更新日: 2022.03.17 貯金

戸建てを購入した人は、経年劣化のリフォームに備えていくら貯金している?

執筆者 : 新井智美

戸建てを購入した人は、経年劣化のリフォームに備えていくら貯金している?
戸建ての場合、経年劣化に伴う修繕(リフォーム)は自分で計画して行う必要があります。では、実際にどのくらいの修繕費用がかかるのでしょうか。また、その資金をどう工面しているかの実態についても解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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戸建ての修繕費用はいくらかかる?

アットホーム株式会社が発表しているリリース(※1)によると、戸建て住宅における修繕費用は平均して556万円にも上ることがわかっています。また、平均築年数は35.8年となっており、その間にこれだけの費用が発生するということです。
 
もちろん築年数が浅ければ、その分修繕費用も少なくなります。ちなみに築年数が30~34年の場合にかかる平均的な修繕費用は495万円で、35~39年の場合では583万円です。そして、築年数が長くなるにつれ修繕費用は高額になり、50年を超えると平均750万円の修繕費用がかかるという調査結果が出ています。
 

■どこの修繕にもっとも費用がかかる?

同リリース資料によると、もっとも修繕費用がかかったのが屋根の修繕で、1回あたり110万円程度が必要となっています。通常1回目の屋根の修繕は築後23年経過した際に行い、その後も定期的なメンテナンスが必要です。
 
その次に費用がかかるのが外壁の修繕で、築後20年で1回目の修繕を行っていることが分かります。そしてその際の費用は100万円です。また、築後25年程度たつと、お風呂やキッチンの修繕費用が発生し、それぞれ106万~128万円程度が必要になっています。
 

修繕費用を積み立てている人は意外と少ない

マンションなどの集合住宅の場合、修繕費用も高額になるため、管理費と合わせて修繕積立金を支払っています。しかし、戸建てを取得した人で修繕費用のために積み立てを行っている割合は全体の約1割しかなく、ほとんどが、ボーナスや退職金を利用して修繕を行っているようです。
 
また、退職金を利用して修繕を行った人の割合は全体の約7割に達しており、退職金の中から修繕費に充てた費用は約390万円であることがわかっています。
 

■積み立てを行っている人の積立額

では、実際に修繕費用を積み立てている人の積立額はいくらくらいなのでしょうか。同リリース資料によると、積立額の平均月額は約1万6000円で、積立総額の平均は361万円となっています。
 
この金額を見ると、退職金の中から修繕費用に充てている額とそこまでの違いはないように見えますが、実際に積み立てを行っていることから、退職金はそのまま老後資金として利用できる点は大きな安心につながるのではないでしょうか。
 

修繕費用はリタイア後にも発生する

修繕は一度だけで済むわけではありません。もちろん修繕場所にもよりますが、外壁や屋根、さらに給湯機などはおよそ20~25年に一度は修繕を行っています。
 
また、シロアリ対策についても、一度の費用は26万円程度と少額ではありますが、1回目の修繕が築18年後と、修繕場所の中でももっとも早くなっています。そのため、戸建てを購入した後の修繕については、いつのタイミングでどこを修繕するか、そしてその費用はどのくらいかかるのかを把握しておくことが大切です。
 

■自分で修繕できる部分もある

家の修繕となると、必ず業者に依頼しなければならないと考えている人もいらっしゃるかもしれませんが、実際はできるところは自分修繕する傾向が多く見られます。
 
特に壁紙や内装などの修繕を自分で行った割合は全体の約31%に上っており、費用をかけずに材料代だけで修繕を行える場所については、積極的に自分で行うという考え方も大切かもしれません。
 

戸建て住宅の寿命は?

戸建て住宅の寿命を50~59年と答えた割合がもっとも多く、平均値は約57年です。寿命を迎えた住宅は、立て直すか、住む人がいないならば更地にして有効活用するなどの対策が迫られます。
 

まとめ

令和2年度の「住宅市場動向調査報告書」(※2)によると、分譲戸建て住宅を購入した人の平均年齢は39.6歳と、約40歳です。その後約40年にわたって住み続けるなかで、平均して556万円の修繕費用を考えておかなければなりません。
 
毎月の住宅ローンの返済額や子どもの教育資金、さらには自分たちの老後資金の形成などを考えると、そのような余裕はないと思われるかもしれませんが、修繕を怠って住みにくくなってしまうと、次の住宅確保を考えなければならなくなります。
 
そのような事態を避けるためにも、住宅を購入した時点で修繕費用を別途積み立てると同時に、ある程度の修繕計画は立てておきましょう。その中で、気になる部分が出てきたら早めに対処することで費用を安くでき、また、住宅の寿命を延ばすことにもつながるでしょう。
 
今回ご紹介した積立額(平均361万円)を参考に、自分たちの住宅にどれくらいの修繕費用がかかるのか、そしてそれはいつのタイミングかを把握し、計画的に積み立てておくようにしましょう。
 
出典
(※1)アットホーム株式会社「平均築年数35.8年で修繕費の平均総額556万円 修繕費を積み立てていた9.9% 雨漏り経験44.6% シロアリ被害経験24.6%」(2016年7月29日付)
(※2)国土交通省 住宅局「令和2年度 住宅市場動向調査 報告書」(令和3年3月)
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員