「貯蓄額2000万」は60代だと平均? 60代の貯蓄額中央値はいくら?
配信日: 2023.02.02 更新日: 2024.10.10
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
60代の貯蓄額の平均値は?
令和3年の「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]」によると、世帯主が60代である世帯全体における金融資産保有額は平均が2265万円、中央値は700万円となっています。
金融資産も含めて貯蓄と考えると、60代での貯蓄額2000万円というのは平均的な金額ということができます。しかし、中央値で見ると貯蓄額は700万円まで一気に落ち込みます。
この点から考えると、貯蓄額2000万円は統計上平均的な数値ではあるものの、それが普通であるとはいえず、むしろ2000万円も貯蓄がない60代の方が一般的であるといえます。
参考までに、預貯金だけに絞った場合、貯蓄額の平均は917万円となっています。
単身世帯と2人以上の世帯に絞って見るとどうなる?
上記は世帯主が60代である世帯全体の統計データですが、単身世帯と2人以上の世帯とに分けて見た場合はどうなるのでしょうか。それぞれ比較して見ていきます。
単身世帯の場合
世帯主が60代である単身世帯の場合、金融資産保有額は平均が1860万円、中央値は460万円となっています。単身世帯においては、貯蓄額2000万円は平均的な金額とはいえないようです。
また、どれくらいの金融資産を保有しているかの割合を見ていくと、最多は非保有の世帯で28.8%、続いて保有額3000万円以上の世帯で17.7%となっています。
単身世帯では、貯蓄を多くできている世帯とできていない世帯との二極化が進んでいるようです。
2人以上の世帯の場合
世帯主が60代である2人以上世帯の場合、金融資産保有額は平均が2427万円、中央値は810万円となっています。2人以上の世帯においては、貯蓄額2000万円は平均よりやや少ない金額といえそうです。
ただし、中央値が810万円ということを考えると、貯蓄額2000万円未満は一般的ではない、とまでは決していえないでしょう。
また、どれくらいの金融資産を保有しているかの割合を見ていくと、最多は保有額3000万円以上の世帯で22.8%、続いて非保有の世帯で19%となっています。2人以上の世帯でも、単身世帯と同様に二極化が進んでいることが分かります。
なぜ2人以上の世帯と単身世帯とで貯蓄額に差があるの?
単身世帯と2人以上の世帯とを比較すると、2人以上の世帯の方が貯蓄が多い理由はどこにあるのでしょうか。
まず、世帯内で働いている人数の差があります。単身世帯では基本的に世帯主のみの収入となりますが、2人以上の世帯であれば複数人働くことが可能になるため、収入がその分増え、貯蓄も増えていくのだと予想されます。
また、2人以上の世帯においては子育てや老後への備えについて家族で話し合う機会が多いことや、家族で協力や工夫をして貯蓄が習慣化しやすいことなども予想されます。
60代で貯蓄額2000万円を達成するのは容易ではない
世帯主が60代である世帯全体の金融資産保有額の平均は2265万円です。しかしながら、中央値で見ると700万円まで一気に落ち込み、60代で2000万円貯蓄することの難しさがよく分かります。
老後は2000万円の貯蓄が必要といわれることもありますが、誰もが容易に2000万円貯蓄できるわけではありません。貯蓄額の平均や中央値は参考程度にとどめ、家庭の事情に応じた無理のない範囲で貯蓄し、資産を形成していくようにしましょう。
出典
知るぽすと (参考)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]令和3年調査結果
知るぽすと 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和3年)
知るぽすと 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)
執筆者:柘植輝
行政書士