更新日: 2023.04.14 その他家計

ピカチュウに自家発電してもらったら、どれくらいの節電になるの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

ピカチュウに自家発電してもらったら、どれくらいの節電になるの?
ポケットモンスターの中には、10万ボルトの電撃を発生させるピカチュウというキャラクターがいます。
 
「ピカチュウの電撃を活用して自家発電ができれば、節電につながるのではないか?」
このように考えたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
この記事では、電気料金が高騰する中で、実際にピカチュウの電撃を活用できたら、どの程度節電ができるかについて、真面目に考察してみることにします。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

電気代は年々上昇傾向にある

ここ数年、電気料金は上昇の一途をたどっています。2023年も、各電力会社では料金見直しを予定しており、東京電力では6月に約18%近い値上げとなる見込みです。物価の上昇も相まって、電気代の上昇が家計を圧迫しているご家庭も多いのではないでしょうか。
 
まずは、電気料金が上昇を続ける理由を簡単に解説します。
 

電気代高騰の理由と背景

基本的な電気料金の仕組みは以下のとおりです。
 
基本料金+電力量料金(燃料調整費額を含む)+再生可能エネルギー発電促進賦課金
 
日本の発電方法として大きなウエートを占めている火力発電は、原油や天然ガス、石炭などの天然資源が燃料となります。したがって、これらの資源の調達コストが上昇すると、電気料金も高騰する仕組みです。
 
2020年と比較すると、原油や天然ガスは約2倍から3倍、石炭は5倍以上と急激に上昇しており、電気料金の高騰の要因となっています。
 

ピカチュウの自家発電で節電は可能?

世界中で大人気のゲーム・アニメ『ポケットモンスター』に出てくるキャラクター「ピカチュウ」をご存じでしょうか。
 
ピカチュウの特徴は、かわいらしい外見と、電撃を発生させる点です。ピカチュウが発生させる電撃は、10万ボルトと非常に高出力。自然界で電気を発生させる動物としては電気ウナギがいますが、電気ウナギが放つ電撃の威力は800ボルトであり、ピカチュウとの差は歴然です。
 
もし、このピカチュウが発する電撃を実際に利用できれば、自家発電は可能でしょうか? 仮に自家発電が可能であれば、どの程度の節電効果が見込まれるのかも併せて考えてみたいと思います。
 

電力と電力量の違い

ピカチュウでの自家発電で、重要となるのが「電力」と「電力量」の違いになります。簡単に説明すると、電力は「1秒間にどれほどの電気エネルギーを作れるか」という、瞬発力のようなイメージです。対して、電力量とは一定の期間で生み出される電気エネルギーの総量のことで、「電力×時間」で表されます。
 
ピカチュウは10万ボルトの電撃を発生させることはできますが、あくまでも瞬間的なもので、電力量としては非常に少ないです。また、1匹のピカチュウに一日に何度も電撃を発生させることは、ピカチュウの健康面を考慮しても難しいといえるでしょう。
 
それゆえ、家電製品で消費する電気をピカチュウの自家発電で賄おうとする場合、必然的に大量のピカチュウの飼育が必要となるのです。
 

家電の電力と電力量

日常生活で利用している家電製品が、どの程度電気を使用するのかを把握している方は、それほど多くはないでしょう。
 
ここでは、代表的な家電製品の消費電力についてご説明します。
 
図表1

家電製品 消費電力
10畳用エアコン 冷房:580W(立ち上がり時1400W)
暖房:660W(立ち上がり時2000W)
450リットルサイズ冷蔵庫 250W
30リットルサイズ電子レンジ 500~1500W
42型テレビ 液晶:210W
プラズマ:490W
ドラム型洗濯乾燥機 洗濯時:200W
乾燥時:1300W

※TEPCO公式サイトを基に筆者作成
 
もし、これらの家電製品の電力をピカチュウの自家発電で賄おうとすると、どうなるかを検証してみます。
 

ピカチュウの電力量と家電の消費電力

ピカチュウが電撃を発動させて生まれる電力は、計算すると40万kW程度で、これは中型の火力発電機に相当する電力となります。ただし、この数字はあくまでも瞬間的なエネルギーに過ぎません。
 
ピカチュウの電撃の電力量を計算すると、約0.0089kW時と極めて小さな値になります。
 
この値を用いると、仮に42型の液晶テレビで1時間番組を観る場合は、約24匹のピカチュウが必要になる計算です。
 
ピカチュウで賄える電力量と飼育費用をてんびんにかけると、結果的に節電につながるとはいえないでしょう。
 

ピカチュウでの自家発電は非現実的

10万ボルトの電気を生み出すピカチュウが自家発電をした場合、どの程度節電につながるかについてご説明しました。
 
ピカチュウの電撃は、瞬間的なエネルギーである電力は非常に大きいのですが、電力量が小さく、自家発電としての利用は効率的ではありません。
 
費用対効果が高いとはいえず、ピカチュウの自家発電は、残念ながら現実的ではないという結果になりました。
 

出典

東京電力エナジーパートナー株式会社(TEPCO) サポート-個人のお客様 家電製品の消費電力について知りたい
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

ライターさん募集