更新日: 2024.10.10 貯金
生活保護申請時や利用中の貯金は認められる?20万円の残金がある私でも申請は通りますか…?
そこで今回は、生活保護とは、そもそもどのような趣旨の制度であるのかと、貯金はできるのかについて、ご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
そもそも生活保護とは
そもそも生活保護とは「生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する」ことを目的とする国の制度です。
下記に挙げるような、資産や能力と、そのほかのあらゆるものを活用したうえで、扶養義務者の扶養を得られない場合に、厚生労働大臣の定める基準で算出された金額(最低生活費)を受け取れます。
<申請前に活用することを求められるもの>
●資産の活用:預貯金や、所有している土地・家屋などを売却して、生活費に充てる
●能力の活用:働く能力がある場合は、その能力に応じて働いて、生活費に充てる
●あらゆるものの活用:年金・諸手当などで給付を受けた分を、生活費に充てる
●扶養義務者の扶養:親族をはじめとした、周囲の人による援助を受ける
また、生活保護制度で補助されるのは、表1の費用になります。
表1
種類 | 内容 |
---|---|
生活扶助 | 食費をはじめとした個人的費用や、水道光熱費などの世帯共通費用を合算した基準額を支給 |
住宅扶助 | 家賃などの実費支給(※規定範囲内でのみ) |
教育扶助 | 義務教育に必要な基準額を支給 |
医療扶助 | 本人負担なし |
介護扶助 | 本人負担なし |
出産扶助 | 出産費用の実費支給(※規定範囲内でのみ) |
生業扶助 | 就労に必要な技能の修得などにかかる実費支給(※規定範囲内でのみ) |
葬祭扶助 | 葬祭費用の実費支給(※規定範囲内でのみ) |
※厚生労働省「生活保護制度」をもとに筆者作成
生活保護期と貯金
生活保護制度の利用期間中でも、貯金をすること自体は可能です。ただし、貯金をする場合は、自身で生活費を計画的にやりくりするための目的がなければなりません。
例えば、以下のようなケースが認められます。
<生活保護期間中に貯金する場合の目的例>
●家電を買い替えるために、10万円をためる
●技術修得のために、専門学校に通いたいので、100万円ためる
●結婚とその後の生活資金として、100万円ためる
とはいえ、生活保護で受給できるのは、生活に最低限必要と判断された金額のみのため、そのなかから、まとまった金額をためていくことは大変です。
一方、生活保護申請時に多少の貯金がある場合は、どうでしょうか。この場合は、生活保護を申請しても「そのお金で生活できる(資産の活用)」と判断されるため、審査を通過しにくくなります。10万円とか20万円でも貯金がある場合は、まずは、そのお金を生活費に充てるように指示される可能性が高いでしょう。
生活保護利用中でも貯金ができる
生活保護制度を利用し始めたあとならば、お金をためておけます。
しかし、制度の利用を申請する際に貯金があれば、申請を却下される可能性が高まるでしょう。生活保護制度を利用する場合は、資産や能力と、そのほかのあらゆるものが活用されたあとである必要があります。
出典
厚生労働省 「生活保護制度」
厚生労働省 社会保障審議会(福祉部会生活保護制度の在り方に関する専門委員会) 第8回(平成16年2月24日) 資料1 「説明資料 II 保護の要件の在り方」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー