更新日: 2024.10.10 家計の見直し
「エシカル消費」に対する意識は変わった? 家計節約につなげるためには
「エシカル」は倫理的といった意味の言葉で、「エシカル消費」とは消費者が社会的課題の解決を考えたり、社会的課題に取り組む事業者を支援しながら消費活動を行ったりすることをいいます。
具体的には、オーガニックや地産地消といった環境に配慮している商品、フェアトレードの商品を選ぶといった行動が挙げられます。
そう聞くと、「なんとなく高尚で、お金に余裕のある人が考えること」とイメージするかもしれませんが、私たちが日常的に行っている行動がエシカル消費になることもあります。
そこで今回は、エシカル消費に関する調査の結果を基に、その認知度や関心度のほか、家計の節約につなげるための考え方についてお伝えしたいと思います。
エシカル消費の認知度や取り組みはどう変わった?
株式会社電通は、全国の10代から70代の男女2500名を対象に、エシカル消費に関する意識調査(2022年3月)を行いました。
同社は2020年11月にも同様の調査を行っていますが、前回の調査結果と比較して、エシカル消費全体に対する認知度や共感度、また実践する意欲などにどんな変化があったのか、それぞれ見ていきましょう。
過去の調査より認知度は上がり、Z世代での関心も高まる
まず、 エシカル消費という名称を知っている人(意味まで知っている、聞いたことがあるも含む)は全体の41.1%で、前回調査から17.1%増えています。ただし、「意味まで知っている」と答えた人に限ると6.9%となり、その割合は前回(5.7%)からほとんど変わっていませんでした。
また、エシカル消費に「関心がある」「とても関心がある」という回答は全体の15.3%にとどまり、「どちらでもない」や「まったく関心がない」が全世代で多くの割合を占めました。
しかし、エシカル消費の具体的な内容を知った後では、43.9%の人が日常生活に取り入れたいと回答しており、その中でもZ世代に該当する16歳から24歳までは、男女ともに関心度が高い結果となっています。
エシカル消費への理解が進むことで、自分でも生活に取り入れたいと考える人が増えているのは興味深く、意外と簡単に実践できると感じるのかもしれません。
共感できる、取り入れたいエシカル消費では「食品ロス防止」がトップ
エシカル消費のカテゴリーの中では、「食品ロス防止」の認知度が高く、共感できる、生活に取り入れてみたいものとしても回答が最も多くなっています。
エシカル消費に取り組んでいる印象が強い業界についても「食品」がトップで、これらは前回調査と同じ傾向となっていました。
ちなみに調査の結果では、認知度は高いが共感度の低いエシカル消費として「ベジタリアン、ヴィーガン、ハラル」などがあります。また、共感はできるが実践する意向が低いものとしては「再生可能エネルギー」が挙げられます。
今後の取り組みでは金融業界への期待値が上昇
エシカル消費に対して「今後もっと取り組むべき」と、前回調査と比較して期待値が最も上昇した業界は「金融」となりました。
エネルギー業界については、いまだエシカル消費としては購入経験がない消費者が多いものの、今回の調査では購入の意向があるという回答の割合が大きく増加しており、人々の関心の変化が感じられます。
エシカル消費を家計の節約につなげるために
「エシカル」という概念は幅広く、普段、買い物をするときに「いつ、どこで、誰が、どうやって」作ったものか注目してみるだけでも、それはエシカルな視点になります。
例えばネットスーパーの利用時や、お取り寄せグルメを楽しむ際に、環境に配慮している商品を選ぶようにしたり、生産者のことを意識したサイトから購入したりするのもエシカル消費です。
株式投資を行う人であれば、社会環境に配慮した取り組みを行っている企業の株を買って応援することも、その1つでしょう。
また、エシカル消費を意識すると家計の節約につながることがあります。
例えば食料品なら、1つひとつの商品に対して環境に配慮しているか、生産者の情報を伝えているか、しっかりと確認しながら購入することは、買い過ぎによる廃棄を防いで社会問題となっている食品ロスを減らしながら、家計の無駄を減らすことにもなります。
あるいは地産地消にこだわってみると、地元で採れた新鮮で低価格の農産物などを選ぶことで食費を節約できる場合もあるでしょう。
さらに「エコバッグを持ち歩く」「詰め替え商品を買う」といった、私たちになじみが深い環境に配慮した行動もエシカル消費です。
このように家計の節約のために行うことが、実はエシカル消費になるのです。あまり難しく考えず、社会的に良いことをしながら節約を目指す消費行動を、これからも積極的に続けていきたいですね。
出典
株式会社電通 電通、「エシカル消費 意識調査2022」を実施
執筆者:藤丸史果
ファイナンシャルプランナー