更新日: 2024.10.10 家計の見直し
40歳共働き・子ども2人で貯蓄ゼロ!まずは何から手をつけるべき?
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。
意外と多い「共働きなのに貯金ゼロ!」
「共働きにもかかわらず貯金ゼロ」これ、実はありがちなことです。“お財布が2つあるので、何とかなるさ~”でやってきて、これまでは不自由なく生活してきました。お互いが、“相手が貯金してくれているのでは”と期待している場合もあります。一元管理されていないと、この状況に陥りやすいのです。
以前ご相談に来られたご夫婦は50代後半でした。子どもが独立して、そろそろ老後資金のことを考える段になって「お金がない」ことに気付きました。ここで初めて、お互いのお財布を公開することになったのですが、ご主人の借金も発覚してしまい、大慌てで改善計画を練ることになりました。
ピンチを克服するためには、まず現状を知ること、そして対策を講じる必要があります。その方法は2つの「見える化」と2つの解決策にあります。
このままではヤバイ! を見える化
今回の40歳ご夫婦の場合は、2人の子どもの進学などライフイベントが次々あります。何年後に何があるのか、まずは書き出してみましょう。
それぞれのイベントにかかる費用も見積もることで、将来必要な金額が見えてきます。例えば、小学校入学時にはランドセルの他、入学式用の洋服や文房具類、さらに学習机などもそろえるかもしれません。意外と費用がかかることも分かります。
日本FP協会のホームページを検索すると、ライフイベント表(※1)がダウンロードできますので、参考にしてください。
人生の3大支出といわれるのは、教育資金・住宅購入費・老後の生活費です。FP協会のホームページから目安額を引用すると、教育資金 約1049万円(子ども1人当たりの総額。幼稚園から高校まで公立、大学のみ私立の場合)、住宅購入費 約3340万円(建売住宅の場合) 老後の生活費 約26万円/月 とあります(※2)。
これではあまりにも金額が大きすぎて、ピンとこないかもしれません。
例えば子どもの教育費は、大学進学時にピークを迎えます。進学時期は明確なので、逆算することで毎月いくらずつ積み立てて行けば準備できるのかが分かりやすいです。それまでも、成長とともに塾やおけいこ事の費用、クラブ活動などにも費用がかかります。書き出してみると、子ども関連の費用だけでも、かなりの予算が必要です。
レジャーや車の買い替え、自宅のメンテナンス等々、どのような費用がいつ(時期)どのくらい(金額)かかるのか、今後の予定表を書き出す作業をしてみると、ビックリすることになります。「見える化」することで、自分を追い詰めるショック療法が時には必要です。
ここまでくると、夫婦で家計の一元管理が効果的です。40歳のご夫婦の場合、この作業をまずは20年先まですることをお勧めします。20年先には、子どもたちも社会人になっているはずです。書き出して見える化することで、ぼんやりとしていたことが現実的になり、大まかな将来設計図が描けると思います。子どもの成長とともに、家族で設計図を共有することもライフプラン成功のカギとなります。
毎日の出入りを見える化
将来の支出が把握できたので、次は“現在の状況”について考えます。2つ目の「見える化」は、日々のお金の流れを知ることです。
「今月いくらの収入があり、いくら使ったのか」。この『収入=支出』である限り、貯金はゼロということになります。『収入=支出+貯金』にするためには、「お財布の中に現金がいくらあるのか」、「今日一日でいくら使ったのか」など、“入ってきたお金を自分はどのように使っているのか”を観察することが大切です。
小学生の時、夏休みに朝顔の観察日記をつけたように、毎日の支出を記録します。まずは1週間続けてください。「コンビニ 830円」程度の記載で良いので、続けることに意義があります。これで使途不明金がなくなるはずです。
貯金ができない人の多くは、「贅沢をしていないのに、貯金ができない」「なんとなく毎月お金が消えていく」という共通点があります。「自分が何にお金を使っているのか」そこに無駄遣いの犯人は隠れているはずです。
家計をスリム化したいという相談者には、このレコーディングをしてもらいます。
「こんなにお金を使っていた」と驚かれるケースがほとんどです。観察してみると、自分の消費行動が明らかになります。
2つの見える化で、貯金に対するモチベーションが上がったのではないでしょうか。次回は解決策についてアドバイスします。
(※1)日本FP協会「便利ツールで家計をチェック」
(※2)日本FP協会「主なライフイベントにかかる費用の目安」
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士