「残業代」と「割増賃金」の違いって?
配信日: 2022.09.22 更新日: 2024.10.10
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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そもそも残業代・割増賃金とは?
そもそも残業代や割増賃金とは何か、また両者はどのような違いがあるのかを見ていきましょう。
・残業代とは
残業代とは、企業が就業規則などで定めた労働時間を超過した残業に対し、支給される手当をいいます。なお、残業代の名称は企業によってさまざまであり「残業手当」「超過勤務手当」などと呼ばれることもあります。
・割増賃金とは
割増賃金とは、労働基準法で定められた労働時間を超過して行われた残業に対し、支給される手当のことです。名称は企業によっても異なり、「時間外手当」と呼ばれることもあるでしょう。残業というのは、例えば、時間外労働・深夜労働・休日労働などが該当します。
これらの残業をした労働者に対し、企業は「基礎時給(基礎賃金÷所定労働時間)」に加えて一定の割合を増額した賃金を支払います。これは労働基準法第32条によって「1日に8時間以上労働させてはならない」と定められているためです。
8時間の法定労働時間を超えて業務を行った場合、法定時間外労働に対する手当として割増賃金を支払う必要があります。所定労働時間を超えた場合の残業代は、1.25倍した金額となります。
・残業代と割増賃金の違い
残業代と割増賃金は一見、同じ意味の言葉のように捉えられがちです。しかし、実際はそれぞれ言葉の意味が少し異なります。簡単にまとめると、「残業代」は一般的に企業で使用されているものであり、「割増賃金」は労働基準法に基づくものという違いがあります。したがって、両者は「法律上と企業のどちらの制度であるか」ということが相違点といえるでしょう。
割増賃金に関する注意点
割増賃金の考え方として、注意したいのが「企業が定めた所定労働時間が法定労働時間よりも短時間である」場合です。この場合、同じ残業時間であっても扱いが変わってくる点に注意が必要です。法定労働時間内、つまり8時間以内の残業は「法定内残業」となります。
この場合、企業の労働契約書もしくは就業規則によって残業代が支給され、その内容は必ずしも割増賃金にしなくても良いことになります。一方、法定労働時間外の残業、つまり8時間を超過した分の残業は「法定外残業」となり、企業は割増賃金を支払わなければなりません。
例えば、午前9時~午後5時までの勤務で休憩時間が1時間ある場合、企業が定めた所定労働時間は1日7時間となります。このケースにおいて、午後8時まで残業したと仮定しましょう。
この場合、午後5時~午後6時までの1時間残業した分は、所定労働時間内の範囲内で行われた「法定内残業」となり、1.25倍の残業代を支払わなくても問題ありません。しかし、午後6時~午後8時にかけて2時間残業した分は「法定外残業」として扱われ、1.25倍の残業代を支払う必要があります。
意味を混同しやすい残業代と割増賃金! それぞれの意味をきちんと把握しよう
残業代とは、企業が独自に決めた労働時間を超過した場合に支払われる賃金を指します。一方、割増賃金は労働基準法によって定められた法定労働時間を超えた場合に支払われるお金です。両者は法律と企業のどちらの制度なのかが主な違いとなります。なお、企業が定めた所定労働時間が法定労働時間よりも短い場合、割増賃金ではなくても問題ないことを理解しておきましょう。
出典
厚生労働省 法定労働時間と割増賃金について教えてください。
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部