更新日: 2022.12.07 家計の見直し

生活防衛資金はいくら貯めておくと安心? パターン別に解説

執筆者 : 飯田道子

生活防衛資金はいくら貯めておくと安心? パターン別に解説
円安や物価の値上がりなど、お金に関する心配が増えつつある今、生活防衛資金として、いくら貯めておくと安心なのでしょうか。
 
今回は、パターン別にどれくらいのお金が必要になるのかを説明しながら、解説していきます。
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

https://paradisewave.jimdo.com/

生活防衛資金ってなに?

そもそも、生活防衛資金って何のこと? と思っている人もいるかもしれませんね。生活防衛資金とは、経済的に不測の事態が発生してしまったときに、備えるための資金のことを言います。
 
不測事態というと難しいかもしれませんが、直近では、コロナ禍で給料がカットされた、解雇されて収入が途絶えてしまった、などといった状況はイメージしやすいかもしれません。
 
その他にも、地震や津波などの自然災害に遭遇してしまい、生活を立て直さなければならない。病気やけがをしてしまったために働けず、医療費がかさんでしまう。事故を起こしてしまった自動車などの修理代。急に壊れてしまった家電製品の買い替え代金。自宅の修理代金などがあります。
 
本来であれば、家の改修や家電製品の買い替えなどは、計画的に行うため、資金を準備しておきますので、慌てることはないでしょう。ただ、上記のように、計画外の不測事態が発生してしまうと、お金の手当ができないため、円滑な生活を送ることができなくなってしまいます。
 
まさに、不測の事態が発生しても、滞りなく生活を送るために備えておくのが生活防衛資金なのです。
 

生活防衛資金には、どんな費用が含まれるの?

一般的に、生活防衛資金の目安として最低でも向こう3ヶ月分、できれば6ヶ月~1年分を確保しておくと安心です。
 
その生活防衛資金に含まれる支出の項目の目安は、下記のとおりです。

・家賃
・住宅ローン
・食費
・水道光熱費
・通信費
・子どもの教育費(塾代金、部活の費用など)
・その他借り入れ
・クレジットカード払い
・雑費等

ここにあげている以外でも、自分たち家族に必要な支出がある場合には、その項目を加えてください。項目の中には、家賃や住宅ローンなど、毎月の支出が決まっているものの他、ほとんどの支出額は変動しています。
 
正確に見積もるためには、少なくとも3ヶ月はさかのぼり、各項目で月々どれくらいの支出があったのかを確認し、平均ではなくもっともかかった時を目安に見積もりを出していきましょう。
 

自分にとって必要な生活防衛資金はいくらかを計算しよう

計算方法はいたってシンプル。1ヶ月に必要な項目にかかる金額をすべて足して、必要な月数分を準備すればOKです。ただし、同じ項目であっても、家庭によって支出額は変わってきます。その要因となるのが、家族構成です。
 

~1人暮らし~

最低でも、3ヶ月分は準備しておきたいところです。
 
例えば、毎月に必要な費用が15万円であれば、15万円×3ヶ月で45万円以上は準備しておきたいものです。ひとり暮らしで頼れる家族がいない場合には、6ヶ月分の90万円以上を準備しておくと安心です。
 

~夫婦のみ~

最低でも6ヶ月分は準備しておくと安心でしょう。
 
例えば毎月、必要になる費用が30万円であれば、30万円×6ヶ月で180万円以上は準備しておきましょう。
 
また、共働きの場合、あまり生活に影響が出ないことも考えられます。共働き夫婦の場合には、それぞれが医療保険に加入するなどして、病気やケガで働けなくなってしまったときを想定して、準備しておくと安心かもしれません。
 

~夫婦と子どもあり~

最も生活防衛資金が必要になるパターンの家族構成です。このような家族構成の場合、生活防衛資金として、1年分を準備しておくと良いでしょう。
 
例えば1ヶ月50万円必要な場合には、50万円×6ヶ月で600万円以上は準備しておくと安心です。金額だけ見ると「600万円も?」と思うかもしれませんが、あくまでも仮定の話です。4人家族であっても、子どもが成人しているような家庭の場合では生活力はあまり落ちないケースもあるでしょう。
 
反対に、夫か妻のみの片働きで子どもが小さく教育費がかさむような家庭の場合、毎月必要になる金額を上乗せして計算したほうが良いでしょう。
 
よく、「一般的にいくら必要ですか?」と質問されることがあるのですが、必要なお金は家庭によって違ってきます。自分の家庭にとって最適な生活防衛資金を導き出すには、自分たちの日々の生活を参考に導き出すことが必要なのです。
 
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

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