【2023年6月から】東京電力で「平均29.31%」の値上げ! 緩和措置や生活への影響も解説

配信日: 2023.03.21 更新日: 2024.10.10

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【2023年6月から】東京電力で「平均29.31%」の値上げ! 緩和措置や生活への影響も解説
新型コロナウイルス感染症で低迷した経済活動の回復、天候不順や災害の多発、さらにウクライナでの紛争の影響などもあり、世界でのエネルギー価格が高騰してきています。この状況を受けて、電源構成比で火力発電が最も多く、その燃料を輸入に頼る日本では、電力各社から電力料金の値上げが申請されているのです。
 
本記事では、東京電力エナジーパートナーを例に取り、電気料金値上げの背景とその影響を考えます。
FINANCIAL FIELD編集部

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電気料金値上げの背景


 
東京電力エナジーパートナーが2023年1月に発表した「低圧の料金メニューの見直しについて」という文書には、次のような電力料金値上げの理由が示されています。

●昨今の世界的な資源価格の高騰
●規制料金の燃料費調整単価が調整の上限値に到達する状況が継続していること
●他の小売電気事業者等から東京電力への規制料金へ契約を切り替える顧客の増加

ここに書かれている「燃料費調整単価」とは、原油や液化天然ガスや石炭などの火力発電で使用する燃料の価格変動を電気料金に反映させるしくみです。発電に使用するエネルギーの種類で分類した発電施設の割合を「電源構成」と呼びます。
 
日本の電源構成は東日本大震災以前と比べて、原子力発電所の稼働率が低水準となっており、それを主に火力発電で補っています。そのため、その多くを輸入に頼っている火力発電で用いる化石燃料が高騰すると、電気料金も値上げされるわけです。
 
また「規制料金」とは、上限額が制限されている電力料金のことです。電力料金には電力会社が独自に決められる「自由料金」と、消費者保護の観点から政府の規制により上限が設定された「規制料金」があります。2016年4月以降の電力自由化によって、一般家庭向け電力料金規制が緩和され、お得な自由料金が選べるようになりました。
 
ところが、昨今の資源価格の高騰で自由料金も値上げされる傾向にあり、規制料金のほうが割安な場合も出てきています。そうなると、「よりお得な」規制料金に切り替える顧客が増加します。結果として、利益率の低い規制料金の契約者増により、電力会社の財務状況が悪化するわけです。
 
このような状況から東京電力エナジーパートナーでは2022年度の経常損益が過去最大の5050億円の損失となっているようです。そのため、経済産業大臣に対して、規制料金について2023年6月1日から平均29.31%の値上げを申請しています。さらに、送配電設備の利用料金である「託送料金」が2023年4月1日から値上げされるため、電気料金自体は4月1日から値上げされることが決まっています。
 

生活への影響は?

電気料金値上げの国民生活への影響を緩和するため、政府は令和4年度第2次補正予算で「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」として3兆円以上を計上しています。これにより、令和5年1月の使用分から、電気・ガス料金が補助されます。なお、この対策は電力・都市ガス供給者が国に申請を行うものなので、家庭や事業者で対応する必要はありません。
 
とはいえ、この対策が決定している期間は2023年9月末までであり、それ以降は縮小される見込みです。また、実際にはこの補助対策の効果は上記の電気料金値上げで相殺されるといわれており、現在の電気料金と同水準か、微増でとどまる可能性が指摘されています。
 

電力会社からの電気の購入量を減らす努力を

世界のエネルギー価格の高騰が日本の電気料金の値上がりに影響しており、政府は補助対策をとって価格の維持を試みています。しかしながら、値上げ傾向は今後も続くと考えられます。生活者としては、無駄な電気使用を極限まで減らしたり、可能であれば屋根に太陽光パネルを設置して自家発電したりして、電力会社からの購入量を減らすことを考えたほうがよいでしょう。
 

出典

東京電力エナジーパートナーズ 低圧の料金メニューの見直しについて
資源エネルギー庁 令和3年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2022)
資源エネルギー庁 電気・ガス価格激変緩和対策事業
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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