更新日: 2022.07.12 家計の見直し

【夏のボーナスの使い方(1)】 2022年夏のボーナスは大幅増加? 浮かれることなく使い道を考えよう

執筆者 : 當舎緑

【夏のボーナスの使い方(1)】 2022年夏のボーナスは大幅増加? 浮かれることなく使い道を考えよう
2022年6月21日。日本経済団体連合会(経団連)が、大手企業の2022年夏季賞与・一時金の第1回集計結果を発表しました。
 
この第1回集計によると、4年ぶりの増加が見られ、平均妥結額は前年比13.81%増の92万9259円だったそうです。経済活動の再開に伴って、アルバイトの時給も上昇傾向にあります。
 
今年支給されるボーナスに期待は高まりますが、物価高の今だからこそ、落ち着いて家計を見直さないと、収入アップが生活の豊かさに結びつきません。コロナ禍が落ち着こうとしている今だからこそ、ボーナスの使い道を考えてみましょう。
當舎緑

執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

ボーナスをもらったときには今後の働き方を考える

コロナ禍では、休業手当が支給されたり、ボーナスカットだったりと、収入が低下したご家庭も珍しくはありませんでした。ただ、2022年の経済は確実に再開し始めています。
 
副業を推進している企業も増加傾向にあります。厚生労働省もその流れを後押ししており、企業に対し、「従業員の副業を認めているか、認めている場合には条件をホームページなどで公表する」よう指針案を出し、7月上旬の改定を予定しています。
 
物価高の影響を緩和させるためには節約はもちろん効果的ですが、今後の働き方を考えて、収入アップを目指すためにボーナスを使うのはいかがでしょう。資格を取得するなど、将来のキャリアアップのための費用にボーナスをあてることもおすすめです。
 
会社員で、一定の被保険者期間の要件を満たしている方は、あわせて雇用保険の教育訓練給付(※1)をぜひ利用してください。実際に給付される金額は、教育訓練施設に支払った教育訓練経費の20%に相当する額となります(注:その額が10万円を超える場合は10万円とし、4000円を超えない場合は支給されません)。
 
簿記、ファイナンシャルプランナー、パソコン講座など、厚生労働省が指定される講座などについては、ワード検索が可能で、資格名で探すこともできます。また、医療系など分野の範囲で調べることや、女性受給者が多い、託児付きなどという条件で検索もできます(※2)。
 
収入アップという意味では即時の効果は感じにくいかもしれませんが、将来的には収入アップに貢献ができるかもしれません。今後は、働き方を工夫することが、家計における収入アップにつながるはずです。
 
ただし、雇用保険の給付対象となるのは、「講座を修了した時」です。途中で「やめた!」ということにならないよう、しっかり講座を吟味しましょう。
 

家計が赤字に? ボーナスで補填を選ぶべき?

月々の生活費がすでに赤字となり、ボーナスで補填するご家庭もあるかもしれません。
 
補填すべきかどうかは、支出の詳細を見なければはっきりした回答はできませんので、家計の見直し方法を簡単に説明しておきます。「家計が赤字」→「足りないならボーナスで補えばよい」という負のループは、断ち切りましょう。補填についてはどうしようのない場合もありますが、赤字を少なくすることは可能です。
 
赤字の場合は、なぜ赤字なのかの理由をはっきりさせましょう。受験生がいて教育費が多くなった、住宅を取得した、など一時的な赤字については仕方がありません。一方、理由のはっきりしない慢性的な赤字であれば、家計は今後の物価高には対応できなくなります。
 
ただ、物価高で増加がやむを得ない食費の場合でも、工夫はできます。例えば、フードロスを防ぐために、消費期限が近いものや包装が壊れている食品を割引価格で提供しているサービスもあります。
 
また、今後は経済再開とともに、レジャー費用も増えていくでしょうが、その際に利用できそうな航空券と宿泊のサブスク(※3)の実証実験など、新しい試みも増えていく可能性があります。支出の増加理由がわかれば、金額を下げる手段も見つかるかもしれません。
 

「貯める」手段は1つにしない

最後に、ボーナスを「貯める」方法について考えてみましょう。貯めるという目的は、年齢や家族構成によっても異なるでしょうが、教育費、住宅取得費用の頭金、老後資金などが主な目的となるでしょう。
 
会社員の給料が振り込まれる口座は決まっていますから、そのまま1つの口座に入れっぱなしでそこから使うというのがシンプルな方法かもしれません。
 
しかし、ボーナスが入ったら別の口座、例えば、子どもの教育資金はそれぞれの子どもの口座、住宅取得資金であれば家計口座とは別の口座を作っておくなど、目的ごとに貯めた金額がはっきりとわかるような仕組みを作っておきましょう。
 
ボーナスからそれぞれの口座に移す場合、貯める金額は実際に使うまでの期間を想定して分配してください。実際に使うまでの期間が短い費用を多く貯めておくと、実現を少し早めることもできるかもしれません。
 
老後資金の準備は長期の計画ですから、貯め方については、次回【夏のボーナスの使い方(2)】でお話しします。
 
(※1)ハローワーク インターネットサービス 教育訓練給付制度
(※2)厚生労働省 教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システム

(※3)Yahoo!JAPAN ファイナンス JAL -底堅い 「航空券+宿泊」のサブスク 全国143路線で実証=日経

出典

日本経済団体連合会 2022年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(2022年6月21日)
 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

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