「うちはホワイト企業で残業が少ないから大丈夫」 でも、残業代がついていなかったことに後から気が付いた…
配信日: 2022.12.11 更新日: 2024.10.10
うちはホワイト企業で残業が少ないから大丈夫。そう思っていたら正しく残業代がつけられていなかった。そんなこともあるようです。
そんなとき、どうすればよいのでしょうか。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
残業代がついていないことに気が付いたらその理由を探ること
残業代が発生しないからといって直ちに会社が悪というわけでもありません。原則として残業代は労働時間が1日8時間、週40時間を超える部分に発生します。例えば、定時が9時から17時、休憩1時間の会社の場合で考えてみましょう。この場合、18時まで1時間残業したとしても休憩を除いた労働時間が8時間を超えていないため残業代が発生しない、ということがあるのです。
その他にも、変形労働時間制によって1日8時間を超えて働いても週40時間以内に労働時間が収まっていれば残業代が生じない労働契約になっている可能性もあります。また、意外な点としては、会社の給与計算担当者が計算を間違えていただけの可能性もあります。
いずれにせよ残業代がついていないときはなぜ残業代がついていないかの理由について自身で調べたり会社に聞いたりして原因を探ることが大切です。
もし本当に残業代がついていないときは?
もし、本来なら残業代が発生すべき状況にもかかわらず残業代が支払われていないことが発覚した場合は会社に残業代を請求することができます。
実際に残業代を請求するにあたっては、証拠集めが重要です。明確な証拠がなければ残業代の証明ができず、支払いを受けることが困難となります。残業代の請求根拠となる証拠としては次のようなものがあります。
●タイムカード
●社内で集計された勤怠記録
●メールの履歴
●パソコンの起動時間の履歴
●自分で撮った始業時や退社時の時計の写真
●業務用のラインの履歴
●個人的に取った業務のメモ
意外と個人のメモ書きや時計の写真などが証拠となることは知らない方も多いです。残業代の請求において意外なものが証拠として役立つこともあるため「これは証拠として弱いかな?」と思うものでも取りあえず証拠として集めて保管しておくことをおすすめします。
なお、残業代には時効があります。残業代は2020年3月以前のものであれば2年、2020年4月以降のものであれば3年経過すると時効によって消滅してしまいます。残業代を請求する場合は早めに行動して請求しなければなりません。
実際に残業代の請求を行うにはどうすればいい?
残業代の請求をする方法は主に次のような方法があります。
●会社に直接交渉する
●弁護士や社労士にどう請求するべきか相談する
●弁護士や社労士に請求の代理を依頼する
●労働基準監督署に相談する
●訴訟や労働審判を起こして請求
どの方法も在職中あるいは退職後、どちらでも行うことができます。もし、今の職場で極力波風を立てたくないという場合、会社に直接残業代の支払いを受けられないか相談や交渉をしていくことになるでしょう。他にも、労働基準監督署に匿名で相談するのもよいでしょう。
しかし、訴訟や労働審判を起こしたり、弁護士や社労士へ残業代の請求代理を依頼したりすると、以降会社に居づらくなってしまう可能性があります。そのため、在職中にこれらの方法をとることはあまりおすすめできません。
とはいえ、あくまでも相談や証拠集めのアドバイスを得るため弁護士や社労士を利用するというのであれば問題ないでしょう。そうすることで、残業代の請求のために適切な行動を早期に開始できるようになります。
ホワイト企業に勤めていても残業代は必ず確認するべき
ホワイト企業で残業が少ない勤務先であっても、残業代が正しく支給されていないこともあるようです。残業代は3年の経過によって時効で消滅します。毎月少なからず残業をしているという方は勤務先がホワイトであるかに関係なく、一度自身の残業代が正しく支給されているか確認することをおすすめします。
執筆者:柘植輝
行政書士