更新日: 2022.06.30 ライフプラン

パートでも社会保険に入れる! 社会保険の適用範囲拡大についての認知度UP。働き方はどう変わる?

パートでも社会保険に入れる! 社会保険の適用範囲拡大についての認知度UP。働き方はどう変わる?
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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法律改正により、今年の10月からパート・アルバイトで働く従業員を社会保険に加入させることが全企業に義務付けられます(適用は段階的)。
これによって、パート・アルバイトの保障は充実しますが、働き方はどのように変わるのでしょうか?
 
株式会社mitorizが非正規で働く女性655人(平均年齢49歳)を対象に行った調査の結果(※1)をもとに見てみましょう。
 

およそ半年で認知度が向上。社会保険の適用範囲拡大とは


 
まず、厚生労働省の発表(※2)から、社会保険の適用範囲拡大について情報を整理してみます。
 
<現在>
従業員数501人以上の企業が対象

<2022年10月以降>
従業員数101人以上の企業が対象

<2024年10月以降>
従業員数51人以上の企業が対象

 
このように、社会保険の適用範囲は段階的に拡大されることになります。上記の従業員数は、フルタイムの人数に、週の労働時間がフルタイムの4分の3以上で働く人数(パート・アルバイト含む)を加えたもの。要するに、規模が大きい企業から適用されていくということですね。
 
新たに社会保険の加入対象になるのは、以下の条件を全て満たしたパート・アルバイトのみ。
 

1)週の所定労働時間が20時間以上
2)月額賃金が8.8万円以上
3)2ヶ月を超える雇用(見込み含む)
4)学生ではない

 
パートとして長く働き続けている人であれば、問題なく加入対象になりそうです。では、パート・アルバイトとして働きつつ社会保険に加入した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
 

【年金の保障が充実】

これまでの「老齢基礎年金」「障害基礎年金」「遺族基礎年金」に、「老齢厚生年金」「障害厚生年金」「遺族厚生年金」が上乗せされます。

 

【医療保険が充実】

病気やけがで休まざるを得ない期間中、給与の3分の2相当が支給される「傷病手当金」や、産休中に給与の3分の2相当が支給される「出産手当金」が加わります。

 
国民年金や国保だけではなんとなく不安……というパート・アルバイトの人にとって、この保障の充実はうれしい変化といえそうです。保険料の支払いは今までの口座振替から給料天引きにチェンジ。しかも、保険料の半分は会社負担となります。
 
いいことだらけに思えますが、現在非正規で働く女性たちはこの法律改正をどう見ているのでしょうか。
 
株式会社mitorizが2021年10月に行った調査では、社会保険適用範囲拡大についての認知度は33.5%でした。ところが、今年5月の調査では49.3%と16ポイントほどアップ。
 
およそ半数の人が関心を寄せていることが分かります。適用の時期が近づくにつれ、認知度が上がっているようですね。
 

もっと手取りを増やしたい! 非正規で働く女性の働き方はどう変わる?

本調査対象者の現在の所得制限にまつわる働き方は、「103万円以内に収まるように働く」がおよそ4割で、「130万円以内に収まるように働く」が1割強。残りの5割弱は年収を気にせず働いているという状況でした。
 

 
さて、社会保険の加入対象となった場合、働き方を変えるのでしょうか。調査結果によると、「手取り収入が増えるように働く」という人は41.4%で、「特に働き方を変更するつもりはない」という人は56.0%でした。
 
老後資金として今のうちに働きたいという人は、当然もっと手取りを増やしたいと考えますよね。しかし現状は、特に働き方を変えるつもりがない人のほうが多いようです。まだ子どもが小さかったり、家族の介護が必要だったりする人にとっては、今までと同じペースで働き続ける方が、都合がいいのかもしれません。
 
ただ、「本当は今よりも手取り年収を増やしたい」と思っている人が8割を超えたとのこと。本音としてはもっと働いて収入を増やしたいけど、さまざまな事情でそれができない……という女性が多いのでしょうか。
 
さらに同調査で、半数以上の人が働くに当たって体力面に不安を感じていることが分かりました。このまま何歳まで働けるのか、年齢的に仕事が見つけられるのかどうかなどに悩む人も半数近く。女性が積極的に働くことが浸透してきた社会とはいえ、やはりまだまだ女性ならではの悩みとしては「家庭との両立」も挙げられますね。
 
社会保険の適用範囲拡大は、さまざまな働き方をサポートするひとつの施策といえそうです。さらに働きやすい世の中になるために、これからの動きにも注目したいものです。
 

出典

※1 株式会社mitoriz「社会保険適用拡大後の働き方に関する意識調査」

※2 厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部