更新日: 2024.10.10 ライフプラン
家事だって立派な仕事です。専業主婦が自分のための退職金をつくる方法
それに比べて、専業主婦を選んだ人は、夫の給料からおこづかいをもらい、生活費や教育費、住居費などやりくりして自分のために使うお金は遠慮してしまっている人が多いのではないでしょうか。
専業主婦はお子さんや家族のことをいつも考えて、家事育児を無償で頑張っています。家にいるからといって楽な訳ではありません。
特に小さなお子さんがいて買い物に出かけたりする、食事の準備、介護をする人もいることでしょう。
家庭により、いろいろな事情があって外に働きに出られない人もいます。あるいは家事がなにより好きな人もいるかも知れません。
どんな事情であっても、夫が会社員なら厚生年金に加入し、退職金もありますし、年金も多く受け取れます。
家事育児を頑張っていた専業主婦にはこのような退職金はありませんが、国が専業主婦にも加入を認めてくれた、自分退職金を作る方法をご存じでしょうか。
Text:木田美智子(きだ みちこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
確定拠出年金相談ねっと認定FP、DCアドバイザー、証券外務員内部管理責任者、相続士、金融知力インストラクター、FP未来への扉(幹事)、SANWA DCサポート代表。
超高齢社会は女性が中心的存在に
65歳以上の人口が占める割合は、平成29年版高齢社会白書で見ると27.3%となっています。女性に限ってみるとなんと30.1%と約3人に1人。65歳からは女性が長生きして活躍する世界が待っています。
私の知人がいる特別養護老人ホームには男性の入所者は3人ほど。女性ばかりが目立ちます。健康で生きがいを持って人生100年時代を楽しく暮らしていきたいものです。
自由な時間を多くとれる専業主婦は、地域の人とのコミュニケ―ションの取り方、時間の上手な過ごし方を身につけています。
仕事だけをしてきた夫に比べ上手な時間の過ごし方ができるのです。その時、自分が自由に使えるお金はお持ちでしょうか。年金生活になっても夫の年金のほうが多いので、やはりおこづかいをもらう生活は続くことになるでしょう。
自分退職金があったらどうしますか?
同じ専業主婦でも、お子さんが小学校に入った時など、短時間でも働いている人も見かけます。その理由としては、お子さんの塾やお稽古代がかさんで大変になってきたこともあるでしょう。
1つのお稽古にも5000円から1万円程掛かりますから、複数のお稽古をさせてあげるには結構なお金がかかります。
お子さんにもいろいろさせてあげたいですし、自分もおしゃれをしたり、ランチを楽しんだりと余裕も持ちたいものです。
しかし、何かをしようと思うとやはりお金が必要です。働いている夫を助け、その間家庭を守ることができますが、やはり経済面では2人で働いている女性に比べると少し自分のために使うお金が減っているのではないでしょうか。
もし、自分専用退職金があったら、年金暮らしになって収入が減ってしまった時にも、自分の名前の口座から自由にお金を使っていくことができます。
遠慮することなく自由に使えるってうれしいことではありませんか。
長くなっている自由時間をあなたは何をして過ごしたいですか。今からいろいろな未来計画を立ててみませんか。
その時あなたはどこで何をしていますか。そのための準備に最適な方法、専業主婦ができる退職金づくりをこれから紹介します。
専業主婦こそ活用したい、自分退職金がつくれる制度
その専業主婦でも退職金がつくれる国の制度こそ、確定拠出年金iDeCoなのです。20歳から60歳になるまでの人が対象です。若いほど効果を発揮します。
2017年1月から専業主婦も公務員も加入が認められるようになった、確定拠出年金iDeCo。聞きなれない名前で知らない人も多いことでしょう。
実は、これからの老後資金は自分でつくってくださいと、国が自営業者と企業年金のない会社員しか加入が認められていなかった、税制優遇制度の加入を全員に認めてくれた画期的なできごとだったのです。
加入者数を見ていただくとわかるのですが、同時に加入が認められた公務員に比べて専業主婦は加入者が少ないのです。
なぜかというと公務員は職場でみんな確定拠出年金iDeCoの説明を受けています。専業主婦は自分で情報をキャッチしないと教えてもらえないからです。
https://www.ideco-koushiki.jp/library/pdf/number_of_members_H3003.pdf
(国民年金基金連合会ホームページより)
この確定拠出年金iDeCoで、専業主婦(第3号被保険者)は毎月2万3000円まで自分名義で口座をつくることができます。この制度には3つの優遇がついています。
1.掛金全額所得控除 2.運用益非課税 3.受取りも優遇(退職所得控除/公的年金控除)が使えます。
もしあなたがまったく働いておらず収入のない人でしたら、1.掛金全額控除は使えません。支払った税金が掛金に対してかからない優遇ですから、税金の支払いがないと税金の戻りはありません。
もしパート収入で103万円を意識している人でしたら、月に2万3000円の積立をすると、その金額分、多く収入があっても所得控除され所得税はかかりません。
少し時間を長く働くことで、自分名義の専用口座へ着々と積立していくことができます。
30歳の人なら、30年間iDeCoで2万3000円を積み立てすると、なんと828万円が元本で貯められます。パート収入があり所得控除を使える人なら、165万6000円の税金を払わずに自分のお金として使えるようになります。
そして、この貯まったお金を60歳以降まとめて受け取ることも、年金として分割で受け取ることもできます。自分で自由に使える自分名義のお金となります。
さらに専業主婦には、確定拠出年金iDeCoの運用に関して有利なことがあります。それは、積立金の運用です。
会社員や公務員は仕事で忙しく、なかなか運用まで手が回らないことが多いのではないでしょうか? 専業主婦は時間管理を自分で決められます。
テレビで情報収集することも、資産運用の勉強会に参加することもできます。運用の知識を身につけてお金を増やす練習ができるのではないでしょうか。
あなたの決めた運営管理機関のiDeCo商品の中で、銘柄の変更を手数料なしで行うこともできます。運用益はiDeCo口座の中ではすべて非課税になるというメリットも活かせます。
もし2万3000円を30年間3%で運用できたら828万円は1340万円にすることができます。口座内で税金を引かれず、複利で運用ができるのがうれしいですね。
長期、分散積立の力を使ってあなたの資産形成づくりに役に立つことでしょう。
自由時間の使い方が上手な専業主婦なら、確定拠出年金iDeCoをしっかり活用して知識経験を増やし、自由時間を楽しむための未来資金づくりが可能です。自分のための退職金づくりを始めてはいかがでしょうか。
Text:木田美智子(きだ みちこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者