更新日: 2024.10.10 働き方
夜遅くまで働いたのに「残業代」が出ない!? 確認すべきポイントを解説
今回は残業代が出なくておかしいと思った場合に、まず確認すべきポイントを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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雇用契約書や就業規則を確認する
就業規則や労働契約では労働者の勤務時間が定められています。例えば、始業9時、終業18時、休憩時間1時間の場合は実働時間が8時間です。これを所定労働時間といいます。
労働基準法32条では、以下のように規定されています。
・使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない
・使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない
これを法定労働時間といいます。基本的には「所定労働時間=法定労働時間」が多いですが、法定労働時間よりも所定労働時間が短いこともあります。
所定労働時間を超えると残業代が発生し、法定労働時間よりも長く働いた場合に割増賃金が上乗せされます。事業者が労働者に法定労働時間よりも長く働いてほしい場合は、労働組合等との労使協定で時間外労働協定(36協定)を結ぶ必要があります。
残業代に関する内容は雇用契約書や就業規則に規定されているので、自分の勤務先がどうなっているのか知っておく必要があります。分からない場合は、人事や総務関係の部署に確認しましょう。
残業代が出ないパターンではないか
雇用形態によっては労働基準法の原則に従って残業代が出ないこともあります。今回はよく問題になる裁量労働制と固定残業制、管理監督者の取り扱いについて解説します。
裁量労働制
裁量労働制とは「みなし労働時間制」ともいい、明確に労働時間を算定しにくい場合に、あらかじめ定めた時間を労働したものとみなす制度です。
事業場外みなし労働時間制、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制の3つに区分されます。例えば、会社に通勤せず直行直帰の形態が多い営業マン、システムエンジニアやデザイナーなどの専門的な業務に従事している場合は、これらにあてはまることがあります。
実際の労働時間に関係なく給料が支払われるので、残業をしたからといって増えるわけではありません。
固定残業制
あらかじめ決まった残業代が設定されていることがあります。
固定残業制を採用する場合、募集要項や雇用契約書等に以下のような形で記載する必要があります。
1.基本給:20万円
2.固定残業手当:5万円(時間外労働の有無にかかわらず、30時間分の時間外手当として支給)
3.30時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給
固定残業時間を超えるまでは、追加で残業代が出ないので注意しましょう。
管理監督者の取り扱い
管理監督者には深夜早朝の割増賃金をのぞいて労働基準法の規制が適用されません。そのため通常は残業の概念がありません。ただし、これには実態を伴う必要があります。
「名ばかり管理職」と話題になることがありますが、どれだけ立派な肩書があったとしても、実際には管理監督者といいにくい場合は、規定対象外になることに注意しましょう。
まとめ
今回は残業したのに残業代がついていない場合に確認したいポイントを解説しました。
・雇用契約書や就業規則を確認する
・裁量労働制、固定残業制、管理監督者の取り扱いに当てはまらないか確認する
そのうえで残業代の未払いが疑われる場合は、給与計算ミス等の可能性もあるので人事や総務関係の部署にまずは相談しましょう。
出典
厚生労働省 労働基準法
厚生労働省 労働時間・休日
厚生労働省 固定残業代の適切な表示方法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部