更新日: 2024.10.10 働き方
「残業代頼り」で家計を考えるのは要注意!残業代を見越したマネープランが「危険」な理由とは?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
残業代は固定給ではない
毎月残業が当たり前のようにあるとは限りません。会社の経営方針の変更や業績悪化、部署移動などで残業が減ってしまえば、残業代は減ります。基本給など固定給を減らすことは、法律上一定の段階を踏む必要があり容易ではない反面、残業時間の削減は比較的容易に行えてしまいます。
実際、コロナ禍で残業代が減って収入が激減し、生活が立ちいかなくなってしまったという家庭も少なからずあったようです。例えば、年収400万円で一般的な生活を送れていましたが、テレワークによって残業がゼロとなったことで残業代50万円が支払われなくなり、年収が350万円にまで落ち込むといった具合です。
近年では、働き方改革など残業削減にかじを切る企業も増えています。残業代が給与に占める割合が高いと、残業が減って収入も減ったとき、生活が苦しくなることは十分あり得るのです。
労働市場における自身の価値の低下を招く
残業が必要に応じて行われていればよいのですが、残業代を稼ぐために行われるいわば「生活残業」を行っている場合は、注意が必要です。だらだらと仕事をする癖がついて、年齢に応じたスキルが十分に身についていない可能性があります。
また、会社によっては残業が多いと昇進・昇格に影響して、年齢に応じた昇進ができず労働市場における価値が相対的に低下し、転職が思うようにいかない可能性も出てきます。
このように、長年残業ありきの生活を続けた結果、スキルも身につかず昇進もしていないまま年齢を重ねてどんどん転職が不利になっていくこともあるのです。
体を壊してしまう恐れがある
若い頃は問題ないかもしれませんが、年齢を重ねてくると体力的にも精神的にも長時間の残業が負担に感じられるようになってきます。それでも生活のために残業をやめられず、働き続けた結果体を壊してしまい、求職や離職を余儀なくされてしまうことがあります。
その後スムーズに復職や再就職ができればよいのですが、年齢やスキルによってはそううまくいかない可能性も考えられます。
また、体を壊してしまった結果、通院など治療に多くのお金が必要になる可能性もあり、そうなれば家計への影響も大きくなります。残業代で毎月5万円、年間60万円稼いでいたとしても、長時間労働で体を壊し、治療に60万円かかってしまったら元も子もありません。
残業代頼りの状況を改善することも大切
残業代頼りの家計を改善するには、転職が有効です。年齢やスキル、業界などにもよりますが、転職によって現在よりも少ない残業時間で現在と同等以上の収入を得られる可能性はあります。
仮に転職ができない場合でも、家計を見直して支出を減らし、残業代がなくとも生活できるようにしていくことも有効です。
また、副業や資産運用によって残業以外で収入を増やすことも有効です。ただ、副業は会社によっては禁止されていたり、働き過ぎて過労になったりする恐れもあるため注意が必要です。
家計の急変を防ぐためにも残業代頼りから脱却を!
残業代は固定給ではなく何か変化があると大きく減少する可能性のある部分です。残業代頼りの生活をしていると、職場環境に変化があったり、体を壊したりしたときに残業代を稼げなくなり、生活に困ってしまう可能性もあります。
残業代頼りの生活よりも、転職や昇給によって基本給を上げたほうが生活は安定します。もし、いま残業代頼りの生活をしているのであれば、生活に困ってしまう前に残業代頼りの生活から脱却できるよう対策しましょう。
執筆者:柘植輝
行政書士