更新日: 2024.10.10 その他家計
家賃は手取りの何割が理想? 家賃についてFPが詳しく解説
住宅ローンは最長35年にも及ぶ長期間にわたり一定額の返済を行う必要があるため、収入状況の変化に対応しきれないと生活基盤を失ってしまうおそれがあることから、収入変化に対応しやすい賃貸住宅の利用に注目が集まっています。
今回は住居費の中でも賃貸住宅の「家賃」に注目し、解説していきたいと思います。
執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)
FPオフィス Conserve&Investment代表
2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。
理想の家賃は手取りの3割?
家賃を含む住居費は一般に手取りの3割までが理想的といわれています。住居費に含まれる範囲はマイホームと賃貸住宅で異なります。賃貸住宅では固定資産税や建物の修繕費といった支出は不要ですが、備え付け以外の設備や家財の維持・管理費は入居者自身で支払う必要があります。
また、賃貸借契約の更新手数料や家賃保証会社の利用料、近年入居時に加入が必須となっていることの多い火災保険の保険料なども含んで算出することが生活レベルを維持する上でも重要といえます。このほか、将来マイホームの購入を検討している場合は、そのための貯金も考慮にいれて収入に対する適正な家賃を設定することをおすすめします。
家賃は個人差の大きい科目
家賃は入居者ごとに必要となる諸費用を合算し適正範囲内で設定することが大切ですが、契約する賃貸物件によっても独自の費用が必要となる場合があります。
例えば、家賃を節約するため、周辺相場よりも安い家賃の物件を選択した場合、治安状況も悪化してしまって、防犯対策に費用がかかったり、火災保険の盗難補償を手厚くしたりするなどといった対策も必要となります。
また、家族が増えた場合はある程度の広さや設備が必要となるため、賃貸物件の選択肢が狭まり家賃の増額を招くおそれがあります。こうした場合に備え、余裕をもった家賃設定や、家賃に合算する諸費用を抑制するようにしておきましょう。
保険によるリスク対策も必要
住宅ローンではローン契約者の死亡などにより返済不能となるリスクに備え「団体信用生命保険」に加入しておき、死亡時には住宅ローンの残債に相当する死亡保険金が支払われることで遺族は以後住宅ローンを返済することなくマイホームに居住し続けることができます。
しかし、賃貸住宅では契約者が死亡した場合でも遺族は家賃を支払い続ける必要があり、大きな負担となるおそれがあります。賃貸住宅を住居として利用する場合は、万が一の事態に備え、生涯の家賃に相当する金額を生命保険などを利用し、準備しておかなければなりません。
まとめ
家計上の家賃の適正範囲の上限は手取りの3割といわれていますが、家賃の意味する範囲は幅広く、賃貸契約の維持に関する手数料や家賃保証会社の利用料なども家賃に含める必要があります。
また、家賃は入居者が求める居住環境や世帯人数によっても左右されます。例えば、賃貸住宅を利用して家族と居住している場合は、世帯主の死亡リスクに対して脆弱(ぜいじゃく)となります。
万が一の際に遺族の生活を支えるため、生命保険を利用して生涯の家賃を準備するといったリスク対策費用も必要になります。家賃というと大家さんに直接支払う物件の家賃だけを想像しがちですが、賃貸住宅を利用する場合に生じるもろもろの費用を含めた上で適正範囲内に家賃を収めることが理想的です。
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表