「退職代行サービス」を利用したのに退職できない!? 実際にあったトラブルと注意点

配信日: 2023.07.10 更新日: 2024.10.10

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「退職代行サービス」を利用したのに退職できない!? 実際にあったトラブルと注意点
退職代行とは、労働者本人に代わり、代行業者や弁護士が退職の意思を会社に伝えるサービスです。会社を退職したいと思っていても、上司からしつこく引き留められたり「辞めたい」と伝えた後で、嫌がらせや脅迫を受けたりする人も少なくありません。
 
このように会社が退職させてくれないといった状況に悩んでいる人の代わりに、退職の手続きを行ってくれるのが退職代行サービス業者です。本記事では、退職代行サービス業者とのトラブルを2つ紹介します。
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退職代行サービス業者を利用しても退職ができていなかった2つの事例

「退職したいと言い出せない」と悩んでいる人にとって、退職代行サービスはメリットが大きいです。しかし、退職代行サービスを利用したにもかかわらず、退職ができていなかった実例があります。本記事では、東京都産業労働局による2つのあっせん事例を紹介します。
 

退職代行サービス業者が退職の意思のみを伝えた事例

労働者本人が精神の不調に陥り、直接勤務先に退職の意思を伝えられなかったため、退職代行サービス業者を利用した事例です。退職代行サービス業者は、退職の意思のみを会社に伝えました。
 
会社はこれに対し、引き継ぎを終えない限り退職関係の手続きはできないと回答しました。これにより交渉が行き詰まり、退職の手続きができない状況となってしまったのです。
 

弁護士資格を有していない退職代行サービス業者を利用した事例

労働者本人は、勤め先の社長に直接退職の意思を伝えることが不安だったため、退職代行サービスを利用しました。労働者本人は一切連絡をしないまま退職できたと思っていましたが、退職関係の書類となる源泉徴収票や社会保険関係書類などが届かないことから退職代行サービス業者に問い合わせをし、解決を求めました。
 
しかし、退職代行サービス業者側は「弁護士資格を保有していない人が報酬目的で法律事件に関して代理する行為は弁護士法第72条に違反するおそれがあるため、交渉は一切できない」と回答し、退職の手続きができていない状況となってしまったのです。
 
東京都では、センター(飯田橋)、大崎、池袋、亀戸、多摩の5ヶ所に設置した労働相談情報センターで事例のような相談を受けています。2つの事例とも、労働者本人から労働相談情報センターに問い合わせをすることによって解決となりました。
 
労働相談情報センターが会社に事情を聴取したところ、2つの事例とも労働者本人の意思が真実なのかが確認できずに困っていると答えたそうです。しかし、労働相談情報センターという中立的な行政機関を介することによって会社側も納得し、無事に退職ができたという結果になりました。
 

退職代行サービス業者を選ぶときの注意点

退職代行サービス業者を選ぶときには、トラブルを避けるためにも法律上適正な業者を選びましょう。退職に関する交渉は、弁護士がいる業者か労働組合でなければできません。
 
弁護士法第72条のとおり弁護士以外が報酬をもらって交渉の仕事をすると、弁護士法違反となってしまうため、弁護士資格を保有していれば交渉が可能です。また、労働組合は日本国憲法第28条の労働三権で保障されているため、交渉権をもっています。
 
退職代行サービス業者が会社側に退職の意思を伝えた際、スムーズに手続きが進めば、交渉をせずにすみます。しかし、何かしらのトラブルが起きたときには交渉が必要となるため、弁護士がいる業者、または労働組合となっている退職代行サービス業者を選択すると安心でしょう。
 
このように退職代行サービス業者を選ぶときは、適正な業者かどうか確認することが大切です。
 

まとめ

現在は多くの退職代行サービス業者が存在しており、中には悪質といえる業者もいます。
 
悪質な業者の場合、料金を支払っても実際には退職できていない場合もあります。退職代行サービス業者を利用する際は、業者の信頼性を確認し、安心して業務を委託できる業者を選ぶようにしましょう。
 

出典

東京都産業労働局 4 あっせん事例 6 退職代行業者を介した退職の意思表示
東京都産業労働局 4 あっせん事例 1 「退職代行」を利用して退職した際のトラブル
e-Gov法令検索 弁護士法
e-Gov法令検索 日本国憲法
厚生労働省 労働組合
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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