フリーランスになるときにやっておきたいお金の手続きとは?
配信日: 2022.10.26 更新日: 2024.10.10
フリーランスになったら税金・社会保険関係の手続き、売上の管理や経費の計算など、会社員であれば自分以外の人がやってくれていたお金のことを、自分で管理していかなくてはなりません。
具体的には何をどうすればよいのか、解説します。
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
フリーランスになる前にするお金の手続き
■クレジットカードやローンの申し込み
一般的に、フリーランスは会社員に比べてクレジットカードやローンの審査が不利になりやすいと言われています。独立したての頃は特にその傾向が強いです。クレジットカードなどは退職前に作っておくのがおすすめです。仕事を軌道に乗せるためにお金が必要になったときにも役立つかもしれません。
■保険の見直し
会社員や公務員からフリーランスになると、基本的に健康保険や年金などの社会保障が手薄になります。有休や産休・育休、ボーナスもありません。家族を養っている人は特に、何かあったときに今の保険のままで大丈夫なのか改めて見直しておくと安心です。余分な保険を解約することで、月々の収支に余裕ができる可能性もあります。
■お金の準備
「お金の手続き」ではありませんが、なるべく預金をしておくのも重要です。フリーランスは仕事が軌道に乗るまで時間がかかったり、収入が不安定だったりすることもあります。しばらく売上が少ない状態が続いても、事業に回す資金がたくさん必要になっても問題ないよう、少なくとも普段の生活費の6ヶ月分、できれば2年分程度のお金を確保しておくのが無難です。
フリーランスになるときにするお金の手続き
■年金
一般的に、会社員や公務員だと「厚生年金+国民年金」に加入していますが、フリーランスになると「国民年金のみ」になります。市区町村役場で手続きしましょう。ただ、まだ売上が少ないなど、厚生年金に加入している配偶者の扶養に入る場合は、配偶者の勤務先を通して手続きします。
国民年金だけだと手薄になるので、余裕があれば国民年金基金やiDeCo(個人型確定拠出年金)などで将来の年金の上乗せを検討するのもおすすめです。
■健康保険
会社で加入している健康保険に退職後も「任意継続」で加入し続ける、自分で市区町村役場に行って「国民健康保険」に加入する、配偶者の「扶養」に入るなど、身の振り方を考えて手続きする必要があります。それぞれ保険料や保障内容が違うので、自分にとってどれが有利なのか検討しましょう。
フリーランスになった後にするお金の手続き
■確定申告
言わずと知れた税金の手続きです。1月から12月までの1年間の売上や経費などを集計して、支払うべき所得税額を計算、翌年2月16日から3月15日のあいだに申告して納税するのが基本です。
確定申告には「青色申告」と「白色申告」がありますが、青色のほうが税金が安くなります。開業後1ヶ月以内に「開業届」、2ヶ月以内に「青色申告承認申請書」を税務署に提出しておきましょう。青色のほうが経理が複雑なのですが、会計ソフトを使ったり税理士に依頼したりすると楽に進められます。
また、プライベート用とは別に事業用の銀行口座を用意しておくと、帳簿を付けるときに家計と混合せずに済んで管理しやすくなりますよ。
お金のことはミスなく漏れなく確実に進めよう
フリーランスになる前後は特に、新しい仕事を獲得したりお客さんが途切れないようにしたりするために奔走するなど忙しくなりがちです。「あれもしなきゃ、これも、それも……」と考えているうちに、大事なお金の手続きを忘れてしまっては大変です。
どんどん攻めて売上をあげることも大切ですが、同時に守りを固めておきましょう。お金が絡む事務手続きはできるだけ早く、ミスなく漏れなく確実に進めておきたいですね。
出典
日本年金機構 国民年金に加入するための手続き
国税庁 [手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続
国税庁 [手続名]所得税の青色申告承認申請手続
国税庁 No.2020 確定申告
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表