況」などが記載されている情報です。信用情報をチェックしながら、融資の可否について審査しています。
 
代表的な信用情報登録機関であるCICには、個人の借り入れや延滞情報が記載されています。CICの信用情報を閲覧し、これまで支払いの延滞がない事業主は、継続的に返済してもらえるイメージが抱けるため審査が通りやすくなります。日本政策金融公庫の審査に通過するために、次の点について確認しましょう。
 

●クレジットカードやローンの返済が滞っていないか
 
●「債務整理」「自己破産」「代位弁済」などの経験がないか
 
●半年間に何度も融資やカードローン、クレジットカードに申し込みをしていないか

 
申し込み者の信用情報について、申し込み前にチェックしましょう。
 

日本政策金融公庫の審査に落ちる原因(2)税金や公共料金の支払いを遅延している

「税金」や「公共料金」の支払いが遅延している場合は、日本政策金融公庫の審査に通過しにくくなります。税金や公共料金の延滞は信用情報に登録されません。しかし、公共料金や、年金等をクレジットカードで支払いをしており、その支払いが滞っている場合は、信用情報に登録されてしまいます。
 
また、税金や公共料金の未払いを続けると、財産を差し押さえられる可能性があります。財産を差し押さえられた場合は、毎月の返済が滞るので、審査に大きな影響を与えるでしょう。
 
また、日本政策金融公庫に申し込む際、提出書類の中に、預金通帳が含まれています。明細、各種支払日をチェックし、口座引き落としのデータを確認することで延滞の有無がチェックできます。どのような方法でも公共料金の支払いの遅延がチェックされるため、支払い期日までに必ず支払いましょう。
 

日本政策金融公庫の審査に落ちる原因(3)自己資金がない

自己資金がない場合は、日本政策金融公庫の審査に通過できない可能性があります。日本政策金融公庫で創業資金を融資してもらった人は、融資希望額の3割程度の自己資金を持っているというデータが記載されているためです。
 
自己資産の有無は審査項目の1つにすぎませんが、審査に大きく影響していると考えられます。現状で自己資金がない方は「地道に給料から貯金を続ける」「不動産やパソコン、有価証券などを売却する」などの方法を活用し、可能な限り自己資金を増やしましょう。
 
他には、開業予定の事業に常連の顧客がいることを提示すると、事業の安定的な資金繰りを証明することができます。経済的な安定性を証明し、融資を受けましょう。
 

日本政策金融公庫の審査に落ちる原因(4)必要以上の融資希望額を申請している

必要以上の融資希望額を申請している場合は、日本政策金融公庫の審査に通過しにくくなります。適切な融資希望額を申請するには、必要経費や運転資金などを具体的に算出する視点が必要です。
 
計画性を持ちながら事業を進める姿勢は、経営者の重要な資質です。融資希望額を過剰な金額で申請することで、事業の見通しが曖昧と判断されるケースもあります。具体的な根拠や毎月の売上金額を詳細まで見積もり、必要な融資可能額を申請しましょう。
 

日本政策金融公庫の審査に落ちる原因(5)事業計画が曖昧

提出した事業計画が曖昧な場合は、日本政策金融公庫の融資に通過しにくくなります。審査において、返済の目途が立つことに加えて、事業の拡大が見込めることが判断材料となるため、それが不明確な場合、融資を検討できません。
 
毎月の売上や人件費、見込まれる顧客数などを具体的に算出した上で、客観的かつ実現可能な事業計画を提出する必要があります。次の項目について詳細に記載することで、納得できる事業計画を提出しやすくなります。
 
図表1

事業計画書の項目 作成時のポイント
創業動機・目的 「プロジェクトマネージャーでクライアントが求めるアプリ開発に携わった経験がある」「大手スーパーの惣菜部門に勤務しており、調理を通して喜んでもらえることが喜び」など、創業者の経験が事業の成長につながる内容を記載する
職歴・事業実績 「プロジェクトマネージャーとして、取引先が求めるアプリ開発を進めた」「顧客や周囲の声を聞き、ニーズが高い商品開発に携わった」など、役職や実績を具体的に提示する
取扱商品・サービス 「商品やサービスの強み」「価格」「他社製品との違い」など、客観的で具体的な内容を伝える
取引先・取引関係 得意先の顧客名を記載する
販売先が個人の場合は現金決済やクレジットカード決済、電子決済など、決済方法で分けて記載する
借入状況 借入額を正直に記入する
借入額がある場合は、返済額を含めた利益が出せるビジネスプランを提示する
必要資金と調達方法 適切に計画された必要金額を提示する
また、必要な資金に見合った自己資金も用意することで、事業への熱意を理解してもらえる
事業の見通し 「月別収支計画書」を添付する場合は、事業計画書との整合性が取れているかチェックする
事業の見通しに関する根拠として、1年後の期間ごとに明確で具体的な数値や根拠を記載する

※筆者作成
 
図表1の項目や作成時のポイントを参考にしながら、明確な事業計画書を作成しましょう。
 

日本政策金融公庫で審査落ちした場合の対処法

日本政策金融公庫で審査落ちした場合の対処法として、以下の3点が挙げられます。
 

(1)審査落ちした原因を振り返る
 
(2)半年後以降に再申し込みする
 
(3)日本政策金融公庫以外の融資も検討する

 
日本政策金融公庫で審査落ちした原因を振り返りましょう。また、日本政策金融公庫の申し込みから半年後以降に、再申し込みを検討する姿勢が必要です。他には、日本政策金融公庫以外の融資を検討することで、自社が希望する金額やタイミングで融資を受けられます。
 

日本政策金融公庫で審査落ちした場合の対処法(1)審査落ちした原因を振り返る

日本政策金融公庫で審査落ちした原因を振り返りましょう。審査落ちする原因の一例として、「信用情報に問題がある」「自己資金の有無」「事業計画が矛盾している」などの要因が当てはまります。
 
また、中小企業支援に関する専門的な知識や実務経験がある認定支援機関に相談するのもおすすめです。専門的な知見から自社ビジネスの課題を洗い出し、審査落ちした理由について客観的に振り返る機会にもつながります。専門家の知見をもとに視野を広げながら、審査落ちした原因を振り返りましょう。
 

日本政策金融公庫で審査落ちした場合の対処法(2)半年後以降に再申し込みする

日本政策金融公庫の申し込みから原則半年後以降に、再申し込みを検討しましょう。理由として、前回に審査落ちした原因を振り返りながら、課題を改善するために半年間程度の期間が必要なためです。
 
例えば、事業計画の数字を多少変更した程度なら、前回審査に落ちた部分の改善に取り組んでいると受け止められません。短期間で計画の改善は難しいと考えられるため、最低半年後に申し込むよう事業計画の改善を進めましょう。
 

日本政策金融公庫で審査落ちした場合の対処法(3)日本政策金融公庫以外の融資も検討する

日本政策金融公庫以外の融資を検討することで、自社が希望する金額やタイミングで融資を受けられます。具体的には、金融機関のより審査が優しい「消費者金融のビジネスローン」、赤字決算や税金の滞納がある人でも審査を柔軟に実施している「不動産担保ローン」があります。
 
幅広い融資方法を検討することで、資金繰りを改善できます。日本政策金融公庫で落ちたポイントについて振り返りながら、幅広い融資先を検討しましょう。
 

日本政策金融公庫の審査に通過するポイント

日本政策金融公庫の審査に通過するポイントとして、以下の3点が挙げられます。
 

(1)資金使途を明確化する
 
(2)これまでの事業経験や実績を提示する
 
(3)面談時は事業の想いを自分の言葉で伝える

 
資金使途を明確化することで、日本政策金融公庫の審査に通過しやすくなります。また、これまでの事業経験や実績を提示することで、日本政策金融公庫の審査を通過しやすくなります。他には、日本政策金融公庫の面談時に、「事業の熱意」、「創業した動機」、「事業の方向性」などを経営者自身の言葉で伝えましょう。
 

日本政策金融公庫の審査通過ポイント(1)資金使途を明確化する

資金使途を明確化することで、日本政策金融公庫の審査に通過しやすくなります。融資後の資金使途を明確化することで、前向きに事業へ取り組めるためです。
 
例えば、「設備の追加購入」、「一時的な仕入れ増加に対応するつなぎ資金」、「従業員への賞与の支払い」など、前向きな資金使途を提示することで事業の成長や業績アップが見込めると判断されます。資金使途を明確化して、前向きな資金繰りを提示しましょう。
 

日本政策金融公庫の審査通過ポイント(2)これまでの事業経験や実績を提示する

これまでの事業経験や実績を提示することで、日本政策金融公庫の審査を通過しやすくなります。「飲食店や美容室は勤めていた店名を記入する」「IT関連のスキルや経験がある場合は、資格名や経験を詳細まで記入する」などです。
 

日本政策金融公庫の審査通過ポイント(3)面談時は事業の想いを自分の言葉で伝える

日本政策金融公庫の面談時に、「事業の熱意」、「創業した動機」、「事業の方向性」などを経営者自身の言葉で伝えましょう。客観的な事業計画や資金繰り状況に加えて、経営者の事業への想いや人柄を含めて伝えられるためです。面談時に事業への想いを伝え、日本政策金融公庫から融資を受けましょう。
 

日本政策金融公庫で融資を受けるメリット

日本政策金融公庫で融資を受けるメリットとして、以下の4点が挙げられます。
 

1.返済期間が長めに設定できる
 
2.災害時に融資を受けられる
 
3.創業時でも融資の審査が通りやすい
 
4.無担保・無保証人で利用できる融資制度がある

 
日本政策金融公庫は、返済期間を長い期間にわたって設定できます。また、「地震」、「台風」、「豪雨」などの災害時でも、申し込みできる災害貸付の融資制度を取り入れています。他には、「創業時でも融資の審査が通りやすい」「無担保・無保証人で利用できる融資制度がある」点もメリットです。
 

日本政策金融公庫で融資を受けるメリット1. 返済期間が長めに設定できる

日本政策金融公庫は、返済期間が長めに設定できます。具体的には、図表2のように5年から20年の長期間で返済可能な融資制度を取り入れています。
 
図表2

日本政策金融公庫の融資制度 融資制度の返済期間
新規開業資金 運転資金:7年
設備資金:20年
一般貸付 運転資金:5年
設備資金:10年
経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付) 運転資金:8年
設備資金:15年
災害貸付 運転資金:10年
設備資金:10年

※日本政策金融公庫 新規開業資金、一般貸付、経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)、災害貸付を基に作成
 
一例として、資金繰りの変動が予測される「新規開業資金」は、運転資金に7年、設備資金に20年間の返済期間を最長で設定できます。長期的な返済期間で借り入れしながら、創業時や経済的に苦しい状況でも資金調達が可能です。
 

日本政策金融公庫で融資を受けるメリット2. 災害時に融資を受けられる

日本政策金融公庫は災害時にも融資を受けられる機関です。「地震」「台風」「豪雨」などの災害時でも、申し込みできる災害貸付の融資制度を取り入れているためです。
 
具体的には、災害貸付を利用することで、災害で発生した損失分を運転資金や設備資金として調達できます。災害の影響を受けて、事業の立て直しを目指したい人は災害貸付を申し込みましょう。
 

日本政策金融公庫で融資を受けるメリット3. 創業時でも融資の審査が通りやすい

日本政策金融公庫は創業時にも融資の審査を受けられる機関です。創業時の融資制度として、「新規開業資金」「再挑戦支援資金」などを取り扱っています。
 
例えば、「新規開業資金」の融資制度なら、女性や若者、シニアなどの幅広い方を対象に融資を検討しています。また、事業の廃業暦があり、再度創業したい人向けの「再挑戦支援資金」の融資制度も取り揃えています。
 
日本政策金融公庫では、新規創業や廃用後の再度創業など、創業時に資金調達が可能な融資制度を数多く取り揃えています。創業資金の融資を受けたい人は、ぜひ、活用してみてください。
 

日本政策金融公庫で融資を受けるメリット4. 無担保・無保証人で利用できる融資制度がある

日本政策金融公庫は、担保や保証人なしで申し込みできる融資制度を取り揃えています。具体的に、図表3の融資制度を利用する場合は、保証人や担保が不要で融資を受けられます。
 
図表3

日本政策金融公庫の融資制度 担保の有無 保証人の有無
経営者保証免除特例制度 申し込み時に担保の有無を選択できる 不要
新創業融資制度 不要 不要
担保を不要とする融資 不要 個人事業主∶不要
法人∶代表者の保証が必要

※日本政策金融公庫 経営者保証免除特例制度、新創業融資制度、担保を不要とする融資を基に作成
 
また、「担保を不要とする融資」に申し込む場合は、法人企業であれば代表者の補償が必要です。保証人や担保の有無について、詳細にチェックし、自身の会社に合った融資制度を選びましょう。
 

日本政策金融公庫で融資を受けるデメリット

日本政策金融公庫で融資を受けるデメリットとして、以下の3点が挙げられます。
 

1.希望の融資額を受けられない可能性がある
 
2.業績が良好でも金利が大きく下がらない
 
3.数日間で融資を受けられない

 
日本政策金融公庫は希望の融資額を必ず受けられない点について留意しましょう。また、自社の業績が良好でも、借入時に低金利なため大きく金利を下げられません。他には、数日間で融資を受けられず、日本政策金融公庫の融資が決定するまで2週間かかるなどのデメリットがあります。
 

日本政策金融公庫で融資を受けるデメリット1. 希望の融資額を受けられない可能性がある

日本政策金融公庫は、希望の融資額を受けられない可能性がある点について留意しましょう。数千万円から数億円程度の融資が可能ですが、審査内容によっては上限額までの融資を受けられない可能性があります。
 
例えば、新規創業資金の融資限度額は7200万円ですが、1000万円もしくは、2000万円程度の融資額しか受けれないケースも考えられます。必ず融資限度額の上限金額の資金調達ができるとは限らないため、民間のビジネスローンや不動産担保ローンなどの併用も検討しましょう。
 

日本政策金融公庫で融資を受けるデメリット2.業績が良好でも金利が大きく下がらない

自社の業績が良好でも、借入時の金利が大きく下がらない点に留意しましょう。日本政策金融公庫は、借入時から低金利なため、金利を大幅に引き下げることができません。
 
具体的には、そもそもの金利が2%から3%程度と低金利なため、業績が良好でも、大幅な金利の引き下げが実現しにくい点について留意しましょう。
 

日本政策金融公庫で融資を受けるデメリット3.数日間で融資を受けられない

日本政策金融公庫は、数日間で融資を受けられない点について留意しましょう。日本政策金融公庫の融資が決定するまでに、約2週間程度かかるため、実行までにはそれ以上の期間が必要となります。
 
そのため、最短即日や3日間程度の融資を希望する方は、必要なタイミングで希望額の融資を受けられなくなります。融資までに時間がかかることを考え、時間にゆとりをもって申し込みを検討しましょう。
 

日本政策金融公庫以外で資金調達できる方法

 
日本政策金融公庫以外で資金調達したい人向けに、以下3つの借入方法をご紹介します。
 

(1)銀行系ビジネスローン
 
(2)ノンバンク系ビジネスローン
 
(3)不動産担保ローン

 
今回紹介した3つの借入方法を参考にしながら、自社に合った融資を検討しましょう。
 

日本政策金融公庫以外での資金調達方法(1)銀行系ビジネスローン

「銀行系ビジネスローン」を活用することで、10万円から1000万円程度の資金調達が可能です。銀行系ビジネスローンとは、PayPay銀行や福岡銀行などが取り扱っているビジネスローンです。図表4のように、利用先の銀行系ビジネスローンによっては、利用限度額や適用金利、提出を求められる必要書類などが異なります。
 
図表4

利用先のビジネスローン 利用限度額 適用金利 必要書類
PayPay銀行
ビジネスローン
10万円~1000万円 1.8%~13.8% 個人事業主
事業実態の確認できる資料
所得証明資料
永住権または特別永住権の確認できる資料
古物商許可証
(申し込み者に応じて提出する必要書類は異なる)

法人
事業実態の確認できる資料
所得証明資料
永住権または特別永住権の確認できる資料
古物商許可証
直近2年分の決算書
(申し込み者に応じて提出する必要書類は異なる)

福岡銀行
フィンディ
100万円~1000万円 2%~14% 個人事業主
次の本人確認書類いずれか1点
・運転免許証
・マイナンバーカード
・在留カード
・住民記帳台帳カード
・特別永住者証明書
・運転経歴証明書

次の事業実態確認資料
・許認可証
・事業に関する「契約書」「請求書」「発注書」

仮審査通過後は下記の決算書類(直近1期分)を提出する
・確定申告書(第一表)
・確定申告書(第二表)
・青色申告決算書(損益計算書・貸借対照表)または収支内訳書

法人
次の本人確認書類いずれか1点
・運転免許証
・マイナンバーカード
・在留カード
・住民記帳台帳カード
・特別永住者証明書
・運転経歴証明書

次の事業実態確認資料
・許認可証
・事業に関する「契約書」「請求書」「発注書」

仮審査通過後は下記の決算書類(直近1期分)を提出する
・貸借対照表
・損益計算書
・販売費及び一般管理費明細書
・製造原価報告書
・株主資本等変動計算書
・個別注記表
・勘定科目明細書
・法人税申告書別表二

GMOあおぞらネット銀行
融資枠型ビジネスローン
あんしんワイド
10万円~1500万円
(初回契約時は10万円~1000万円)
0.9%~14% 銀行口座の入出金取引明細

freee入出金管理 with GMOあおぞらネット銀行を利用している方は、同期している銀行口座の通帳コピー

東京スター銀行
スタービジネスカードローン
50万円~1000万円 4.5%~14.5% 個人事業主
・本人確認書類
・直近1期分の収入が確認できる書類
・個人事業開業届出済証明書(開業後から間もない場合)

法人
・本人確認書類
・直近1期分の収入が確認できる書類
・商業登記簿謄本
・個人事業開業届出済証明書(開業後から間もない場合)

※PayPay銀行 ビジネスローン/福岡銀行 フィンディ/GMOあおぞらネット銀行 融資枠型ビジネスローン あんしんワイド/東京スター銀行 スタービジネスカードローンを基に作成
 
例えば、「PayPay銀行 ビジネスローン」、「GMOあおぞらネット銀行 融資枠型ビジネスローン あんしんワイド」は、10万円の少額から融資を受けられます。
 

日本政策金融公庫以外での資金調達方法(2)ノンバンク系ビジネスローン

ノンバンク系ビジネスローンを活用することで、まとまった資金調達が可能です。ノンバンク系ビジネスローンとは、次の消費者金融をはじめ、銀行以外の企業が取り扱っているビジネスローンです。
 

●アイフル
 
●プロミス
 
●アコム
 
●レイク

 
また、利用先のノンバンク系ビジネスローンとして、図表5のサービスがあります。
 
図表5

利用先のノンバンク系ビジネスローン 利用限度額 適用金利 融資スピード
プロミス
自営者カードローン
300万円まで 6.3%~17.8% 最短即日
AGビジネスサポート
事業者向けビジネスローン
50万円~1000万円 3.1%~18% 最短即日
レイクレイク de ビジネス 1万円~500万円 4.5%~18% 最短即日
アコム
ビジネスサポートカードローン
1万円~300万円 12%~18% 最短即日
オリコ
CREST for Biz
10万円~300万円 6%~18% 要問い合わせ

※プロミス 自営者カードローン/AGビジネスサポート 事業者向けビジネスローン/レイク レイクdeビジネス/アコム ビジネスサポートカードローン/オリコ CREST for Bizを基に作成
 
例えば、「AGビジネスサポート 事業者向けビジネスローン」は利用限度額が1000万円までとなっていて、まとまった金額を資金調達できます。自社の希望金額や資金調達が必要なタイミングを考慮し、ノンバンク系の業者から融資を受けましょう。
 

日本政策金融公庫以外での資金調達方法(3)不動産担保ローン

不動産担保ローンを活用することで、まとまった資金調達を受けられます。不動産担保ローンとは、「マンション」、「土地」、「建物」などの不動産を担保に設定することで、数千万円から数億円規模のまとまった融資を受けられます。また、利用先の不動産担保ローンによっては、利用限度額や適用金利の利率、融資スピードなどが異なります。
 
図表6

利用先の不動産担保ローン 利用限度額 適用金利 融資スピード
アサックス
不動産担保ローン
300万円~10億円 1.95%~6.9% 最短3日間
新生インベストメント&ファイナンス
不動産担保ローン
個人事業主:300万円~5億円
法人:300万円~10億円
2.8%~5.5% 要問い合わせ
三井住友トラスト・ローン&ファイナンス
不動産活用ローン
300万円~10億円 15%以下 最短1週間
セゾンファンデックス事業者向け
不動産担保ローン
100万円~5億円 2.75%~9.9% 最短1週間
AGビジネスサポート
不動産担保ビジネスローン
100万円~5億円 2.49%~8.99% 最短3日間

※アサックス 不動産担保ローン/新生インベストメント&ファイナンス 不動産担保ローン/三井住友トラスト・ローン&ファイナンス 不動産活用ローン/セゾンファンデックス 不動産担保ローン/AGビジネスサポート 不動産担保ビジネスローンを基に作成
 
不動産担保ローンは長期間の返済や低金利で借り入れしながら、毎月の返済金額の負担を軽減したい人におすすめです。
 

自社に合った融資を受けてビジネスを促進しよう

本記事では、日本政策金融公庫の審査に落ちる人の特徴や審査落ちした場合の対処法、審査に通過するポイント、日本政策金融公庫以外で資金調達できる方法についてご紹介しました。日本政策金融公庫の審査は甘くなく、信用情報や自己資金の有無などで審査通過率が異なります。
 
また、「資金使途を明確化する」「これまでの事業経験や実績を提示する」など審査に通過しやすいポイントをチェックすることで、日本政策金融公庫で融資を受けやすくなります。本記事の内容を参考にしながら、日本政策金融公庫の融資をはじめ自社に合った融資方法を選びましょう。
 

出典

日本政策金融公庫 創業計画Q&A
日本政策金融公庫 新規開業資金
日本政策金融公庫 一般貸付
日本政策金融公庫 経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)
日本政策金融公庫 災害貸付
日本政策金融公庫 経営者保証免除特例制度
日本政策金融公庫 新創業融資制度
日本政策金融公庫 担保を不要とする融資
PayPay銀行 ビジネスローン
福岡銀行 フィンディ
GMOあおぞらネット銀行 融資枠型ビジネスローン あんしんワイド
東京スター銀行 スタービジネスカードローン
プロミス 自営者カードローン
AGビジネスサポート 事業者向けビジネスローン
レイク レイク de ビジネス
アコム ビジネスサポートカードローン
オリコ REST for Biz(クレスト フォービズ)
アサックス 不動産担保ローン
新生インベストメント&ファイナンス 不動産担保ローン
三井住友トラスト・ローン&ファイナンス 不動産担保ローン 不動産活用ローン(フリーコース・ビジネスコース)
セゾンファンデックス 事業者向け不動産担保ローン
AGビジネスサポート 不動産担保ビジネスローン
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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