更新日: 2024.10.10 その他家計

スマホ決済アプリで給与を受け取る!? 厚生労働省からも認められた「賃金のデジタル払い」とは?

スマホ決済アプリで給与を受け取る!? 厚生労働省からも認められた「賃金のデジタル払い」とは?
キャッシュレス社会の実現に向けて、さまざまな変化が起きています。2023年4月より、賃金のデジタル払いが可能となります。しかし、スマホ決済アプリの故障や手数料負担といった、デジタルならではの不安を抱えている人も多いでしょう。
 
今回は、賃金のデジタル払いについて詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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賃金のデジタル払いに関する現状

経済産業省の資料「キャッシュレス更なる普及促進に向けた方向性」によると、2020年の時点で、日本のキャッシュレス決済比率は32.5%というデータが出されています。中国や韓国と比較すると、日本のキャッシュレス決済比率は非常に低い状況です。今後、さらなるキャッシュレス決済の普及に向けて法整備を推進しています。
 

賃金のデジタル払いにおける法整備

厚生労働省の資料「資金移動業者の口座への賃金支払い(賃金のデジタル払い)について」では、賃金のデジタル払いを可能とする法整備について記載されており、金融庁の「資金決済法関係法令等」を1階部分、厚生労働省の「労働基準法関係法令」を2階部分として規制する方針です。
 
デジタル払いに利用できる資金移動業者を、賃金の確実な支払いを可能とする一部の資金移動業者のみに限定することで、賃金のデジタル払いを可能としました。
 

賃金のデジタル払いを可能とする資金移動業者

厚生労働省の資料「労働基準法施行規則の一部を改正する省令(令和4年11月28日公布)」によると、賃金のデジタル払いを可能とする資金移動業者には、以下の要件があります。
 

【資金移動業者の要件】

労働者に対する賃金支払い口座が100万円を超えないようにする
破産手続きや債務履行が困難な場合には労働者に全額弁済できる
労働者が不正取引などによる責任を負わないため、口座に関する債務の補償制度がある
口座に関する資金移動が最後にあった日から少なくとも10年間、債務を履行できる
口座への資金移動や資金の受け取りが1円単位で可能である
毎月1回の手数料や費用を負担することなく受け取れる
賃金支払いに関する業務と財務状況について適時報告できる
賃金の支払いを適正かつ確実に遂行できる技術的能力を有し、社会的信用がある

 
以上のような要件を満たした資金移動業者を利用して、賃金のデジタル払いが可能となります。資金移動業者の要件を一言でまとめると、「万が一のトラブルが発生しても、賃金の支払いが問題なく遂行できる資金移動業者」といえるでしょう。
 

賃金をデジタル払いにするメリットとデメリット

賃金をデジタル払いにすることで、コスト削減や、賃金を素早く受け取れる、といったメリットがあります。一方で、口座の上限金額が設定される、導入時の負担が大きい、といったデメリットもあるため注意が必要です。
 

賃金をデジタル払いにするメリット

デジタル払いにすることで銀行口座を持たない労働者にも送金できるため、外国人や日雇い労働者を受け入れやすくなります。また、資金移動業者は手数料が安いため、コスト削減が期待できます。
 
一方で、労働者はスマホで即座に賃金を受け取るため便利です。
 

賃金をデジタル払いにするデメリット

賃金のデジタル払いは口座の残高上限が100万円までに制限されているため、100万円を超える賃金はデジタル払いできません。
 
また、1人ひとりの労働者から同意を得る必要があるため、導入時に企業側の負担が大きくなります。負担を軽減するため、企業が従業員に対して特定の銀行口座開設を求める可能性もあります。
 

まとめ

2023(令和5)年4月から賃金のデジタル払いが可能となります。利用できる資金移動業者は、万が一の補償が可能な企業に限定されているため、安心して利用できるでしょう。
 
しかし、デジタル払いの導入に関しては、労働者と企業との合意に基づいて行われます。デジタル払いのメリットとデメリットを考慮して、賃金の受け取り方を選択しましょう。
 

出典

厚生労働省 厚生労働省令第百五十八号 労働基準法施行規則の一部を改正する省令

経産省 2021年のキャッシュレス決済比率を算出しました

厚生労働省 資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について

経産省 キャッシュレス更なる普及促進に向けた方向性

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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