更新日: 2021.11.30 貯金

「貯金の日」に考える…お金を貯めるのはなんのため?

執筆者 : 當舎緑

「貯金の日」に考える…お金を貯めるのはなんのため?
10月17日は「貯蓄の日」でした。ご存じでしたでしょうか?
 
この貯蓄の日に合わせて、SBI いきいき少額短期保険より「“貯蓄と保険”に関するアンケート調査結果」がリリースされました。今回はこの調査結果をもとに、お金を貯めることについて考えてみましょう。
當舎緑

執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

みんなの貯金はどれくらい?

他人がいくらくらい貯蓄をしているのか、親子や兄弟でもなかなか聞けないものです。インターネットが発達しても、他人がいくらくらい貯めているのか正解はわかりません。
 
「“貯蓄と保険”に関するアンケート調査結果」では、その“普通では聞きにくい”世帯の貯蓄額が質問されています。意外ですが、この調査結果を見ると、「答えたくない」という回答を除くと、最も多いのは、100万円未満という額です。
 
以前「老後2000万円問題」が取りざたされた時、さまざまなメディアでも老後の備えとして、年金以外に2000万円程度が必要であるといわれました。その時点である程度は貯蓄の大切さは浸透しているはずなのに、同調査結果の回答を見て驚いた方もいらっしゃるかもしれません。
 
さらに驚くべき回答として、まったく貯蓄していない世帯が4%程度いるという点です。貯蓄ができていない世帯があることは気になるものの、FPとしては、貯蓄の目標額について「特に決めていない」という点にも着目しています。
 
誰でもお金はほしいものですし、増えるのであればいくらでも増やしたい気持ちもわかりますが、目標設定をしたほうが、より具体的な貯蓄方法が考えられるからです。
 

なんのために貯めるのか? 目的をはっきりさせよう

この調査結果では、「将来についての不安があるか」という質問もしています。この結果は、予想どおり「不安を感じる」「どちらかというと不安を感じる」と回答した方を合わせると76.1%にもおよび、非常に多い結果となっています。
 
そこで、ちゃんと目的を持った貯蓄できるよう、ライフプランを考えてみましょう。教育資金の場合、原則として高校生になるまでは毎月の家計から支出し、大学受験の際にまとまった一時金が必要になるケースもあるでしょう。
 
そうなると、例えば、子どもが0歳から18歳になるまでの「18年間で300万円」などという目標金額が設定できます。
 
この目標を達成するために、「学資保険」や「終身保険」「つみたてNISA」などの選択肢が考えられます。老後資金であれば、例えば30歳から65歳までの「35年間2000万円」を目標とし、つみたてNISAや確定拠出年金などで積み立てていくという方法を選択するのです。
 
目標とする金額や年数によって、最適な方法が変わります。老後2000万円はそれだけのお金がなければ老後が不安定になるのではないのです。それぞれの世帯の環境によって、最適な方法や目標金額は変化します。
 
大事なのは、インターネット内の情報や数字に惑わされるのではなく、「自分の目標」を設定することです。
 

貯めるためにやっておきたいこと

今の定期預金の利率を見ても、ひと昔前のような10年お金を預けて倍になるという時代はもうやってこないでしょう。貯蓄をするためには、苦手だといって尻込みせず、少しでも投資へとシフトする必要があります。
 
一般NISAやつみたてNISAの口座数は伸びています(※1)。企業型DC(確定拠出年金)も増加を続けています(※2)。ただ、いくつか気になる点はあります。確定拠出年金は掛け金のうち、投資信託などの商品を選択して、掛け金を配分します。
 
その選択となる商品について、少し古い調査ですが企業年金連合会の確定拠出年金実態調査結果の概要(※3)によると、元本確保型商品は、平均して4.7本が選定されているそうです。うち、定期預金が2.4本、保険商品が2.3本という結果です。
 
確定拠出年金を「投資」という目で見ると、元本確保商品の選択肢はとてももったいない選択肢といえます。せっかく複数の選択が準備できる状態なのですから、少しでも投資の勉強に挑戦していただきたいものです。
 
そして、貯蓄するためには資産の見直しも欠かせません。これから年末に向けて、勤務先で年末調整の準備の書類が配布されたりする時期でしょう。
 
できればこの時期に合わせて、保険など控除の見直し、資産の配分方法や貯蓄の方法、目標金額を設定し、来年少しでも明るい気持ちで年始が始められるとよいのではないでしょうか。
 
(※1)金融庁「NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査(2021年3月末時点)」
(※2)厚生労働省「企業年金・個人年金制度の現状等について」
(※3)企業年金連合会「2018(平成30)年度決算 確定拠出年金実態調査結果」
(出典)
SBIいきいき少額短期保険 プレスリリース「SBIいきいき少短 “貯蓄と保険”に関するアンケート調査を実施 10月17日は「貯蓄の日」、世帯の貯蓄額「〜100万円未満」が最多」
 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

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