更新日: 2022.07.12 貯金

【夏のボーナスの使い方(2)】 ボーナスを貯めるのは何のため? 老後のためにできること

執筆者 : 當舎緑

【夏のボーナスの使い方(2)】 ボーナスを貯めるのは何のため? 老後のためにできること
ボーナスの使い道を考えた前回【夏のボーナスの使い方(1)】に引き続き、今回は、さらに、「貯める」ポイントを考えていきます。
 
貯める目的としてよく例に挙げられる老後資金は、人それぞれ年金額も違えば、寿命も生活費もそれぞれ異なりますから、もっとも貯めるのが難しいといえます。
 
今回は、この老後資金について、「いつから」「どうやって」「いくら」貯めるのかという疑問を解決していきましょう。
當舎緑

執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

年金額が厳しくなっても、「貯める」ことを心掛けよう

これまでも、年金という言葉は、「老後2000万円問題」などの言葉に代表されるように、大きくニュースに取り上げられ、その度に失望が深くなる印象があるかもしれません。さらに、「2025年問題」と呼ばれる“超高齢化”についても注目しておきましょう。
 
これまでの高齢化の問題は、高齢化の進展の「速さ」の問題でしたが、平成 27(2015)年以降は、高齢化率の「高さ」(=高齢者数の多さ)が問題とされています。
 
昭和45年(7月から昭和46年6月まで)に450円だった国民年金保険料が令和4年には1万6590円。この保険料を40年納付して受け取れる令和4年度の老齢基礎年金は77万7800円です。
 
現役が年金受給世代を支えるという構図自体がもろくなっていますので、今受給している世代よりも、「今」支払っている会社員は、「子どもが少なくなっているのだから損をするのは仕方ない」と割り切ることが必要になるかもしれません。
 
とにかく老後資金は、できるだけ早く、子どもの教育費がかかる時であったとしても、同時並行して、「できるだけ早く」「できるときに」準備を始めるべきでしょう。ボーナスを受け取った時には、とくに心掛けておきたいものです。
 

「いくら貯めるべきか」の前に「公的年金はいくらもらえるか」を確認

年金見込額をマイナポータルやねんきんネットなどで具体的な金額見込みを予測してから、老後資金の目標金額を立てましょう。
 
ねんきんネットなどでは、50歳以上の方は年金見込額がわかりますが、50歳未満の方であれば、「公的年金シミュレーター」というサイトが厚生労働省のホームページで試験的に運用されていますので、活用してみましょう(※1)。
 
この公的年金シミュレーターは、年金額の試算を簡易に行うためのツールで、被保険者等の個人情報を使用せず、暮らし方や働き方は年単位で入力するなど、簡素化を行なっています。
 
このため、「ねんきんネット」と異なります、詳細な試算(特別支給の老齢厚生年金など)は行えませんが、今後の目安という意味では参考になるでしょう。老後資金は、誰でも2000万円貯めないといけないわけではありません。
 
それより多い金額が必要な方もいますし、少なくて済む場合もあります。持ち家なのか賃貸なのか、家族がいるのかいないのか、厚生年金か国民年金か、厚生年金でも報酬はどれくらいか、というさまざまな条件により一人ひとりの事情は異なります。
 
いくら貯めるかという目標は、「公的年金額」の目安を調べたうえで不足金額を計算します。生命保険文化センターの調査(※2)によると、高齢の無職世帯で必要な生活費は約25.6万円かかっています。この金額と年金との差額が不足金額の目安となるでしょう。 
 

老後資金は“じぶん年金”づくり

今後の老後資金準備は、公的年金をまず充実させ、iDeCoやNISAの自助努力の年金を組み合わせることです。超高齢社会は止まることはないでしょう。少子化も年々進んでいます。今後、公的年金は減るのが当たり前だと思っておきましょう。
 
ただし、公的年金保険料を支払わないということにはしないでください。国民年金は国の制度ですから任意ではありません。義務です。ですから、自助努力で“じぶん年金”を準備する場合にも、基礎は公的年金であり、免除や猶予の期間があるなら納付をしたりして、まずは公的年金を充実させましょう。
 
上乗せとしての“じぶん年金”を作るために、制度改正がめじろ押しです。iDeCoは月々の納付額を決めなくても、年単位で納付回数を年1~12回から選べるようになりました。これまでは毎月一定の額を積み立て(拠出)する「月払い」が基本でしたが、2018年1月から「半年払い」や「年払い」もできるようになりました。
 
例えば、企業年金がない会社員(年間の納付上限額は27万6000円)が7月・12月のボーナスに合わせて、同額を納付するとします。厚生年金に加入している方がiDeCoに加入した場合には、拠出金の上限があります。毎月同額納付なら月2万3000円が上限となります。
 
もし、月々拠出していない場合では、毎月の納付可能額で使わなかった分が月々積み上がっていきます。例えば、6月まで納付がゼロだと7月は7ヶ月分の16万1000円納付できます。
 
このうち6ヶ月分に当たる13万8000円を納付して、翌月以降に残額の2万3000円を繰り越すことも可能で、12月の納付可能額はやはり6ヶ月分となります。
 
NISAについては、2024年の改正が予定されています(※3)。5年の非課税期間、もしくは20年の非課税期間の選択となりますので、老後資金にするのか、子どもの教育資金にするのかなど、「貯める」目的を考えてから選択するべきでしょう。
 
全2回にわたって、ボーナスの使い方を考えてきました。ボーナスがあるのは、会社員の特権です。ぜひ、ありがたみをしっかりと感じて、有効活用しましょう。
 

出典

(※1)厚生労働省 公的年金シミュレーター使い方ホームページ(試験運用中)

(※2)生命保険文化センター 老後の生活費はどれくらい?

(※3)財務省 NISA改正のイメージ
 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。