更新日: 2021.11.05 働き方

130万円の壁って? 内容についておさらい

執筆者 : 宿輪德幸

130万円の壁って? 内容についておさらい
会社員の妻が、家計の足しにとパートなどで収入を得る場合、収入によって壁がいくつかあります。税金や保険、年金の負担や夫の給与に対する影響などから、これ以下に収入を抑えた方がよいと考える金額の壁です。
 
本稿では、130万円の壁の内容についておさらいします。
宿輪德幸

執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)

CFP(R)認定者、行政書士

宅地建物取引士試験合格者、損害保険代理店特級資格、自動車整備士3級
相続専門の行政書士、FP事務所です。書類の作成だけでなく、FPの知識を生かしトータルなアドバイスをご提供。特に資産活用、相続トラブル予防のため積極的に「民事信託(家族信託)」を取り扱い、長崎県では先駆的存在となっている。
また、離れて住む親御さんの認知症対策、相続対策をご心配の方のために、Web会議室を設置。
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収入による壁の種類


100万円の壁:住民税が発生
103万円の壁:所得税が発生
106万円の壁:従業員501人以上の勤務先で社会保険加入
130万円の壁:扶養を外れる・社会保険加入
150万円の壁:配偶者特別控除が減る

このように収入の金額により、税金や社会保険料の負担が発生したり、夫の扶養から外れることになります。また、配偶者特別控除の段階的な減少で、夫の所得税が増える場合もあります。
 
さらに、夫の給与に「家族手当」などが含まれている場合、妻の収入が多いと支給されなくなります。支給停止となる妻の収入の金額は、会社によっても異なります。
 

社会保険加入要件

パートなどの年収が130万円以上の場合は、社会保険上の扶養の範囲を外れます。
 
夫の扶養から外れるため、勤務先が社会保険の適用事業所であれば、そこで社会保険に加入しますが、社会保険加入の要件を満たしていない勤務先の場合は、自分で国民年金と国民健康保険に加入しなければなりません。
 
106万円の新しい壁ができる理由となった、パートなど短時間労働者に対する社会保険の適用拡大は、社会保険の恩恵を受けられない非正規雇用や短時間労働者に対する「保障内容の充実によるセーフティーネットの強化」および「社会保険格差の是正」を図ることに加え、安定した就労環境の整備や労働者の健康維持により就業意欲を高めることが目的とされています。
 
現在は501人以上の企業および任意特定適用事業所が対象ですが、今後さらに対象が拡大されていきます。
 
年収130万円については見込み額で判断されます。
 
例えば、所定労働時間が増えて月の収入が10万8333円(130万円÷12ヶ月)を超えると、社会保険に加入します。たまたま短期間だけ超えた場合には社会保険加入とならないこともありますが、その判断は保険者がすることになります。
 

130万円を超えたときの可処分所得

夫の扶養に入っていれば、夫の収入に応じた社会保険料のみの負担で済みます。
 
扶養を外れれば、夫の社会保険料はそのままですが、自分で加入する国民年金・国民健康保険、または勤務先で加入となる社会保険の保険料負担が増えるので、その分、使えるお金が減ってしまいます。
 
例えば年収131万円として、自分で国民年金(1万6610円/月)と国民健康保険(市区町村で異なりますが8500円/月として計算)に加入する場合、1ヶ月当たり約2.5万円、年間約30万円の負担になります。
 
年収130万円を超えると、使えるお金が年間30万円少なくなってしまうのです。
 
会社独自の家族手当などがない場合で所得税や住民税まで考えると、130万円を超えたら目安として180万円以上の収入を得なければ、可処分所得はプラスにならないようです。
 
また、勤務先で社会保険(厚生年金+健康保険)に加入できる場合、社会保険料は月給の約14%ですから、年収131万円なら社会保険料は概算で年間18万3000円(1ヶ月当たり1万5250円)です。
 
国民年金と国民健康保険に加入するより負担は軽い上、将来の年金が増える、病気やけがで働けない期間の「傷病手当金」を受給できるなどのメリットもあります。
 
前述と同様に考えると、社会保険に加入できるケースで可処分所得を減らさないためには、年収が130万円を超えたら目安として150万円以上の収入を目指すことになります。
 

まとめ

このように特に負担が重くなるのは、年収が130万円を超えたのに勤務先で社会保険に加入できず、自分で国民年金と国民健康保険に加入する場合です。負担は増えるのに、社会保険に加入する場合のようなメリットもありません。
 
勤務先で社会保険に加入できる方は、メリットとデメリットを理解した上で、年収を130万円以下で抑えるかどうか慎重に検討してください。
 
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士

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