更新日: 2024.10.10 働き方
日本で働くより3倍ももうかる!? 「ワーキング・ホリデー制度」について教えて!
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
ワーキングホリデーってどんな制度?
ワーキングホリデーとは、対象となる国や地域との取り決めに基づき、青年に対して休暇目的での入国とその間の滞在費用を稼ぐための就労を認める制度です。
ワーキングホリデーの趣旨は国・地域が相互に青年を受け入れて、異なる文化などを知る機会を増やし相互理解を深めることにあり、多くの国や地域が導入しています。日本では27の国や地域との間で導入しています(令和5年3月1日現在)。
韓国や香港といった私たちに身近なアジアの国・地域はもちろん、フランスや英国など旅行で人気の国もワーキングホリデーの対象となっています。
ワーキングホリデーを利用できるのは18歳から30歳まで(国や地域によっては25歳や26歳までなど制限あり)という年齢制限があります。ワーキングホリデーは若いうちにしか利用できない制度であるため興味があれば経験の一つとして行ってみるのも悪くはありません。
実際にワーキングホリデーで働く方ことでもうかるのか?
動画サイトやブログなどにある体験談、メディアでの報道などで「日本で働くよりワーキングホリデーで海外で働いた方がもうかる」といった声が目立ちます。中には収入が日本で働いていたころと比較して3倍どころか10倍となっているという方もいらっしゃるようです。
たしかに給料として受け取る額自体は日本円換算で上がることもあるでしょう。しかしながら、収入が増えたからといってその分生活水準が上がるかといえば必ずしもそうではありません。
基本的に最低賃金や平均収入が高い国や地域はその分物価も高くなっていきます。海外に行って日本円換算で収入が上がったとしても、現地の物価が高ければ思うほど収入増加の恩恵は得られないようです。実際、ニューヨークなど一部の地域では物価の上昇が給与の増加額以上に著しいこともあるようです。
安易に「海外で働けば日本よりももうかるんだ」と考えてワーキングホリデーで海外へ行っても、望むような稼ぎ方ができるわけではないことを知っておいてください。ワーキングホリデーはお金をもうけるための制度ではなく、あくまでも旅行とその間必要なお金を稼ぐための就労が認められる制度です。
ワーキングホリデーに行く上での注意点
ワーキングホリデーでは、基本的に言語も慣習も日本とは大きく異なる場所へ行くことになります。事前にインターネットなどで十分に情報収集をしたつもりでも、インターネットで見聞きした情報と現実に自分が経験する実情は異なる場合もあるため注意が必要です。
また、日本での当たり前は海外では当たり前でないこともあります。特に、夜一人で歩いてもある程度安全である治安の良さや、屋台の食べ物や水道水を気軽に飲食できるという衛生環境の整った国はそう多くはありません。
そして何より日本でのキャリアが一度断絶される点について軽視してはいけません。帰国後に起業するためのパイプ作りや、言語力を身に付けるなど明確な目的で行くならともかく、そうでない場合は要注意です。日本でのキャリアが一度断絶されることで帰国後、転職が思うようにいかないこともあります。
ワーキングホリデーで簡単にもうかると思わないこと
ワーキングホリデーを利用すれば国や地域、為替の状況などによっては日本より高い給与を得られることもあるかもしれません。しかし、必ずしも思いどおりにもうかるとは限りません。
ワーキングホリデーは素晴らしい制度ですが、日本を離れて暮らし働くというのはとても大変なことです。ワーキングホリデーに興味を持ったのであれば、十分に下調べをし、ワーキングホリデーが終わった後の生活についても考えるようにしてください。
執筆者:柘植輝
行政書士