更新日: 2023.07.28 働き方

扶養内で働き続けたい? 「年収の壁」を気にせず働きたい人はどのくらいいる?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

扶養内で働き続けたい? 「年収の壁」を気にせず働きたい人はどのくらいいる?
現在の法律では、一定の年収までなら配偶者の扶養に入ったまま、税金や保険料を負担することなく働けます。そのため、働く時間や給与を調節しつつ働く方がいる一方、いわゆる「年収の壁」を気にせずに働きたい、と考えている方もいるでしょう。では、年収の壁を気にせず働きたい方はどのくらいいるのでしょうか?
 
本記事では、扶養を抜けても働きたい方の割合や、扶養内で働き続ける理由などを解説します。
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3人に1人が扶養範囲を気にせず働きたいと考えている

コネヒト株式会社(東京都港区)が、2023年3月11日〜12日にコネヒト社サービス利用者を対象として行った「年収の壁についてのアンケート」(有効回答数1553件)によると、扶養内で働く女性の35.5%が「扶養範囲を気にせずもっと働きたい」と回答しました。
 
扶養内で働いていれば、住民税や所得税、社会保険料はかかりませんが、その一方で稼げるお金は限られています。年収が103万を超えると所得税や住民税が発生し、年収106万円を超えると条件を満たしたパートやアルバイトは健康保険や厚生年金保険の加入が求められます。
 
しかし、一定の年収を超えれば税金や社会保険料を払ってもプラスになるため、働ける条件が整っていれば、メリットは大きいでしょう。
 

扶養内で働かざるを得ない理由は?

同アンケート調査によると、扶養内で働かざるを得ない方の意見として、以下のような具体例が挙げられました。
 

●夫婦の実家がそれぞれ遠方で頼れず、フルタイムで夫婦が働くと家事や育児に手が回らないため、妻が正社員を辞めざるを得なかった
●扶養から外れて働きたいが、職場の理解が得られず、夫の働き方ではサポートも期待ができない

 
これらの意見は、働きたいけどフルタイムで働くと育児や家事に手が回らないため、やむなく扶養内で働いている方が多いということでしょう。共働きが当たり前になった現在ですが、夫婦がお互いの能力を発揮して希望通りに働けるとはいかないのです。
 

労働状況が改善されれば働きたい方が働ける

結婚して夫婦共働きになったが、家事や育児を行うために妻が正社員を辞めてパートになって扶養内で働き、夫が正社員のままといった家庭は多いです。しかし、逆にいえば、夫が余裕ある働き方ができれば、妻も今までのキャリアをあきらめることなく、能力を生かして働けるといえます。現代の日本において労働力不足は深刻な社会問題で、企業や政府も働き方改革に力をいれつつあります。
 

長時間労働を抑制できる働き方改革

長時間労働は、長い間日本企業の深刻な問題として改善が求められてきました。労働者の肉体や精神に深刻な悪影響を与えるのはもちろんのこと、育児に参加できず、配偶者との間に心理的な距離が生まれるなど家庭にも影響があります。
 
2019年4月より「働き方改革関連法」が成立し、時間外労働の上限規制や、年次有給休暇の取得促進などが定められました。そして、2023年4月より中小企業でも、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が50%に引き上げられました。
 
つまり、月60時間以上残業した場合、企業は労働者に対し1.5倍の賃金を支払わなければなりません。この改正により、長時間労働の抑制になるのではと期待されています。
 
配偶者が定時に帰れて有給を比較的自由に取れる環境になると、今まで扶養内で働かざるを得なかった方も、能力を生かして自由に働けるようになる可能性が高まります。
 

産後パパ育休制度を利用すれば職場復帰しやすい可能性も

多くの女性が、今までのキャリアを捨てざるを得ないきっかけの一つが出産です。子どもは生まれてからしばらくは付き添ってお世話しなければなりません。夫が激務の場合は、どうしても妻だけに負担が集中し、仕事と育児の両立が難しくなるでしょう。
 
2022年10月1日から施行された「産後パパ育休制度」は、1歳までの育児休業とは別に産後8週間以内に4週間(28日)を限度とし、2回に分けて休業を取得できる制度です。この制度と育児休業を利用すれば、妻もキャリアの中断を最小限に抑え、職場に復帰できる可能性が高まります。
 
収入が心配という場合は、「育児休業給付金」があります。育児休業給付金は、「休業開始日前の2年間に、雇用保険の被保険者であった期間が12ヶ月以上ある従業員」が、産後パパ育休制度を利用したときなどに支給されます。また、福利厚生の一環として独自の給付金がある会社もあります。
 

年収の壁を気にせず働くならワークバランスが大切

配偶者の扶養内で働いている方の多くが、税金が増えるからではなく、フルタイムで働くと家事や育児ができなくなるという理由でキャリアをあきらめています。労働者不足が深刻な問題になっている現在、ワークバランスを見直すことで、1人でも多くの方が能力を生かして働ける世の中へ、働く仕組みが変化しつつあります。
 
特にこれから妊娠、出産を考えている女性の方は、自分が使える仕組みや給付金などをよく調べておきましょう。キャリアをあきらめずに働き続けられる可能性が高まります。
 

出典

厚生労働省 2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます

厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内

厚生労働省 育児休業の給付の内容と支給申請手続

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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