更新日: 2024.10.10 ライフプラン

サラリーマンの妻が確認しないと損する!?3つの壁

サラリーマンの妻が確認しないと損する!?3つの壁
平成29年度の税制改正により、配偶者控除と配偶者特別控除の見直しが行われ、平成30年分からの所得税に適用されることとなります。
 
これまでは、控除対象配偶者(配偶者控除を受けることができる)となるための要件として、いわゆる「103万円の壁」、配偶者の年間収入が103万円以下であることがひとつの指標となっていました。
 
今回の税制改正により、改めて、サラリーマン家庭において注意しておくべき配偶者の収入に関する3つの壁について確認してみたいと思います。
 
なお、夫がサラリーマン(給与収入のみ)で妻がパートタイマーとして勤務することを想定してみます。
 
高橋庸夫

Text:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

配偶者控除はどう変わる?

 税制改正前の配偶者控除は、夫と生計を一にする妻の合計所得金額が38万円以下(年間給与収入103万円以下)の場合、適用を受けることができました。
 
改正後には、新たに、夫の合計所得金額が1000万円を超える場合には、妻の配偶者控除は適用できなくなるとの要件が加えられました。
 
つまり、夫の合計所得金額が1000万円超となった場合は、たとえ妻が専業主婦で収入が0円でも控除対象配偶者には該当しないこととなり、昨年までは当たり前に使えていた配偶者控除の38万円が使えなくなります。
 
ちなみに、夫の合計所得金額が1000万円を超えるのは、給与収入で1220万円(給与所得控除額が最高の220万円)が目安となります。また、国税庁の民間給与実態統計調査(平成28年分https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/minkan/index.htm )によると、年収1000万円以上の方の割合は、全体の約4.2%となっています。
 

配偶者特別控除はどう変わる?

改正前は、夫と生計を一にする妻のうち、合計所得金額が38万円超76万円未満で、夫の合計所得金額が1000万円以下の場合に適用されていました。
 
改正後は、妻の合計所得金額が38万円超123万円以下の適用に変更されています。この範囲で、夫と妻の合計所得金額の組み合わせにより満額の38万円から1万円までの控除金額が決定されます。
 
ちなみに、ぎりぎりで配偶者特別控除の適用を受けられる妻の給与収入は、201.6万円(所得123万円)が目安となります。
 
それでは、これらの税制改正による変更点を踏まえて、サラリーマン家庭の家計全体に影響する妻の給与収入に関する「3つの壁」について見てみましょう。
 

第1の壁「150万円の壁」

今回の見直しで、配偶者特別控除の控除額を満額38万円とする条件は、夫の給与所得額が900万円以下で、妻の所得金額が85万円以下となります。
 
この場合の妻の給与収入の目安が150万円以下となり、これが第1の壁となる「150万円の壁」です。
 
仮に、昨年まで配偶者分の38万円控除を受けていた方が、平成30年分から適用されなくなったと仮定した場合、夫の所得税率が23%で計算すると8万7400円(38万円×23%)増税となります。
 

第2の壁「130万円の壁」

妻が夫の健康保険、厚生年金保険の被保険者として認定される条件は、妻の給与収入が130万円未満とされています。また、併せて妻の収入が夫の年収の2分の1未満である必要があります。
 
つまり、妻の給与収入が130万円以上の場合、妻が健康保険や厚生年金保険の被保険者として認定されるため、保険料の支払い義務が生ずることとなります。
 

第3の壁「106万円の壁」

 

平成28年10月から、パートタイマーなどの短時間労働者に対する社会保険の適用が拡大され、(1)月額賃金8万8000円以上ある者、(2)週20時間以上の労働時間、(3)勤続1年以上(見込み)、(4)従業員501人以上、(5)学生でない者、という5つすべての要件を満たす場合には、妻が健康保険や厚生年金保険の被保険者となることになります。
 
妻がパートタイマーの場合、その勤務先の会社の条件にも注意が必要です。
 

おわりに

以上のように、それぞれのサラリーマン家庭の夫と妻の収入金額によって、所得税などの税金のほか、健康保険の被保険者など家計全体に影響が出る可能性があります。
 
場合によっては、妻の給与収入額を正確に把握していなかったために、年末調整の間違いを税務署から会社を通じて指摘されることも有り得ます。
 
年末近くになって慌てることのないよう、夫婦間でそれぞれの収入見込みについて確認しておきましょう。
 
Text:高橋 庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー,住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士

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