更新日: 2024.10.10 働き方
月の残業時間が「80時間」超えで、過労死寸前まで残業。会社側に罰則は?
そういった状況では、どのように対処するのが正解なのでしょうか。また、会社に罰則は存在しないのでしょうか。残業過多で苦しんでいる方に向けて解説していきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
残業の上限値はどれくらい?
労働基準法において、残業時間は月45時間、年間360時間を原則超えてはいけないとされています。しかし、絶対にそのラインを越えてはならないというわけでもありません。
以下の全てを満たす範囲であれば、45時間を超えることも許されています。
・年間の残業時間が720時間
・残業時間と休日労働の複数月平均(2ヶ月平均、3ヶ月平均、4ヶ月平均、5ヶ月平均、6ヶ月平均)で計算して単月あたり80時間以内
・残業時間と休日労働が合計月100時間未満
・45時間を超えられるのが年6回まで
ここから、月の残業時間が80時間を超えている状態が平常な場合、違法な残業となっている可能性のあることが分かります。なお、前述の範囲内であっても、残業時間は可能な限り45時間の上限内に近づけるようにするべきだとされています。
80時間を超える残業が常態化している会社には罰則が課されている
一般的に、月80時間の残業は過労死ラインにあたるとされています。厚生労働省の通達によれば、残業時間が45時間を超えて長くなるほど、脳や心臓疾患との関連性が徐々に強まるとされています。
また、⽉100時間または2ヶ月から6ヶ月の平均で80時間を超える場合には、脳・心臓疾患の発症との関連性が強いともされています。そういった背景から、現在は残業時間に関する規制への違反には厳しい罰則が科されています。
具体的には、残業規制に違反した雇用主は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となる可能性があります。
残業を改善させるにはどうしたらいい?
過労死レベルの残業を強いられる状況を改善させる方法のひとつに、労働基準監督署への相談があります。労働基準監督署は必要があると判断すれば、勤務先に立ち入り調査を実施します。それにより残業含む労働環境が改善される場合があります。
また、部署や役職によって残業に変動がある場合は、部署移動や役職を降りるなどすることも必要でしょう。残業から得られる収入や労働時間に比例した業績で積むキャリアを大切にしたことにより、過労死という結果になってしまっては、元も子もありません。
80時間を超える残業が常態化しているのであれば転職も視野に
実際のところ、80時間を超える残業が常態化しているような会社の体質を変えて残業を減らすということは、容易ではないと考えられます。労働基準監督署への相談に抵抗がある、という方も少なくはないでしょう。そういった場合は、転職を検討するのも一つの手です。
転職によって必ずしも希望する条件の会社に勤務できるとも限りませんが、過労死寸前という状況を改善するには転職は有効な手段となり得ます。
また、月に80時間の残業が常態化している状況での退職は、先に解説した残業時間規制を超えていることから、失業給付金が会社都合扱いにてすぐに支給されます。失業給付金によって金銭面の不安が軽減されるため、まずは退職してから転職先を探してもいいでしょう。
残業で過労死寸前なら早急に解決に向けて動くこと
月の残業が80時間超で労働者が過労死寸前となっている場合、会社は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となる可能性があります。
にもかかわらず、残業が常態化しているのであれば、そう簡単にその状況は改善されないでしょう。過労死寸前で心身ともに消耗しているのであれば、労働基準監督署への相談や転職などの解決策をとるようにしてください。
出典
厚生労働省 時間外労働の上限規制分かりやすい解説
執筆者:柘植輝
行政書士