更新日: 2022.11.28 働き方

なくならない「付き合い残業」。残業を強制されていなくても残業代をもらっていいの?

執筆者 : 柘植輝

なくならない「付き合い残業」。残業を強制されていなくても残業代をもらっていいの?
強制されているわけではないが、同僚や上司に合わせて残業することに悩んでいるという話をよく聞きます。そういった場合に残業代が満額出ると、受け取っていいのか不安に思う方もいらっしゃるようです。そこで、今回は付き合い残業について解説します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

付き合い残業とは


 
付き合い残業とは、同僚や上司が帰宅せず自分だけが帰宅しづらい雰囲気のために仕方なく行うような残業をいいます。明確に残業を命じられているわけではありませんが、定時後誰も帰宅しないため、社内での和を乱さないよう空気を読んで行うような残業をイメージすると分かりやすいでしょう。
 
付き合い残業によってストレスを感じてしまったり、早く帰れず家族との時間やプライベートの時間が減るなど私生活に影響が及んだりすることもあるようです。
 

強制されない付き合い残業で残業代をもらってもいいの?

基本的に強制ではない付き合い残業であっても業務をこなして残業をしているのであれば、残業代をもらっても問題ありません。しかし、次のような場合、付き合い残業でも残業代をもらえなかったり、後々会社から返還を要求されたりする場合もあります。

●仕事と関係ない雑誌を読んだり、スマホで遊んだりしている
●何もせずただ座っている
●仕事と関係ない談笑をしている
●離席をして時間をつぶしている

上記のような場合、仕事をしているわけではないため、残業として認められないことがあるのです。また、上長から明確に残業を禁止されている状態で行った付き合い残業も残業と認められない可能性があります。
 
なお、会社によっては業務量と残業代が見合っておらず、付き合い残業によって評価が下がり昇進や昇給に響いてしまう可能性もあります。その点を考えると、付き合い残業は残業代がもらえるからと甘んじるより、基本的にはなくしていく方が建設的です。
 

付き合い残業がなくならない理由と防止する方法

付き合い残業がなくならない理由には主に次のようなものが考えられます。

●上司や同僚が誰も帰らない
●残業しないのは悪という社風がある

そのため、仕事が忙しく、周囲が誰も帰宅しないのであれば、周囲に声をかけて手が必要か確認して、不要であれば一言断って帰宅するというのが有効です。その他にも、10分や15分ずつなど徐々に帰宅時間を早めていくのも有効です。
 
また、自分がある程度裁量のある役職者である場合、少しずつ帰る時間を早めるなど徐々に付き合い残業を止めたり、付き合い残業は非合理だと周囲に訴え続けたりすることで、少しずつ社風が変わっていく可能性があります。
 

いっそ転職も視野に

とはいえ、付き合い残業を自分一人だけしない状態が続いたり、付き合い残業が非合理だと訴えると、社内での居心地が悪くなったり、上司からの評価が悪くなってしまうこともあります。そういった場合、いっそ転職をしてしまうのも手でしょう。付き合い残業は社風による部分が大きく、会社によっては付き合い残業が存在しないというのも珍しくはありません。
 
ただし、転職においては必ずしも希望条件を満たす会社に就業できる訳ではありません。今よりも待遇が悪化するリスクがあることにもご注意ください。
 

基本は付き合い残業でも残業代をもらってOK

付き合い残業であっても残業している以上、残業代をもらってしまっても問題ありません。しかし、全く業務をしておらず、ただ定時後も会社に残っているだけという場合、残業ではないとして残業代が受け取れないこともありえます。
 
付き合い残業はおせじにもいいものとはいえません。もし、付き合い残業に悩んでいるのであれば、付き合い残業をなくすよう働きかける、転職するなどしてみてください。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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