更新日: 2024.10.10 働き方
「リース」と「レンタル」の違いは何? それぞれのメリット、デメリット
一般的に起業する際には、オフィス関連の設備などを用意するために一定の初期コストが必要となります。例えば、コピー機、パソコン、プリンターなどの設備をすべて購入する場合には、相応の費用がかかって初期コストが膨らみます。
そのため、必要な設備に対する初期コストを抑える方法として、「リース」や「レンタル」がよく使われます。ここでは、両者の違いやそれぞれのメリット、デメリットなどについて確認してみたいと思います。
執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
リースとレンタルの違いとは
「リース」と「レンタル」は、設備などの物件を借りて使用するという点では共通のイメージがあります。しかし、両者の契約にはさまざまな点で違いがあります。
1.リースの場合
リースとは、ユーザーが使いたい物件をリース会社が購入して、ユーザーに賃借する方法です。そのため、物件の所有権はリース会社となりますが、使用中の保守修繕の義務はユーザー側にあります。
また、主に10年間ぐらいまでの中長期的な契約期間となる物件に利用されることが多いです。例えば、コピー機(複合機)を使いたいケースによくリースが利用されますが、コピー機の法定耐用年数は5年のため、その場合は5年程度の契約期間が目安になります。
リースの場合、契約期間内での中途解約は原則不可となります。契約段階でリース会社が、購入した代金と同じ程度のリース料をユーザーから徴収する仕組みとなっており、どうしても中途解約したいときには、リースの残金をユーザーが一括で支払う必要があります。
契約期間が満了した場合には原則、リース会社に物件を返却することになりますが、よく聞く方法として「再リース」という契約があります。
契約期間満了後に再リース料を支払うことで契約を延長する方法ですが、一般的には、1年契約で年額リース料の12分の1程度の再リース料を支払うことが条件とされる場合が多くなっています。
なお、所有権移転ファイナンスリースで契約している場合には、契約期間満了後に物件の所有権がユーザーに移転することになります。
2.レンタルの場合
レンタルとは、レンタル会社が所有する物件をユーザーが選択して借りる方法で、一般的にはリースよりも短い期間での一時利用などで使われます。例えば車のレンタルでは、レンタカー会社が所有する車のなかから借りる場所、車種、利用期間などをユーザーが選んで借りることになります。
物件の保守修繕の義務は原則、レンタル会社にありますが、ユーザーの過失による事故などの場合には修繕の費用について一部負担することもあります。利用後は物件を返却し、再リースのような延長契約はないので、利用する期間を延長したい場合は再びレンタルすることになります。
リースのメリット、デメリット
リースの場合は毎月一定額のリース料を支払いますが、そのすべてを経費として費用計上できます。
仮に一定額以上の設備を購入した場合には、減価償却のルールに従い、減価償却費を毎期、費用計上することになります。リースの主なメリット、デメリットは以下のとおりです。
・設備投資の初期コストを少額に抑えることができる
・希望する設備をユーザーが選択できる
・月額料金が一定額で、レンタル料よりも割安である
・リース期間ごとに最新の設備を使うことができる
・一定のリース料を必要経費として計上できる
・リース契約の審査に通らない場合がある
・ユーザーに保守修繕の義務がある
・原則、中途解約ができない
レンタルのメリット、デメリット
レンタルの場合は、必要なときに利用する期間だけ借りることができる点が特徴となるでしょう。
・使いたいときに短期間でも利用できる
・利用後に返却するため、保管場所などを用意する必要がない
・中途解約が可能である
・通常利用での保守・修繕はレンタル会社が行う
・リースに比べて料金が割高である
・レンタル会社が所有する物件から選択するため、選択肢が少ない、あるいは希望するタイミングで借りられない場合がある
まとめ
スタートアップ企業にとって、設備投資などの初期費用をいかに抑えるかは重要な課題のひとつといえるでしょう。設備の「購入」、「リース」、「レンタル」をそれぞれの利用目的に応じてうまく使い分けることが、成功への鍵になるのかもしれません。
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー