更新日: 2020.07.31 家計の見直し

現役世代におすすめしたい、今から始める「お金の片づけ」のポイントとは?

執筆者 : 藤丸史果

現役世代におすすめしたい、今から始める「お金の片づけ」のポイントとは?
最近、コロナ禍で家にいる時間が多くなり「家の中を片付ける習慣がついた」という人が増えているそうです。

それなら、お金に関する片付けについても考えてみてはいかがでしょうか?

身辺を整理できないまま高齢になり、残された家族がその整理に苦労する事例は後を絶ちませんが、まだまだ身体の動くうちに早めに片付けをしておけば、資産のロスを防ぎ、将来、家族に迷惑をかけることもありません。

そこで今回は、40~50代の現役世代のうちから始める資産の片付けのポイントについて、具体的にお伝えしたいと思います。
藤丸史果

執筆者:藤丸史果(ふじまる あやか)

ファイナンシャルプランナー

相続、投資信託など、身近なファイナンスを中心に活動している。

まずは資産のリストアップから

まず、持っている資産について、何がどれだけあるのか把握することから始めるとスムーズです。
 
最近は、終活(=人生の最期を迎えるための準備)の手段として「エンディングノート」をつける方も増えていますが、現役世代の場合、ざっくりと資産を把握するためのリストアップでいいのではないかと思います。
 
現金、預貯金、クレジットカード、不動産、株式や投資信託、生命保険などの保険、あるいは個人年金、貴金属、ゴルフ会員権、美術品や骨董品、趣味の収集品など、意外とたくさんあることに気付くのではないでしょうか。
 

銀行口座の整理

家の中の片付けと同じで、お金の片付けも1度に全部やろうとすると疲れて嫌になってしまいます。ある程度リストアップができたら、まずは銀行口座やクレジットカードの整理など、少しずつ行えるものから手を付けてみてはどうでしょうか。
 
銀行口座については、2018年1月に「休眠預金等活用法」が施行され、最終異動日が2009年1月1日以降で最後の異動日から10年間が経過している口座は「休眠」とみなされることになりました。ここでいう異動とは、お金の引き出しや預け入れ、振り込み、口座振替、通帳記帳などの取引のことを指します。
 
通帳に1万円以上の残高があれば、金融機関に届け出ている住所宛に通知がきますが、名義人と連絡が取れない場合、休眠口座として公益活動に使われるための預金保険機構に移管されてしまうのです。
 
もちろん休眠口座になってしまった後でも必要書類を揃えて手続きをすれば引き出すことはできますが、忘れたままだとそれもできません。しばらく使っていない口座があれば解約するなど、整理をしておきましょう。
 

クレジットカードの整理

クレジットカードについても、使っていないカードの年会費を払うのはもったいないですし、盗難などの被害に遭っても、自分で気付かないというケースもあります。
 
また、老後に契約者が亡くなると遺族による解約手続きが必要になりますが、数が多ければそれだけ手間もかかり、本人も忘れているクレジットカードは解約しようがありません。
 
ただ、高齢になってから新しいクレジットカードを作ろうとすると審査が厳しくなりますし、将来はますますキャッシュレス社会が進むことが予想されます。今は把握していないクレジットカードを無くしておく程度にとどめ、老後になってから少しずつ数を減らすのがベストだと思います。
 

不動産や投資の整理

高齢になり、いよいよ終活に本腰を入れるというときに、もっとも多くの人が頭を悩ませるのが、自宅の処分など不動産に関することではないでしょうか。
 
お金のようにすっきり分けることができず相続時にはもめ事の原因にもなりがちですし、昨今では、管理する人がいなくなった空き家が急増していることで多くの問題が生じています。
 
現役世代の人が考えておくこととして、まずはご自身の持つ不動産の資産価値を調べておく、相続人が誰になるのか想定しておく、といった点を意識しましょう。老後の住まいについて、早いうちから家族で話し合いをしておくことも重要です。
 
投資については、それまでリスクの高い投資を行っていた人も、リタイアが近づくにつれ慎重な投資へ変更したり、ポートフォリオを変えていくといった対策が必要になります。今のうちに、投資の方針や目的を明確にし、今後の計画をしっかり立てておくようにしましょう。
 

借金の整理

最後に、返済できない額の借金を抱えている、あるいは多方面から借り入れがあるという人については、亡くなった後に相続人となった家族へ迷惑をかけないため、自己破産することを選択肢に入れておくべきかもしれません。
 
自己破産すると年金がもらえないのでは、と心配する声もよく聞かれますが、公的年金の差し押さえは法律で禁止されており、年金が支給されなくなることはありません。
 
また、相続人が借金を相続しないで済む方法としては「相続放棄」することと、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産も引き継ぐ「限定承認」があります。どちらも相続人となったことを知った日から3ヶ月以内に申し立てる必要があります。
 
しかし多方面からの借金があると、相続財産がプラスになるのかマイナスになるのか分からないまま、調べているうちに期限切れになってしまうといった事態も起こり得ます。期限延長の手続きをすることもできますが、必ずしも認められないこともあります。
 
予定どおりに返済できそうだという場合も、借金について家族に内緒にしないことや、金額や借入先がはっきり分かるようにしておくことが大切です。
 
今回は、現役世代のうちに始める資産の片付けについてお伝えしました。あまり細かいことにとらわれず、まずは資産全体を把握し、無駄や不明な点をなくすことから始めてみてはいかがでしょうか。
 
執筆者:藤丸史果
ファイナンシャルプランナー


 

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