更新日: 2024.10.10 その他家計
巣ごもり生活はお金も時間もお得?今後のウィズコロナ生活とは
会いたい人にも会えず、やりたいこともできず「コロナ疲れ」などの声が聞こえる中で、ようやく緊急事態宣言が全国で解除になり、ほっとしている人も多いでしょう。
しかし現段階ではまだ、新型コロナに対する有効なワクチンや治療薬も確立していません。引き続き、警戒し続けなければいけない状況に変わりはないでしょう。
我慢ばかりで、気分が暗くなってもいけません。逆転の発想で明るくする、つまりコロナで得をしたことは何か、を考えてみるのはいかがでしょうか。今後もある程度の自粛を続ける中でのモチベーションアップにもつながります。
執筆者:岩永真理(いわなが まり)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表
横浜市出身、早稲田大学卒業。大手金融機関に入行後、ルクセンブルグ赴任等を含め10年超勤務。結婚後は夫の転勤に伴い、ロンドン・上海・ニューヨーク・シンガポールに通算15年以上在住。ロンドンでは、現地の小学生に日本文化を伝えるボランティア活動を展開。
CFP®として独立後は、個別相談・セミナー講師・執筆などを行う。
幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプラン、国際結婚のカップルの相談など多数。グローバルな視点からの柔軟な提案を心掛けている。
3キン(金融・年金・税金)の知識の有無が人生の岐路を左右すると考え、学校教育でこれらの知識が身につく社会になることを提唱している。
ホームページ:http://www.iwanaga-mari-fp.jp/
家計での消費が減ったもの
お稽古事費、学習塾費、交際費、旅行・レジャー費、など。使いたくても使えなかった費用の主なものといえます。
例えば、4人家族(夫婦と子ども2人:中学生・小学生)のAさんの場合、夫は在宅勤務、妻パート勤務(休業)で、使わなかった費用を計算してみると、下図のようになります。
Aさん一家では、月額25万円も支出が減った、あるいは支出をしないで済んだことがわかります。
もちろんその分、行動が制約されて我慢を強いられたわけですが、それに見合う金額が節約でき、あらためて金額を可視化してみると「我慢も悪くもないかな」という気分になるのではないでしょうか。
計画的に節約したわけではなく、結果として節約できてしまったので、何となく「お得感」もあります。みなさんの場合はいかがでしょうか。
一度おおまかでもよいので、新型コロナで自粛していなければ使っていたと思われるお金を総まとめにしてみると、意外と大きな金額になり、予想以上の節約効果があった可能性もあります。
節約は費用だけではない!
節約できたのは、お金以外に、「時間」もあるでしょう。自宅待機で外出のための往復の移動時間がなくなる、あるいはオンラインに切り替わることで通勤時間がかからなくなるなど、その分浮いた時間ができたはずです。
通勤時間が往復2時間かかっていたら、1日に2時間も自由な時間を獲得したことになります。週5日勤務なら、1週間で10時間、1ヶ月で約40時間です。
この時間的なゆとりは、物事を落ち着いて考える、あるいは普段やりたくてもできなかったことを行うなどのよい機会になった、あるいは今後もなる可能性があります。
できないことをストレスがたまると嘆くよりも、ゆとりの時間を与えられたことに目を向けて、精神的なゆとりを持つほうがよい結果をもたらすはずです。
日本は高度成長期などを経て、モーレツに働くことが当たり前とされてきた社会なのかもしれませんが、欧米では仕事は定時に終え、夏は長い休みを取る人が比較的多くいます。
私たち日本人も、アフターコロナの新しい日常生活の中で、仕事一辺倒ではなく家族と過ごす時間や、自分の健康にも十分留意をする余裕を持つことの大切さを、今回この新型コロナは示唆してくれているのかもしれません。
企業への期待
削減された費用がある一方で、光熱費、食費、通信費、日用品費など、家に人が常駐することで増加した費用もあるでしょう。
すべてではありませんが、オンラインで業務を続けられることを、新型コロナが証明した部分もあるでしょう。
企業や雇用者にとっても、今後もリモートワークを引き続き行い、通勤する従業員の数を減らすことができるのであれば、業務スペースを縮小しオフィスの賃貸料を節約できる可能性があります。
従業員の交通費も削減できると、その分を社員の自宅光熱費の上昇分の一部として還元することも可能になるでしょう。
IT(情報技術)やAI(人工知能)が発達し続ける現代社会では、幸い人と人とが直接接触せずに業務を行うことが可能な部分も多くなっています。
少なくとも新型コロナのワクチンや治療薬ができるまでは、今後も可能な限りオンラインで行うことを習慣化する社会を実現し続ける必要があるでしょう。
自粛による副産物をどう使うか?
移動が少なくなることで得られた時間をどう有効活用し、移動しないことによる運動不足をどう解消するのかが、今後も続くウィズコロナ生活で大きなカギになるのかもしれません。コロナとの生活が長引けば長引くほど、その良し悪しが大きな差を生むでしょう。
また、在宅生活下においては、会社の上司などのお目付役が誰もいないことも、私たちの行動様式に大きな影響を与える要素です。お目付役がいないと人は緊張感を失い、さぼりがちになってしまうからです。自由度が高いと、自分を律する能力の高さも必要となるでしょう。
自粛による副産物は、時間とお金(節約分)です。この事実をしっかりと受け止めて過ごしていくことができれば、今後のウィズコロナ生活も豊かに過ごしていけるのではないでしょうか。
執筆者:岩永真理
一級ファイナンシャル・プランニング技能士