更新日: 2022.01.25 貯金

夫婦共働き、総年収は悪くないのですが貯金ができない……どうすれば貯蓄を増やせる?

執筆者 : 柴沼直美

夫婦共働き、総年収は悪くないのですが貯金ができない……どうすれば貯蓄を増やせる?
年収が高い、イコール貯蓄残高が大きいとはいえないケースをよく目にします。家計運営は100世帯あれば100通りで、収入支出といったお金の出入りよりも、入ってきたお金をどのようにやりくりしていくか、という考え方が大きく左右するからにほかなりません。
 
そしてこの「考え方」というのは明確なマニュアルがあるわけではないので、何を指針にしていけばよいか難しいですよね。
 
今回は、そんな悩みを考えてみたいと思います。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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年収の1.5倍の貯蓄残高はほしいところ

総務省の家計調査報告2020年(令和2年)によれば、2人以上の世帯のうち勤労世帯の貯蓄現在高を見ると、年間収入の平均が740万円、貯蓄保有世帯の平均値は1378万円となっています。平均値は貯蓄残高が大きい富裕層の影響を受けますので、最も保有者層が多い中央値で見ると1061万円です。
 
もっとも、この統計結果は新型コロナウイルス感染拡大前なので、現在の実態を反映できてはいませんが、おおむね年収の1.5倍前後の貯蓄残高を保有していると考えてよいでしょう。
(出典:総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)2020年」(※))
 

貯蓄を増やす方法は2つ:入り口(収入)を広げるか出口(支出)を狭めるか

家計運営は、雑多な項目が多く、何から手を付けてよいかわからなくなりがちですが、大枠をとらえればもっとシンプルに行うことができます。貯蓄を増やしたければ、(1) 収入が高くなるように転職するか副業する、(2) 支出を抑える。この2つを実行すればいいのです。
 
(1) は時間もかかりそう簡単には進まないでしょうから長期的なプロジェクトと考えれば、今日からでも実行可能な方法は(2)の支出の見直しになります。
 

「貯蓄推進矯正ギプス」を作ってしまう

特に共働きでよく見られるケースは、それぞれが別々に自分の財布の中からやりくりをしていて、あればあるだけ、計画性なく使ってしまうことです。
 
お互いの収支に干渉するのは、夫婦といえどもなかなか踏み込めないところでしょうが、出産、住宅購入など大きな買い物をするときに「こんなはずではなかった」と思いのほか、あてにしていた相手の財布が軽かった(貯蓄残高が小さかった)ということに遭遇しても時計の針はもとには戻せません。
 
今、不安を抱えているならば、その時から「枠組み」を作ってしまいましょう。例えば、手取り月収40万円ならば、毎月5万円は積立貯蓄にまわす、最初から別枠にはめてないものとしてしまうのが確実に貯蓄残高を貯める有効な方法です。いわゆる貯蓄推進矯正ギプスです。
 
冒頭に触れましたが、お金の使い方は人それぞれこだわりがあって、一朝一夕には変えられません。例えば車に関する出費はどうしても削れない、というご主人に、いきなり「これから出費がかさみそうだから」と言っても反発されるだけでしょう。まだ大きなライフイベントがないうちに「40万円使える」ところを「35万円使える」に替えてしまうのです。
 

積み立ては有効な資産運用法でもある

まとまったお金ができたから運用先を考えよう、というと、いつまでたってもできないかもしれませんが、初めから別枠で決まった日に積立口座に移してしまえば、知らない間に残高は積みあがっていきます。またこの方法が資産運用においても、「ドルコスト平均法」と呼ばれ、買い時を考えなくてもよいので有効な方法であるといわれています。
 

日々のお金の出し入れを1つずつチェックするのは無駄

出口を小さくして支出を抑えるとなると、どうしても日々のお金の使い方を見直さなければ、と思いがちですが、共働き世帯でそのような時間を使うのは難しいでしょうし、長続きしない可能性があります。ダイエットと同じで毎食をきっちり管理するのはプロでない限りストレスばかりがたまり、すぐに挫折してリバウンドすることもあります。
 
どうしても気になるのであれば、例えば携帯料金の見直しなど、最も構成項目が大きく、いろいろな選択肢があるものに絞って大胆に行うほうが効果も出やすいかもしれません。
 
出典
(※)総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)2020年/III 世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況」
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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