更新日: 2024.10.10 その他家計

FPが作成する「キャッシュフロー」の重要性を解説

FPが作成する「キャッシュフロー」の重要性を解説
企業はお金の流れを把握するために、一定期間の資金の増減などについてキャッシュフローを作成し、経営の健全性を確認しながら企業運営を行っています。一般家庭では、家計簿をつけるなどして毎月の収支を把握しますが、ファイナンシャル・プランニングでは将来の予測も含めたキャッシュフローを作成します。
 
今回は、ファイナンシャル・プランナー(以下、FP)が作成するキャッシュフローとはどんなものなのか解説していきます。
吉野裕一

執筆者:吉野裕一(よしの ゆういち)

夢実現プランナー

2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
各種セミナーやコラムなど多数の実績があり、定評を受けている

https://moneysmith.biz

FPはファイナンシャル・プランニングが主業

最近ではFPに相談したという話をよく聞くようになりましたが、その大半は保険の見直しなどで、保険ショップでFPの資格を保有している保険募集人に相談しているというケースが多いようにも感じます。
 
こういった場合、保険商品の販売を目的とした偏った内容になり、老後を含めた将来への備えなどについて、他の準備方法が適していても保険商品をすすめられるケースもあるようです。
 
FPは相談者に対して最善の提案を行わなくてはならず、日本FP協会の会員倫理規定の第1条でも「会員は、順法精神に基づき、顧客の最善の利益を追求しなければならない」とされています。
 
例えば、教育資金や老後資金についての相談の場合、保険商品以外での準備が最適なケースも考えられ、FPは個別の状況に合わせたアドバイスを行います。
 
ただし、こういった相談業務がFPの主業ではなく、本来であれば将来のライフプランにおける夢や希望を叶えるために、お金の流れを明確化して経済的な側面から提案や計画を行う「ファイナンシャル・プランニング」がメインとなります。
 

ファイナンシャル・プランニングのキャッシュフローとは

ファイナンシャル・プランニングでのキャッシュフローは2種類あります。1つは現状分析のためのキャッシュフローで、現在の収入と支出を確認し、収支のバランスを見るものになります。
 
現状分析では、家計簿上の数字を使うだけでもいいでしょう。収入と支出のバランスを確認するという目的で作ることができ、例えば現時点で貯蓄ができない、もしくは赤字となっている場合は収支を把握して、収入を増やせるのであれば改善し、支出を減らせる項目があれば節約を行うことになります。
 
もう1つは、将来をシミュレーションしたキャッシュフローとなります。こちらは現状のキャッシュフローを基に、将来のお金の流れを予測していくというものです。
 
このキャッシュフローでは、給与が昇給していくという予測であれば、昇給率を考慮して収入をシミュレーションしていきます。また、支出に関しても生活費や教育費などでは、今後の物価上昇を考慮して支出をシミュレーションします。
 
日本は失われた20年、30年といわれるくらい経済成長がなく、物価上昇がほとんどありませんでした。しかし、足元では海外の物価上昇や円安の影響で、物価が高騰してきています。
 
短期間で見ると物価は上下しますが、長期で見た場合は少しずつ上がっていくことが経済にとっても健全な状態といえるため、ファイナンシャル・プランニングにおけるキャッシュフローでは、将来シミュレーションの方がより重要になります
 

ライフプランでもキャッシュフローは重要

ファイナンシャル・プランニングでは、現状分析のキャッシュフローと将来シミュレーションのキャッシュフローがあり、将来シミュレーションでは物価上昇や昇給についても考慮した内容になるという説明をしてきました。これは老後に受け取る公的年金や、今後の生活費などにも大いに影響してきます。
 
FPは、今後の物価上昇に対して1%~2%程度の上昇率を含めてシミュレーションを行っていきます。
 
例えば、収入が変わらないとした場合、同じような水準の生活は続けられると思われがちですが、物価の上昇によって生活費が増えていくことになるため、収入が同じでも徐々に生活が厳しくなるというシミュレーションができます。
 
現在は収入が増えない時代ともいわれます。これは給与の増加はあるものの、物価の上昇に対して少ない上昇率となっていることで、実質的な収入が増えていないことを指します。
 
この点については公的年金にも当てはまります。現在の年金制度はマクロ経済スライドという方式が採られており、賃金や物価が上昇しても、平均寿命の延びや年金の加入者数の増減率に応じて年金額が調整されています。
 
そのため、現在のマクロ経済スライドが採用されている限り、年金額が増えても物価の上昇率よりは少なくなります。
 
将来の物価の上昇や収入などについて、想像はできても現実味がないように感じてしまいますが、キャッシュフローを作成することで今後のお金の流れが「見える化」され、具体的にイメージすることができます。
 

まとめ

今回は、FPによるファイナンシャル・プランニングでのキャッシュフローについて解説してきました。
 
ファイナンシャル・プランニングでは現状分析を行い、将来のシミュレーションでお金の流れを確認して、問題点のほか、大きなお金が必要となる時期や金額などを把握し、ライフプランごとに必要な対策を講じていきます。
 
現在の生活や将来に不安を感じるようであれば、FPに相談してキャッシュフローを作成することで、不安を安心に変えることができるかもしれません。
 

出典

特定非営活動法人 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会 会員倫理規程

 
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー

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