更新日: 2022.11.26 働き方

残業代と残業時間の平均を業界別にチェック。最も高額な業界は?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

残業代と残業時間の平均を業界別にチェック。最も高額な業界は?
働き方改革が推進される昨今ですが、残業代が家計にとってありがたい収入となるのは事実でしょう。しかし、自分の働く会社の残業代が、同じ業界の他社と比べて多いのか少ないのか比較したことのある方は少ないのではないでしょうか。業界別の平均的な残業代・残業時間を知ることで、自分の会社の残業代が適正なのかを知ることにもつながります。
 
本記事では、厚生労働省の資料などをもとに、業界別の残業代と残業時間の平均を解説します。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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業界別に残業代と残業時間をチェック

 
厚生労働省が公表した「毎月勤労統計調査 令和4年6月分結果確報」によると、は3万2586事業所を対象にした調査では(回収率78.4%)、一般労働者(短時間労働者を除く)における月間の残業代(所定外給与)と残業時間(所定外労働時間)の平均は図表1のとおりです。
 
【図表1】

所定外給与 2万5334円
所定外労働時間 13.7時間

厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和4年6月分結果確報」より筆者作成
 
残業代は基本給に対する割増賃金で支払われるため、業種・業界による賃金の格差で残業代も変わってくると考えられます。
 
次に、厚生労働省の資料から一般労働者の月平均の残業代(所定外給与)と残業時間(所定外労働時間)を図表2にまとめました。
 
【図表2】

業種 所定外給与 所定外労働時間
調査産業計 2万5334円 13.7時間
鉱業、採石業等 3万2386円 14.8時間
建設業 2万4995円 13.9時間
製造業 3万2289円 15.3時間
電気・ガス業 5万2432円 14.5時間
情報通信業 3万2744円 16.4時間
運輸業、郵便業 4万5990円 26.0時間
卸売業、小売業 1万8923円 11.3時間
金融業、保険業 2万7399円 13.4時間
不動産・物品賃貸業 2万4382円 13.3時間
学術研究業 2万8523円 14.8時間
飲食サービス業等 1万9488円 13.1時間
生活関連サービス等 1万3491円 9.3時間
教育、学習支援業 8894円 17.0時間
医療、福祉 2万437円 6.7時間
複合サービス事業 1万9187円 8.5時間
その他のサービス業 2万3550円 14.0時間

厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和4年6月分結果確報」より筆者作成
 

残業代が高額な業界

図表2を参照すると、残業代が最も高額な業界は「電気・ガス業」で、「運輸業、郵便業」と続いています。電気・ガス業は統計上の大分類では「電気・ガス・熱供給・水道業」となり、エネルギー供給に係わる業界の残業代が高いことが分かります。
 
なお、所定外給与を所定外労働時間で除して、残業代の時間単価を算出すると、電気・ガス業では3616円とこちらも最高額です。対して、運輸業、郵便業の残業代の時間単価は1769円と低くなっており、運輸業、郵便業の残業代が高額になっているのは長時間の残業によるものだと考えられます。
 

残業時間の長い業界

 
一方、最も残業時間が長い業界は、残業代が多い順で2位となった「運輸業、郵便業」です。次いで、「教育、学習支援業」が続きます。
 
教育、学習支援業の残業代は業種別で並べると最も低い8894円となっており、所定外給与を所定外労働時間で除した残業代の時間単価はわずか523円です。したがって、教育業界は残業時間が長くなりがちなものの、それに見合った残業代が支払われているとはいえないと考えられます。
 

残業代が適正に支払われているか確認しておこう

 
通常の賃金よりも割り増しされて支払われる残業代は、家計にとって大きな助けになるでしょう。しかしし、なかには残業をしている実態があるにも関わらず、所定の割増率よりも少ない残業代しか支払われていないケースや、残業代そのものが支払われないサービス残業状態になっているケースも少なくありません。
 
ライフワークバランスを適正に保つためにも、残業代が適正に支払われているかどうかを確認しておきましょう。
 

残業代は割り増しされて支払われているか?

 
労働基準法では、会社は法定労働時間を超えて残業をさせた場合、通常の賃金よりも割り増しされた時間外手当・残業手当の支払いが義務付けられています。残業代の割増率を図表3にまとめました。
 
【図表3】

法定労働時間(1日8時間・週40時間を超えたとき) 25%以上
時間外労働が限度時間(1ヶ月45時間、1年360時間等)を超えたとき 25%以上(※1)
時間外労働が1ヶ月60時間を超えたとき 50%以上(※2)

(※1)25%を超える率とするよう努めることが必要
(※2)中小企業については、2023年4月1日から適用
厚生労働省「しっかりマスター労働基準法 割増賃金編」より引用

給与明細などを確認して、残業代が適正に上乗せされて計算されているか確認してみましょう。
 

残業したのに残業代が支払われていない場合

 
残業をした実態があるにも関わらず残業代が支払われない、いわゆるサービス残業は「賃金不払残業」とよばれ、労働基準法に違反する行為です。
 
残業代の請求は労働者の権利です。会社と交渉するのが難しい場合は、労働基準局などに相談するのも一つの方法です。残業した証拠となるタイムカードの控えだけではなく、通勤・退勤時の電車の乗車記録なども有効な証拠となりますので収集しておくようにしましょう。
 

残業代の平均は約2万5000円、残業時間は約13時間

 
厚生労働省の資料によると、残業代の平均は約2万5000円で、電気・ガスなどを取り扱うエネルギー関連が最も残業代の高い業界だということが分かりました。また、教育関連の業界は残業時間が長いものの支払われている残業代は低く、サービス残業などが常態化している可能性が考えられます。
 
残業代は労働者の当然の権利です。残業の実態があるにも関わらず、残業代が支払われていない場合、または適正に割り増しされていない場合は、労働基準局への相談も検討しておきましょう。
 

出典

厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和4年6月分結果確報
厚生労働省 しっかりマスター労働基準法 割増賃金編
厚生労働省 賃金不払残業ってなんですか
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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