更新日: 2019.01.10 家計の見直し

財布の紐も緩みがちな夏休みは家計収支を長期的な時間軸で考える絶好の機会

執筆者 : 柴沼直美

財布の紐も緩みがちな夏休みは家計収支を長期的な時間軸で考える絶好の機会
気がつくと7月となり、子どもたちにとって待ち遠しい夏休みはもうすぐそこまで迫ってきています。
 
親御さんにとってはせっかくの賞与が財布にとどまることなく、福沢諭吉があっという間にレシートに変わる季節。夏休み前のこの時期だからこそ、家計収支を長期的な時間軸で考える絶好の機会です。
 
柴沼直美

Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

国内旅行では5万円、海外旅行では20万円(1人あたり)

夏に海外旅行や国内旅行を計画している場合は、すでにチケット代や国内の交通費・宿泊費については支払い済みか、予算に組み込んでいるかと思います。国土交通省が公表した調査によると、平成29年の1人あたり旅行費用は、国内全体で3万2606円、うち宿泊を伴う旅行の場合は4万9732円(ほぼ前年並み)となっています。
 
一方で海外旅行の場合は、1人あたり24万2000円(前年比2万円増、2017年7月のJTB資料より)となっています。
 
2018年の統計資料はまだ公表されていないので、人気のあるハワイのパッケージツアーの平均的な料金でみると、1人あたり約20万円前後というのが主流のようです。学校が夏休みに入ってからのトップシーズンとなると、これより高額になることは必至です。
 

せっかくの旅行でケチケチしたくない心が働いて現地でのお小遣いも高額に

パッケージツアーとしてあらかじめ予算を組んでいたとしても、当然現地で食事やアクティビティの参加費、お土産など、予算外の出費が発生します。旅先では日ごろの制約からの解放感や「せっかく来たのだから」「記念に」ということで財布のひもも緩みがち。
 
また海外であれば、現地の物価や外貨換算レートもピンとこないため、ついついカード払いにして欲望に素直に出費するようになります。
 
5日間の家族4人での滞在であれば、国内で10万~20万円、海外であればその2倍は覚悟しておくべきです。これらを足し合わせると、夏の家族旅行で100万円単位の出費が当たり前になります。
 

家族旅行と教育費は二者択一と考えるべき

100万円の出費がかかるということを認識して、計画的な収支を考えましょう。例えば子どもを将来私立の中学・高校に進学させたいと考えているのなら、安易に家族旅行を計画するのは危険です。
 
もちろん人生で家族旅行を楽しめる瞬間というのは貴重ですが、子どもの将来キャリアの礎となるのは、何年間も続く学校生活です。私立の中学・高校へ進学させるとなると、最低でも年間100万円は必要になります。
 
一時の思い出を優先すべきか、教育費を優先すべきか二者択一と考えるべきでしょう。どちらも外せないのであれば、旅行費を抑えるかそもそもの収入を増やすかの二択です。
 
目先の楽しみや魅力的な宣伝に踊らされないよう、足元を見据えたうえで、コストをかけた旅行ではなく近場での思い出作りを工夫するのが賢明な家計運営かもしれません。
 
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表