更新日: 2024.02.15 融資

起業時に活用できる補助金・助成金をご紹介! おすすめの8つの特徴を徹底解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

起業時に活用できる補助金・助成金をご紹介! おすすめの8つの特徴を徹底解説
「補助金」や「助成金」とは、企業の経営やこれから起業する方の金銭的負担を軽減する制度です。借り入れと異なり返済義務がなく、資金調達の方法としては非常に心強いサポートとなるため、事業内容や経営方針に適合する制度があれば積極的に利用しましょう。
 
しかし、返済義務がない補助金や助成金でも、実際に給付を受けられるのは自己資金で物品を購入したのちになります。そのため最初は自己資金や借り入れが必要になるといったデメリットもあるため、申し込む前にまずは補助金や給付金を受けるメリットやデメリットも確認しておきましょう。
 
本記事では、起業時に利用しやすい補助金や給付金の概要や、申し込む前の注意点などを詳しく紹介します。
 
FINANCIAL FIELD編集部

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起業時におすすめの補助金や助成金とは?

起業時には国や自治体の補助金・助成金を活用しましょう。いずれも借り入れと異なり返済義務がないことが特徴で、自治体の制度を含めれば数は1000種類を超えるともいわれています。
 
要件を満たしていれば必ず給付を受けられるものから、申請書の審査により評価の高い順から採択されるものまで種類はさまざまです。まずは大まかな括りである補助金と助成金で、どのような違いがあるのかチェックしてみましょう。
 

補助金とは

補助金とは、主に経済産業省が提供する給付金制度です。補助金の内容は技術開発や商店街活性化などを支援する内容が多い傾向にあります。制度により異なりますが、申し込み要件を満たしていても必ず採択され給付金が受け取れるとは限りません。
 
募集時期も数週間から数か月程度と短い傾向にあり、逐一自治体の公式サイトをチェックする必要があります。補助金も助成金も意味は大きく変わりませんが、補助金のほうが申し込みから受給までの手続きが長く、条件も複雑であることが特徴です。
 

助成金とは

助成金とは、主に経済産業省が呼ぶ給付の名称です。意味合いは補助金と同じですが、内容は雇用の安定や能力開発などをサポートする給付金が多い傾向にあります。
 
助成金は補助金と比較して条件を満たしていれば必ず給付を受けられたり、募集期間が通年であったりなど、利用しやすい制度が多く見られます。また「給付金」と付く制度は育児休業給付金や失業給付金など、個人に向けた制度が多いことが特徴です。
 

起業時に補助金や助成金を利用するメリット

起業時に補助金や助成金を利用する一番のメリットは、自身の金銭的負担を抑えながら資金を事業に活用できる点です。資金を借り入れる融資制度であれば、たとえ利率が低くても利息の支払いが発生し、毎月借りた分と利息を返済する義務があります。
 
その点、補助金や助成金であれば原則返済不要であり、条件を満たしていれば複数の制度を利用して給付を受けることもでき、100万円以上の給付を受けることも可能です。
 
給付を受けるには従業員の雇用や給与アップなど雇用関係の要件がある制度も多く、起業後従業員を雇ったり新たなツールを導入したりなど、業務体制を整えたい方にも利用しやすいといえます。
 

起業時に補助金や助成金を利用するデメリット

起業時に補助金や助成金を利用するデメリットは、給付が後払い制である点です。たとえば事業の経費を一部補助する助成金があっても、実際に手持ちの資金で購入したのちに報告することでかかった経費の一部が給付される形となります。
 
申請から給付を受けられるまでの期間も長く、審査により採択が決まったとしても、最初の申し込みから実際に給付を受けるまで半年以上かかることもあります。申請や経過報告のために書類を作成することも手間になり、慣れない作業に時間がかかることもあるでしょう。
 
給付を受けるにはまず自己資金で物品を購入する必要がありますが、せっかく後から給付が受けられるのに購入する資金が手元にないと、補助金や助成金をうまく活用できません。その際は、ひとまず融資制度を利用し借り入れを受けて、給付対象となる物品の購入に使用したのち実際に給付を受けてから返済する方法もあります。
 
また、補助金や助成金を受け取るために正社員雇用や賃金引上げをおこなうと、のちに経営を圧迫する可能性もあるため、補助金や助成金で受け取れる利益や人材育成のための費用などをよく考えて申し込みましょう。
 

起業時に活用できる補助金と助成金8選

ここからは起業時に活用すべき補助金や助成金の制度を8種類紹介します。制度ごとに目的や主旨が異なるため、事業内容に当てはまるかチェックしてみてください。
 

起業時に活用できる補助金・助成金1:小規模事業者持続化補助金

●どの事業者でも利用しやすい
 
●補助率は3分の2
 
●創業枠が用意されている

「小規模事業者持続化補助金」とは、小規模事業者が今後複数年にわたり直面する制度変更等に対応するための経費をサポートする、商工会議所の補助金制度です。持続的な経営を目指す事業者を応援するために、販路開拓の取り組みや業務効率化にかかる経費を一部補助します。
 
補助の上限金額は「通常枠で50万円」、「賃金引上げや後継者支援枠などは200万円」であり、いずれか1つを選択して申し込みます。賃金引上げ枠や卒業枠は従業員を雇っていることが前提であるため、これから起業する方は通常枠か「創業枠」の利用がおすすめです。
 
創業枠とは、創業した事業者を重点的に政策支援するために設けられた枠で、認定連携創業支援事業者による「特定創業支援事業」の支援を受けた事業者で公募締切時から起算して過去3年間に創業した人が対象となります。
 
特定創業支援事業の支援は認定市区町村の各自治体の窓口で受け付けているため、200万円の枠で申し込みたい方は事前に各自治体から特定創業支援事業の支援を受けましょう。
 
補助率2分の1を採用している補助金制度も多い中、小規模事業者持続化補助金の補助率はどの枠も3分の2(賃金引上げ枠のみ赤字事業者は4分の3)であり、金銭的負担を抑えながら事業に活用できる点がメリットです。対象となる経費は機械装置等費や広告費、旅費や外注費などさまざまで、どのような事業でも利用しやすい補助金の1つです。
 
デメリットは、要件に適合する方が全員採択されるとは限らず、審査のポイントをチェックして評価が高い順に採択される点です。審査のポイントや加点一覧はガイドブックに詳しく記載されているため、申請書はガイドブックをよく確認しながら記入しましょう。
 
また、申し込みは原則電子申請システムにより受け付けており、支店に赴き面談する必要がないことも特徴です。しかし、小規模事業者持続化補助金は審査のある制度であり、不採択になる可能性もあります。
 
審査では提出書類にミスがないことや事業遂行のために必要な能力を有することなどの基礎審査から、経営計画書・補助事業計画書を見て経営状況分析の妥当性や積算の透明性、適切性などが問われます。
 

起業時に活用できる補助金・助成金2:事業再構築補助金

●小規模事業者にも対応
 
●補助上限額は小規模事業者でも高額
 
●幅広い業種に対応

「事業再構築補助金」とは、新型コロナウイルス感染症の影響により売り上げが下がった中小企業等の回復を支援する補助金制度です。企業の事業再構築を支援する制度で、企業内の最低賃金を引上げたり、成長分野への大胆な事業再構築を目指したりなどが目的とされています。
 
たとえばコロナウイルスの流行前は飲食店を経営していたところ、ウイルス流行後は客足が遠のき赤字が続いている場合、非対面の注文システムを活用してテイクアウト販売を始めたというケースも業務転換として補助金の対象となります。
 
申請枠は事業の内容や企業の規模により異なりますが、起業したての方が利用しやすいのは事業再構築が目的の「成長枠」です。
 
必須となる要件は、事業計画について認定経営革新等支援機関や金融機関の確認を受けることと、補助事業終了後3年~5年で付加価値額の年率平均3%~5%以上増加もしくは従業員1人当たりの付加価値額の年率平均3%~5%以上の増加が共通の要件です。
 
中でも成長枠は年率平均を4%以上増加させ、取り組む事業が過去から今後いずれかの10年間で市場規模が10%以上拡大する業種に属していること、そして給与支給総額が年率平均2%以上増加することが条件となります。従業員が20人以下であれば補助の上限額は2000万円であり、中小企業の補助率は2分の1です。
 
条件を満たしていれば飲食店や衣服販売業、製造業などさまざまな業種が受けられる補助金で、補助対象になる経費は建物費から外注費、研修費など幅広く対応しています。一方で従業員の人件費や不動産などの購入は補助対象外になるためご注意ください。
 

起業時に活用できる補助金・助成金3:ものづくり補助金

●小規模事業者でも高額な補助金が受けられる
 
●中小企業も利用できる
 
●要件が事業再構築補助金より易しい

ものづくり補助金の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」であり、中小企業者や小規模事業者の生産性を向上させるための設備投資等を支援する補助金です。
 
小規模事業者の場合は個人事業主でも対象であり、製造業その他では常勤従業員数が20人以下、商業・サービス業では5人以下、サービス業のうち宿泊業や娯楽業は20人以下の会社及び個人事業主が対象事業者となります。
 
2024年の17次ものづくり補助金では「省力化(オーダーメイド)枠」のみの募集となっており、補助上限額は常勤従業員数が5人以下であれば750万円、補助率は3分の2と高額な補助が受けられます。省力化枠の基本要件は付加価値額の年平均成長率3%以上の増加、給与支給総額の年平均成長率1.5%以上の増加、事業場内最低賃金が地域別最低賃金の30円増加の3点であり、現状では事業再構築補助金よりも要件は易しめといえるでしょう。(年によって変わるケースがあります)
 
この3点を満たした3年~5年の事業計画書の策定及び実行が求められます。
 
補助対象は機械装置やシステム構築費が必須であり、その他クラウドサービス利用料や技術導入費などさまざまな経費が対象となります。2024年の17次ものづくり補助金スケジュールは、申請開始日が2月13日、締切日が3月1日と短い期間であるため、検討中の方は早めに申し込みましょう。
 

起業時に活用できる補助金・助成金4:IT導入補助金

●業務のIT化を目指す方におすすめ
 
●経営課題にあわせた適切なITツールが導入できる
 
●パソコンやタブレットも補助対象

「IT導入補助金」とは、業務効率のためのデジタル化やセキュリティ対策強化などを支援する補助金です。
 
補助対象は、業務効率化や売り上げアップをサポートする「通常枠」や、サイバー攻撃のリスクを回避するための「セキュリティ対策推進枠」、会計ソフトや受発注ソフトの導入に利用できる「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」、そしてインボイス制度に対応した受発注システムが対象の「デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)」の4種類に分けられます。
 
これから起業する方が利用しやすいのは、通常枠とデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)です。通常枠はA類型とB類型に分かれており、購入するソフトウェアが対応している業務プロセスの数で分類されます。購入するソフトウェアが、「事務局が分類した7種類の業務プロセスのうち1種類以上のプロセスに対応していればA類型」、「4種類以上に対応していればB型」に分類されます。
 
A型類は5万円以上150万円未満、B型類は150万円以上450万円以下が補助対象額であり、いずれも補助率は2分の1です。
 
デジタル化基盤導入類型では導入するソフトウェアが複数の機能を有している場合、補助率が3分の2(一部4分の3)、補助上限率が350万円以下になるため、これから新たに会計・決済ソフトの導入を検討している方にはおすすめの補助金です。ソフトウェアの導入と併せて購入する場合に限り、パソコンやタブレット、POSレジなども補助対象のハードウェアとして10万円または20万円まで補助されます。
 
対象となるITツールは事前に事務局の審査を受けたものに限られますが、これから事業をどのような面からIT化すればよいか分からない方でも、相談のもと経営課題を見つけたり適切なツールの紹介を受けられたりなどのサポートが受けられる点が特徴です。
 

起業時に活用できる補助金・助成金5:キャリアアップ助成金

●非正規雇用の正社員化をサポート
 
●雇用関係の支援に幅広く対応
 
●2023年11月から一部給付額アップ

「キャリアアップ助成金」とは、短時間労働者や派遣労働者など非正規雇用労働者の企業内キャリアアップを促進するための制度です。非正規雇用労働者を正社員にしたり、賃金増額や賞与・退職金制度導入などの処遇改善に努めたりなどの企業が対象となります。
 
キャリアアップ助成金は正社員化支援に関するコースと処遇改善支援に関するコースの2種類があり、いずれも作成した申請書は労働局やハローワークに提出して手続きを進めます。処遇改善支援、正社員化支援はどちらもキャリアアップ計画の認定後、所定の要件を行い、取組後6ヶ月間の賃金支払いを行う必要があり、6ヶ月の賃金支払日の翌日から起算して2カ月以内に支給申請する必要があります。
 
中小企業での正社員化支援では、有期雇用労働者を正社員化する場合に1人当たり80万円が支給されます。中小企業での賃金規定等改定コースでは、有期雇用労働者の基本給を定める賃金規定を3%以上5%未満増額した場合5万円が支給され、5%以上増額する場合は6万5000円が支給額となります。
 
加算措置も豊富で、正社員化支援では派遣労働者を派遣先で正規雇用として直接雇用すると28万5000円が支給されたり、処遇改善支援に関するコースでは賞与・退職金制度の導入で1事業所当たり16万8000円が支給されたりなど、追加で助成金を受け取れます。
 
厚生労働省の助成金制度であるため、申請様式のダウンロード等は厚生労働省のキャリアアップ助成金のページから可能で、問い合わせ先も管轄の都道府県労働局やハローワークとなっています。
 
起業してすぐに利用することは難しいですが、将来的に従業員を雇いたい経営者の方にはおすすめの助成金です。
 

起業時に活用できる補助金・助成金6:地方創生起業支援金

●交付額が高額
 
●地方の企業をサポート
 
●これから開業する方や事業継承等が対象

地方創生の「起業支援金」とは、地域の課題解決に資する社会的事業を新たに起業する方を対象に、最大200万円を助成する補助金です。
 
対象者は以下の3点に当てはまる人となります。
 
・東京圏以外の道府県や東京圏内の条件不利地域で社会的事業の起業を行う人
・交付決定日から補助事業期間完了日までに個人開業届や法人の設立が可能な人
・企業地の都道府県内に居住または、居住予定の人
 
東京圏とは東京都のほか埼玉県・千葉県・神奈川県が当てはまりますが、その中でも条件不利地域に当てはまる市町村で開業する方は起業支援金を申請できます。
 
起業支援金は地方公共団体が主体となり実施するため、申し込み期間や支給額に関しては地域により異なります。たとえば北海道の場合は対象となる企業に、人件費や店舗等借料、設備費などの経費を補助上限額200万円以内で補助率2分の1までの金額を補助します。
 
対象となる事業には、子育て支援や地域産品を活用する飲食店などさまざまな業種が当てはまるため、これから起業する業種にも対応しているかぜひチェックしてみてください。
 
また地方創生では「移住支援金」もあり、東京23区に在住または通勤する方が東京圏外で起業や就業する際に交付金を受け取れます。世帯の場合は100万円以内、単身の場合は60万円以内で都道府県が設定する額が異なります。
 
移住支援金は起業支援金と併用して受け取れるため、2種類利用した場合は最大で300万円の支援金が受け取れます。地方で起業する際はぜひ利用したい支援金制度の一つです。
 

起業時に活用できる補助金・助成金7:事業継承・引継ぎ補助金

●事業継承や引継ぎ全般に対応
 
●補助額が高額
 
●一度廃業しても利用可能

「事業継承・引継ぎ補助金」とは親から子への事業継承や、事業譲渡により引継いで事業を始める方に対する補助金制度です。内容は大まかに「経営革新枠」と「専門家活用枠」、「廃業・再チャレンジ枠」の3種類に分かれており、それぞれで要件や補助上限額が異なります。
 
たとえば経営革新枠の「創業支援型(Ⅰ型)」では、事業継承対象期間内に法人や個人事業主として開業し、廃業を予定している者等から事業譲渡により設備や従業員、顧客等を引継ぐことが条件となります。補助額は100万円から600万円、既定の賃上げを実施することで800万円以内まで上がり、廃業費の上乗せも150万円以内で給付を受けることが可能です。
 
補助率は経費の2分の1以内ですが、中小企業基本法上の小規模事業者や物価高の影響等により営業利益が低下しているものなど一定の要件を満たすと、3分の2の補助率で給付を受けられます。
 
補助対象経費も枠により異なりますが、経営革新枠では店舗にかかる借入費や原材料費、廃業費などが対象となり、専門家活用枠では補助対象事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費などが対象に挙げられます。
 
一度事業継承を経て廃業または一部廃業となった場合は、「廃業・再チャレンジ枠」の利用も可能です。廃業・再チャレンジ枠は単独の申請も可能ですが、経営革新枠や専門家活用枠との併用も可能であり、さらに高額な給付を受けられます。
 
親子の事業継承のみでなく、経営者の交代や株式譲渡などさまざまな事業継承に対応しており、事業を売りたい方から買いたい方まで利用できる汎用性の高い制度です。
 

起業時に活用できる補助金・助成金8:自治体が実施する創業促進補助金

これまで紹介した補助金や助成金以外でも、自治体が取り組んでいる制度は数多くあります。
 
各都道府県のみでなく市区町村が独自に取り組んでいる給付制度も多く、起業する前に申し込むことが要件となる制度もあるため、これから起業する地域で補助金制度が導入されているか事前に確認してみてください。
 
たとえば東京都の「創業助成事業募集」では、都内に創業予定または創業から5年未満の中小業者向けに、創業初期に必要になる経費を300万円まで助成します。補助率も3分の2と高額で、賃借料や人件費などの負担を抑えられることから利用しやすい制度となっています。
 
市が提供しているものでは、千葉市の「千葉市創業支援補助金」が創業予定または創業から2年以内の方を対象に、最大30万円までを給付します。同じ地域で複数の補助金や助成金が受けられる場合は併用できるケースもあるため、まずは起業の際に利用できそうな制度をピックアップしてみることをおすすめします。
 

起業時に補助金や助成金を受け取るまでの手続き

補助金や助成金の申請手続きは制度により異なりますが、これから起業して助成金を受け取る一般的な手続きは以下の流れになります。

1:募集要項や規定を確認する
2:申請書を記入し提出する
3:申請書の審査のち交付決定
4:実際に事業を開始
5:経過を報告・提出して審査を受ける
6:審査にとおれば実際に給付金の交付

申し込み方法は主に郵送か電子申請の2種類ですが、電子申請をおこなう場合は事前に「GビズIDアカウント」の取得が必要な制度が多く見られます。
 
GビズIDとは1つのアカウントでさまざまな行政サービスにログインできるサービスで、小規模事業者持続化補助金や事業再構築補助金、ものづくり補助金など多くの補助金制度に対応しています。
 
 

補助金や助成金を活用して起業する際の注意点

補助金や助成金を利用する際は、以下の点に気をつけましょう。

●余裕を持ったスケジュールで申し込む
 
●申請前の書類や内容の確認
 
●自己資金を用意する

補助金や助成金は半年や1年間の経過報告が必要になる制度もあり、すぐに給付金が振り込まれないものがほとんどです。最初は自己資金を利用して購入するため、給付を受けられる時期を確認しつつ、あらかじめ起業に十分な資金は自己資金や借り入れで用意しておきましょう。審査により採択される前に経費で購入しても、その分の給付金は受けられません。
 
いざ申請書を提出する際は、書類の一部送付忘れや記入ミスなどがあると書類が返送され申し込み期限に間に合わないケースもあります。たとえば小規模事業者持続型補助金では、要件を満たしたうえで審査のポイントが高い順から採択されるため、計画書の内容のみでなく基本的な記入も審査対象に含まれると思って正しく記入することが重要です。
 
そして自治体の補助金制度は毎年公募があるとは限らず、予算の問題で廃止になることもあり、来年申し込もうと見送っていると制度自体が無くなってしまう可能性もあります。検討している助成金や補助金の公式サイトは逐一確認しましょう。
 
また不正受給が発覚すると給付の取り消しや全額一括返金になるほか、悪質と認められる場合は刑事罰にあたることもあります。不正受給でなくても制度ごとに禁止事項が定められているため、故意でなくてもルールを破らないために、事前に募集要項を確認して防ぐことが大切です。
 

起業時に活用できる補助金と助成金まとめ

起業時に活用できる補助金や助成金は種類豊富で、要件に当てはまれば誰でも利用できるものから審査により評価の高い順に採択されるものまでそれぞれです。
 
地方創生の起業支援金と移住支援金のように併用できるものもあれば、自治体の給付を受けてIT導入補助金やものづくり補助金など主旨の異なる制度を併用することも可能です。
 
最初は自己資金や借り入れを利用して購入する必要がありますが、それでも返済義務のない補助金や給付金はこれから起業する方にとって非常に心強いサポートになります。起業の金銭的負担を軽減するために、補助金や助成金は積極的に活用しましょう。
 

出典

商工会議所地区小規模事業者持続化補助金<一般型>第14回・15回受付締切用
商工会議所地区小規模事業者持続化補助金<一般型>小規模事業者持続化補助金<一般型>第15回公募公募要領
事業再構築補助金
事業再構築補助金1.新分野展開
事業再構築補助金事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)
事業再構築補助金事業再構築補助金リーフレット
ものづくり補助金総合サイト
ものづくり補助金総合サイトものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠1.2版
IT導入補助金2024
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事業承継・引継ぎ補助金Webサイト中小企業生産性革命推進事業事業承継・引継ぎ補助金経営革新枠【公募要領】
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東京都令和5年度第1回 創業助成事業募集のお知らせ
千葉市千葉市創業支援補助金のご案内
商工会議所地区小規模事業者持続化補助金<一般型>小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック
 
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