更新日: 2024.10.10 その他家計

共働きなら作成するべき?「 婚前契約書」で財産の取り決めを

共働きなら作成するべき?「 婚前契約書」で財産の取り決めを
日本では契約というものにあまり重きを置かない傾向があり、結婚前に夫婦間で契約を結ぶ「婚前契約書」にはなじみがありません。
 
しかしながら、婚前契約を交わしておくことで、例えば結婚後も共働きの夫婦においてはお互いの財産を守れるなど、さまざまなメリットを受けることができます。
杉浦詔子

執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)

ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント

「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
 
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
 

婚前契約書とは

日本では、結婚すると夫婦は一体になるという考え方や、結婚を契約と考えることへの違和感などにより、結婚前に「婚前契約書」を作り夫婦間で契約を結ぶことはほとんどないかもしれません。婚前契約書は、契約である以上、原則として夫婦双方を拘束する法的効力を持ちます。
 
結婚前に婚前契約書を作成することで、夫と妻それぞれの財産を守れることに加え、結婚生活に対してお互いがより真摯(しんし)に取り組めるようになるという効果も期待できます。
 

共働きの財産管理

結婚による共同生活から、お金の問題を切り離すことはできません。一般的には、片働きであれば夫婦のどちらかが稼いできた収入を、夫婦で事業を行うならば夫婦で協力して得た収入を、夫婦共同の収入として管理することが多いかと思われます。
 
しかしながら、昨今は共働きが増え、夫婦それぞれが稼いできた収入のうち、幾らを夫婦共同のお金とするのか、幾らを夫婦それぞれが自由に使えるお金とするのか、家庭によっても考え方が異なっています。
 
共働き家庭の家計管理には、主に、「稼いだお金は夫婦ともに合算して夫婦共同の財布に入れ、共同の財布からそれぞれがお小遣いをもらう」タイプ、「夫婦それぞれがあらかじめ決めた金額を夫婦共同の財布に入れ、残りは小遣いとする」タイプ、「夫が自分の財布から家計費の一部を支払い、妻が自分の財布から家計費の残り分を支払い、共同財布は作らない」タイプなどの方法があります。
 
どれを選択するにしても、お互いが納得しているならば問題ありませんが、あいまいにしておくと後々にお金のことでトラブルになりがちです。
 
また、土地や住宅、自動車などを購入する際に所有名義は誰にするのか、共有とするなら保有割合はどのように定めるか、といったこともあらかじめ決めておいた方が望ましいでしょう。
 
特に、共働きで夫婦とも同程度の収入がある場合、夫婦であってもお金が絡むならば他人と考える人も多く、自分が稼いだお金を配偶者が使うことに不満を持つ人もいます。夫婦間の金銭トラブルを防ぐ意味でも、婚前契約書で財産管理を定めておくことは重要です。
 

婚前契約書で決められること

婚前契約書には、財産管理以外にも夫婦で取り決めたことを記載できます。例えば、結婚後の2人の関係性、家事や育児のこと、親族や友人との付き合いのこと、どちらかが亡くなったときのこと、離婚に関することなどです。
 
共働きの場合は、家事や育児の分担割合をあらかじめ決めておくことで、結婚後にどちらかが家事や育児を強いられる状態を避けることができます。
 
結婚前に「子どもは2~3人欲しいね」という話をしたら、そこで終わりにせず、育児休業はするのか、保育園の送り迎えはどうするのかといった具体的なことを決めておき、婚前契約書に記載しておきましょう。
 
また、親の介護が必要になったときも同様です。夫婦ともに仕事を続けたいと希望しているにもかかわらず、どちらかが渋々辞めなければならなくなる、という事態を避けるため、親の介護についても婚前契約書に書いておくことが望ましいです。
 

まとめ

婚前契約書を作らずとも、結婚すること、結婚生活をスタートさせることはもちろん可能です。
 
しかしながら、結婚した後も共働きを続け、お互いに収入を得ていく場合には、あらかじめ財産管理やその他の事項を取り決めておいた方が、後々のトラブルを防ぐことができるでしょう。
 
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント

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